シェフ大泉 夏野菜スペシャル
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「水曜どうでしょうの企画 (日本国内)」の記事における「シェフ大泉 夏野菜スペシャル」の解説
1999年8月25日 - 9月29日放送、全4夜。 DVD第16弾『72時間!原付東日本縦断ラリー/シェフ大泉 夏野菜スペシャル』に収録。 「夏野菜を使った料理を振舞ってほしい」と大泉を計3回呼び出し、1度目は夏野菜を栽培するため荒地の開墾を、2度目は料理を盛り付けるための皿の制作を、3度目でようやく調理を行った。開墾から調理・試食までロケ日数が通算69日という「日本一長い料理番組」(企画放映時のタイトルに使われた一文)。「第1回どうでミー賞」名企画部門のシリーズ別集計において、放送回数は4回と少ないにもかかわらず、堂々の第1位に輝いている(第2位の「対決列島」は全10回である)。 第1週・第2週 - 開墾編 1999年6月1日収録。「農園開墾アドバイザー」として土井Pの父・均が参加し、どうでしょう農園の農地も提供。畑の区画は雑草が生い茂った荒れ地状態だったが、おおよそ6時間ほどで苗の植え付けまで到達した。当初から全くやる気を見せていない大泉は、終始愚痴をこぼしながらの作業となった。 企画終了後も農園自体はそのまま残されており、2005年10月に行われた『どうでしょう祭』において、どうでしょう農園で栽培された野菜が販売された。 開墾から52日後の7月22日、「夏野菜の収穫」と銘打って農園に訪れる。しかし直前になってスタイリストの小松が「皿を忘れた」ことを告げ、“陶芸編”へ突入する。「ミヤビ工芸」へ向かう道中の車内で藤村Dの失言をきっかけとして「パイ事件」が起きた。 この収録の合間には「72時間!原付東日本縦断ラリー」の収録を行った。 第3週 - 陶芸編 「半角斎一門」 - 半角斎(大泉)・胡散く斎(鈴井)・心気く斎(ミヤビ工芸の職人)・白菜(安田・「簡易onちゃん」状態)・く斎(藤村D) ここで使われる半角斎(「はんかくさい」、漢字は当て字)は、北海道方言では「愚かな、ばかな(ただし「非常識である」という意味合いを強く含む)」という意味で使われる。これを大泉が陶芸家っぽい名前として名乗っており、同様に他のメンバー(陶芸教室の先生も含む)にも「○○くさい」という言葉になる名前を付けている。なお、本当は「心気く斎」は安田につける予定であったが、職人が先に出てきたため白菜になった。 製作最中にはロケ車内でのいざこざ(後述)を引きずっている大泉と藤村Dの間で押し問答が展開され、藤村Dは「ここでパイ生地を練る、ろくろで回す」「1,200℃(の焼き窯)で焼く」、大泉は「藤村D宅のオーブンで陶芸の土を焼く」「名古屋のおふくろをろくろで回す」などの言い合いに終止した。 安田は無類の不器用なためにシミュレーションを行ってはいたが、ろくろをうまく回せず、ろくろと一緒に自分が回ってしまった。 第4週 - 試食編(収穫・料理) 8月8日、料理本番を迎え、完成した皿の披露と野菜の収穫を敢行。皿の披露に際しては、「アメリカ合衆国横断」の時に「全日本空輸 (ANA) から貰った 」2万円相当の備前焼の皿と比較も行われているが、大泉の焼いた「世紀末大革命恋愛大皿」の方が好評を受けることとなった。 onちゃん(着ぐるみ)がこの日「石狩浜の営業で持っていかれた」ため、安田は“簡易onちゃん”と黄色の全身タイツという格好で登場。冒頭のトーク内では藤村D・大泉からの「実際は中でどんな動きをしているのか見せて欲しい」というリクエストを受け、初めて着ぐるみの中での動きが披露されることになった。 調理・試食は札幌市内にある光塩学園調理製菓専門学校で行われ、学園の講師1名(当時、調理実習担当)も同席。「車内でクリスマスパーティー」で「星澤先生みたいな所」を所望した大泉であったが、今回は晴れて念願が叶う形となった。 提供されたのは4品とデザート。ピーマンの肉詰め 夏野菜添え 農園で収穫されたピーマンに挽肉を詰めた単純な品。オーブンでの焼成時間が長く焦げ気味になり、全体的な固い仕上がりから不評を浴びてしまう。対して熟する前のトマト・生育しきっていない小ぶりなニンジンが横に添えられたが、こちらに向け「調理していないものが一番おいしい」と好評を得る本末転倒な結果に終わった。 夏野菜と鯛のシンフォニー 塩焼きの鯛へ茹でジャガイモ・焼きホタテ・牛乳をミキサーしたソースをかけたもの。