らしんばん座
名称:らしんばん座(羅針盤座)
学名:Pyxis
小分類:南半球
構成する主な星雲、星団、恒星:−
神話の主な登場人物:アイソン/イアソン/ペリアド/アイエテス/メディア
日本で観測できる時期:2月〜5月の約4ヵ月間
見ごろの季節:冬(20時正中は4月上旬)
古代ギリシャ時代に、船をかたどって作られた「アルゴ座」の一部で、近世に大きすぎるという理由で4つに分割された星座です。しかも最初は「ほばしら座」という名前で、後に「ピュクシス・ナウティカ(航海用の箱)」すなわち、らしんばん座に名前が変わりました。星座自体は暗くて小さく、決まった形を見つけにくいですが、天の川の中にあり、観測上は華やかな場所です。
1.見つけ方のポイント
とも座の東どなり、ほ座の北に、3個の4等星がやや折れ曲がって並んでいる場所があります。そこがらしんばん座です。暗い星ばかりですので、決まった形は見つけにくいでしょう。
2.神話の内容について
イオルコスの王アイソンの息子イアソンは、叔父ペリアドに国を乗っ取られます。成長したイアソンは、叔父に国を返すよう求めますが、逆に、黒海の奥のコルキス王国の王が持つ、金色の羊の皮を持ってくるよう要求されます。イアソンは巨船アルゴ号を建設し、50人の勇者を乗せて船出します。航海の間は執に苦難に襲われますが、無事にコルキス王国へ到着。しかしコルキス王アイエテスは、草原にいる3頭の火を吐く雄牛に荒れ地を耕させ、竜の歯をまいて、そこから生えてくる沢山の兵士達を全員槍で突き殺せ、と難題を持ちかけました。イアソンは王女メディアの助言で、兵士たちに同士討ちをさせ、金色の羊の毛皮を持ち帰ることに成功し、叔父ペリアドを倒して王となりました。らしんばん座は、このアルゴ船を星座にした「アルゴ座」の、羅針盤の部分を独立させた星座です。元は「ほばしら座」といい、アルゴ船の帆柱をかたどったものとされていました。
3.同じ時期に見える星座について
らしんばん座は、もともとアルゴ座の一部でしたので、西のとも座、南の地平線すれすれに現われる、りゅうこつ座、ほ座と一緒に見えます。また北には、おおいぬ座、こいぬ座いっかくじゅう座があり、西には、うさぎ座、はと座なども見えます。さらに東には、ポンプ座、うみへび座なども見ることができます。
4.主要都市での観測について
アルゴ座の中では比較的北に位置するので、一応本州でも、南の水平線上に全体像を見ることができます。
※参考文献:「星座クラブ」沼澤茂美著(誠文堂新光社)、「星のポケットブック」(誠文堂新光社)、「星座天体観測図鑑」藤井旭著(成美堂出版)、「星座・夜空の四季」小学館の学習百科図鑑、「星座博物館・春」、「同・夏」、「同・秋」、「同・冬」、「同・星座旅行」瀬川昌男著(ぎょうせい)、「星空ガイド」沼澤茂美、脇屋奈々代著(ナツメ社)
らしんばん座
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/05/04 07:27 UTC 版)
らしんばん座(らしんばんざ、Pyxis)は、現代の88星座の1つ。18世紀半ばにアルゴ座の一部を切り取って作られた新しい星座である。航海に用いられる方位磁針がモチーフとされている[2][4]。日本国内のどこからでも星座の全域を見ることができるが、特に明るい星もないため目立たない星座である。
注釈
- ^ 19世紀アメリカの天文学者ベンジャミン・グールドは、Antlia pneumatica(現在のポンプ座)もアルゴ座の一部分を削って作られたとしている[14]。
- ^ ラカイユは、残ったアルゴ座の領域内に現在のりゅうこつ座・ほ座・とも座の元となる名前を付けたが、アルゴ座を分割した訳ではない。たとえば19世紀アメリカの天文学者ベンジャミン・グールドは
ラカーユがアルゴ船座とケンタウルス座が占める広大な領域に新しい星座を導入しなかったことは非常に残念なことである。
と明言している[14]。 - ^ 測程儀は船の速度を測る機器。結び目(ノット)の付いた縄を海に落として、船の速度を測った[16]。
- ^ 現在の東亜天文学会。
出典
- ^ “The Constellations”. 国際天文学連合. 2023年5月4日閲覧。
- ^ a b c “Constellation boundary”. 国際天文学連合. 2023年5月4日閲覧。
- ^ “星座名・星座略符一覧(面積順)”. 国立天文台(NAOJ). 2023年1月1日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j Ridpath, Ian. “Pyxis”. Star Tales. 2023年1月14日閲覧。
