NFC
「NFC」とは・「NFC」の意味
NFC(Near field communication)とは、日本ではSuicaなどのICカードまたはiPhone、Androidなどのモバイル端末に搭載され、おサイフケータイなどの非接触型済やマイナンバーカードの読み取り時に使用される近距離無線通信一種である。NFCはRFID (Radio Frequency IDentification) という無線通信を使った個体識別技術の一種。近距離無線通信の技術はNFCとして統一化されており、世界共通の規格となっている。通信方法は、NFCタグにICチップを内蔵し、NFCリーダ・ライタ機能を持つ機器で読み取り・書き込みを行うというもの。
NFCの歴史はモナコから始まった。なぜかモナコかというとNFCの技術標準について、Nokia、Philips(NXP Semiconductors)、ソニーの3社による初めての話し合いがモナコ市内で行われたからである。上記の3社により、2004年に「NFCフォーラム」という団体が発足した。発足以来、NFCフォーラムはNFCの使用の策定や普及の推進を行っている。
「NFCフォーラム」発足となる話し合いが行われた背景は、モバイル端末のNFCアプリの発展がある。非接触型ICカードも利用拡大し、香港では世界初となるリチャージ型のICカード「八達通(オクトパス)」がスタートした。こうした発展の裏で、互換性のないICカード、技術の乱立が懸念されていた。そういった懸念に対し、今後互換性のない技術が乱立しないよう、ISO(International Organization for Standardization、国際標準化機構)として世界共通の規格とするための話し合いが設けられたのである。そして、「NFCフォーラム」によって、「スマートフォン+NFC」の原型がつくられ、2010年以降は世界的にモバイルNFCブームとなっていった。
2022年時点ではISOでの標準化により、「Type-A/B」と呼ばれる規格がICカードの全世界の標準仕様となっている。ただ、日本においてはFelica(Type-F)ベースのものがほとんどである。
また、NFC普及の最先端を走った地域はフランスのニースだった。ニースではNFCプロジェクトとして「Cityzi」を実行。フランスの3大キャリア(Orange、SFR、Bouygues)を政府が支援し、NFCを推進させるという国策プロジェクトだった。具体的には①小売店舗にNFC決済可能な端末の配置②交通系システムのモバイル対応③停留所等にNFCタグを設置し、リアルタイムな運行情報へアクセス④観光名所や美術館に解説が表示されるNFCタグを設置、という4つが主なプロジェクトの取り組みであった。
そして、ニースで行われた「NFC World Congress 2011」では世界各国から業界の代表者が集まり「Cityzi」のデモンストレーションも行われた。最終日には「Cityziツアー」も開催。各企業の代表者や技術者がNFCを身近に経験できるものだった。
モバイルNFCブームではニースを代表に、世界各国で国が主体となってNFCを推進するプロジェクトが立ち上がった。こうした取り組みによって、NFC業界は世界各国で試行錯誤しながら発展していく。
NFCにはいくつかの規格があり、大きく分けてType-A、Type-B、Felica(Type-F)という3つの規格が存在する。
Type-AはNXP Semiconductors(NXPセミコンダクターズ)が開発したNFC規格。ほかと比べ比較的安価で利用が可能。日本での主な利用先はタバコ購入時に必要なTaspoカードなど。
Type-Bはモトローラが開発したNFC規格。セキュリティに強いことが特徴。日本の主な利用先は個人番号カード(マイナンバーカード)、住民基本台帳カード、運転免許証、在留カード、パスポートなどである。
Felicaはソニーが開発したNFC規格。0.1秒という処理速度の速さが特徴。主に日本国内で利用されている。反応速度を活かしたSuica、PASMOなどの交通系ICカード、Edyやnanacoなどの電子マネーで利用されている。
3つのなかでも、Type-A/BとFelicaはほとんど別と考えられることが多い。仕組み自体に大きな差はないものの、利用されている国に大きな違いがある。Type-A/Bは世界で広く利用されているが、Felicaは海外では香港などの一部地域でしか利用されておらず、2022年時点ではほぼ日本のみで利用となっている。
シンガポールでもFelicaベースのものからType-A/Bベースのものへの置き換えも行われるなど、Felicaが世界標準から外れる可能性が否定できず、Felicaは「ガラパゴス化」しているともいわれる。そのため、世界標準規格といえばType-A/Bということが2022年時点の認識である。