単体でも料理として成り立つ食材をミキサーする工程には、藤村Dなどから不満の声が挙がったものの、鈴井は「中途半端においしい」、安田からも「このソースおいしいです」とまずまずの評価が出る。 夏野菜と鯛のパスタ 夏野菜・鯛・農園の唐辛子が入れられたオイル系パスタ。「北極圏突入」でのパスタと同様、試食段階で既に辛さを指摘されていた青唐辛子を大量に投入し、辛味が全面に出てしまう。 夏野菜の料理 びっくりカルツォーネ風 未熟のトマトや研いだ後の生米を丸のままの鯛に挿入した後、パイ生地で包んでオーブンで焼いたもの。鯛が好評だった一方、芯の残っていた米・大泉本人も「これはまずい」と発したトマトが評価の足を引っ張った。 かぼちゃとスイカの藤村/onちゃん 農園で栽培されたスイカ・皮むきしたカボチャを“切っただけ”のデザート。題名は陶芸の空き時間に製作された藤村D(大泉作)とonちゃん(藤村D作)の粘土細工がプレート上に添えられたためで、鈴井には藤村D、安田にはonちゃんが割り当てられた。「ピーマンの肉詰め」の野菜同様、未調理ながら「甘くておいしい」との評価が下る。 これら料理のクオリティが低い上、全行程で約6時間を要した事などで大泉以外の3人から不満が噴出。藤村Dによって「鈴井は人と会う予定があったが、調理が長引いたためにキャンセルした」「自分は3時から娘とプールに行く予定だったのが台無しになった」と文句を浴びせたところ、大泉が激怒。藤村Dへは「娘連れて来ればよかったんだ、プールなんか行かせねぇで」、鈴井には「鯛を持って帰れ、半身が余ってるんだ」と強要するなど憤慨を見せる。また、「俺がメシを作るつったら多少の時間掛かること分かってんだろ?」と計画の甘さを指摘した上で「昼飯も晩飯も全部俺が面倒見てやってんだよ」と啖呵を切った。特に意見を発していない安田には、“簡易onちゃん”の服装へ「おい、黄色いの」と八つ当たり。不満を持っていない旨を大泉に伝えたところ「じゃあなんでそんなに黄色いんだよ」と返され企画が終了した。 大泉は“調理時間が掛かった理由”として、DVDの副音声で「下ごしらえの工程から開始したこと」「料理のメニューが完全にノープランだったこと」「鯛のさばき方を知らなかったこと」などを挙げており、企画内でも大泉が調理に戸惑い右往左往する姿などが見受けられる。他にも学園の講師が「我々なら10分(で済ませる)」と語る作業工程に1時間ほど掛けるなど、腕の未熟さも露呈された。 パイ事件 大泉は3回に渡るロケのいずれにも、知り合いであるイタリア料理店(後に閉店)の店長の新見氏に作ってもらったパイ生地を持参した。しかし、開墾編・陶芸編では調理が行われなかったためにパイ生地を腐らせることになる。第2週でどうでしょう農園から陶芸工房へと向かう車中では、大泉が騙しに狼狽する中で藤村Dから「パイ生地練ってもらうなんて、こっちは一言も頼んでない」「店長にも確かに悪いけど、でも(腐らせた件で)悪いのは君だろ?」と反論されたのを受け、「君は番組のために、生地を作った俺がバカだと言うんだ」「生地を練った俺はバカか!?」「(藤村Dにペットボトルを投げつけ)もう辞めてやるぞ、『どうでしょう』!」などと憤慨。怒りを一通りぶちまけた大泉は、報復手段として当企画の編集工程を面倒にしようと嬉野Dにカメラを回し続けるように脅し、その過程で藤村Dの家族(藤村の妻子と実母)をターゲットに「パイ生地を家に届けておみまいしてやる」と発言。この時に残した「おい、パイ食わねぇか」の一言が「第1回どうでミー賞」名ゼリフ部門で第1位を獲得した。 なお、2013年に行われた「どうでしょう祭2013」の「シェフ大泉VS板長鈴井 料理対決」で、パイ生地を製作した料理店の店長が登場し、巨大なパイ生地を大泉に提供した。同イベントのトークショーにおいては、ロケ当時に大泉に渡したのが「パイ生地」ではなく「ピザ生地」だったことを明かし、14年越しに事実が判明する形となった。 ちなみにこの一連の流れについて、藤村Dは編集作業の際に「本当に怒ってるのが視聴者に分からないよう」短く編集したことを副音声で明かし、DVD版では「12年(当時)経ったら笑い話になるから」として当該のシーンが長めに編集されたほか、本編に未収の部分も特典映像として公開されている。一方で鈴井は、この時車内が険悪なムードだったにも拘わらず、立腹中の大泉に(番組を盛り上げるためとはいえ)藤村Dが辛辣な言葉を煽るように掛け続けたことへ、後の総集編で「残りのメンバーは内心冷や冷やだった」と述懐した。
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