- ^ “IAU Catalog of Star Names (IAU-CSN)”. 国際天文学連合 (2022年4月4日). 2023年1月14日閲覧。
- ^ "alf Pyx". SIMBAD. Centre de données astronomiques de Strasbourg. 2023年1月14日閲覧。
- ^ "bet Pyx". SIMBAD. Centre de données astronomiques de Strasbourg. 2023年1月14日閲覧。
- ^ "gam Pyx". SIMBAD. Centre de données astronomiques de Strasbourg. 2023年1月14日閲覧。
- ^ "T Pyx". SIMBAD. Centre de données astronomiques de Strasbourg. 2023年1月14日閲覧。
- ^ Ridpath, Ian. “Lacaille’s southern planisphere of 1756”. Star Tales. 2023年5月4日閲覧。
- ^ “Histoire de l'Académie royale des sciences” (フランス語). Gallica. 2023年5月4日閲覧。
- ^ de Lacaille, N. L.. “Coelum australe stelliferum / N. L. de Lacaille”. e-rara. 2023年5月4日閲覧。
- ^ Bayer, Johann (ラテン語). Ioannis Bayeri Uranometria omnium asterismorum continens schemata, nova methodo delineata aereis laminis expressa. excudit Christophorus Mangus. doi:10.3931/E-RARA-309 2023年5月4日閲覧。
- ^ a b Gould 1879, p. 55.
- ^ Nicolas Louis de La Caille (1763) (ラテン語). Coelum australe stelliferum. pp. 193-195 2023年5月4日閲覧。
- ^ a b c Barentine, John C. (2016). Uncharted constellations : asterisms, single-source and rebrands. Cham. pp. 77-83. ISBN 978-3-319-27619-9. OCLC 946038481
- ^ Ridpath, Ian. “Lochium Funis”. Star Tales. 2023年5月4日閲覧。
- ^ Herschel, Sir John Frederick William (1844). “VI Further Remarks on the Revision of the Southern Constellations.(sic)”. Monthly Notices of the Royal Astronomical Society (Oxford University Press (OUP)) 6 (5): 60-62. Bibcode: 1844MNRAS...6...60R. doi:10.1093/mnras/6.5.60. ISSN 0035-8711.
- ^ Gould 1879, p. 65.
- ^ Gould 1879, p. 190.
- ^ Ridpath, Ian. “The IAU list of the 88 constellations and their abbreviations”. Star Tales. 2022年12月1日閲覧。
- ^ 大崎正次「中国の星座・星名の同定一覧表」『中国の星座の歴史』雄山閣出版、1987年5月5日、294-341頁。ISBN 4-639-00647-0。
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- ^ 天文同好会 編『天文年鑑』4号、新光社、1931年3月30日、6頁。doi:10.11501/1138410 。
- ^ 天文同好会 編『天文年鑑』10号、恒星社、1937年3月22日、4-9頁。doi:10.11501/1114748 。
- 1 らしんばん座とは
- 2 らしんばん座の概要
- 3 脚注
らしんばん座
固有名詞の分類
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