しかし2016年にApplepayでFelicaが採用され、Applewatchなどのスマートウォッチのタッチ決済にも利用されるようになった。そのため、Felicaが名実ともに世界標準規格になる可能性も0ではない。また、ApplepayへのFelicaは、ドコモ、KDDI、ソフトバンクも協力しての事業だった。
NFCはQRコードと比較されることも多い。NFCのメリットは接続時間が短い、手間をかけずに使える、機器同士の接触が少ないため機器の故障率の低下を見込める、携帯機器間の接続の強化(Wi-FiやBluetooth接続など)、ISOという国際規格により、規格に依存しないアプリの開発が可能、といったもの。
対してデメリットは、導入コストがQRコードに比べて高価なため、気軽に導入はできない、再書き込み可能なNFCシールなどもあり、不特定多数の利用を想定する場合は注意が必要・不向きといった面がある。
QRコードのメリットは導入が比較的安価、端末を選びにくいということ、デメリットはセキュリティが弱い、読み取る手間がかかる、端末のバッテリーが切れた場合は利用できない、などがある。
NFCの主な利用方法はスマホ(iPhone、Android)ではおサイフケータイ、マイナンバーカード等の読み取り、ICカードでの電子マネー決済、クレジットカードでの非接触型決済、機器同士のペアリングなどである。また、Android同士ではデータ転送が可能な機能もあった。
クレジットカードの非接触型決済、いわゆるタッチ決済は世界的に普及しており、国によっては利用率が50%をゆうに超えることもある。決済にかかる手間・時間も短くなるだけではなく、暗証番号の入力も省略できるためセキュリティ面でも優秀な利用方法となっている。タッチ決済で利用されるNFC規格はType-A/Bが標準。
機器同士のペアリングでも活用され、対応機器同士で指定の箇所を近づけるだけでペアリングが可能。また、日本では個人番号カード(マイナンバーカード)の読み取りなども、対応スマートフォンであれば可能となっている。個人番号カードの読み取りについては2022年時点、iPhoneではほとんどの機種で対応しているが、Androidは対応していない機種もあるため利用時は注意が必要。
データ転送はAndroid4.1以降の端末同士で、NFCを利用してデータを送受信する「Androidビーム」という機能があった。送りたいデータを選び、お互いの端末のNFCマークがある箇所(だいたいは背面)を近づけ、端末同士を認識させてデータを送受信するという方法。しかし、Android10で廃止されたため、2022年時点では「Androidビーム」はあまり使われていない。
おサイフケータイに関してはドコモが先駆けで2004年からサービスを開始し、日本国内の他キャリア(au、ソフトバンク)も追ってサービスを開始している。しかし、2022年時点での普及率は低い。QRコード決済元年といわれた2019年には1年でQRコード決済に普及率を抜かれている。
普及が思うように進んでいない理由としては、Felicaが世界的に普及していないこと、QRコード決済に比べてNFC決済端末の設備費用が高価ということ、中国観光客向けのQRコード決済設置が進んだこと、などが挙げられる。
利用者はスマートフォンに搭載されたNFC機能の有効/無効を選ぶことも可能。設定で接続済みのデバイスやネットワーク設定で変更ができる。しかし、NFCを無効にすればおサイフケータイの機能が使えなくなる機種もあれば、NFCを無効にしてもおサイフケータイの機能が使える機種もあるため、使う端末によって確認が必要である。これはNFC無効がType-A/Bを無効とし、Felicaの機能は使えることを指すのか、Felicaも含めてオフにするのかの違いである。
エヌ‐エフ‐シー【NFC】
読み方:えぬえふしー
《National Football Conference》米国のプロフットボールで、ナショナルフットボールリーグ(NFL)傘下の二大カンファレンス(競技連盟)の一。→エー‐エフ‐シー(AFC)
エヌ‐エフ‐シー【NFC】
読み方:えぬえふしー
エヌ‐エフ‐シー【NFC】
NFC
読み方:エヌエフシー
NFCとは、ソニーとPhilips社によって開発された近距離無線通信規格の名称である。ISO/IECによって2003年12月に国際規格化されている。
NFCは13.56MHzの電波を使用し、およそ十数センチメートルの短い範囲内で双方向通信を行うことができる。通信速度は106kbps、212kbps、424kbpの3種が用意されている。ソニーの非接触式ICカード技術「FeliCa」や、同じくPhilips社の「MIFARE」などと通信互換性を保っている。
NFC技術が組み込まれた機器やカードは、従来のように有線や無線で機器を選択・特定する必要がなく、自動的に機器を特定や設定情報の交換を行うことができる。一度NFCで接続した後、別の高速な通信方式に切り替えるといった使用方法も可能である。
参照リンク
NFC Forum - (英文)
プレスリリース ~ソニー、フィリップス共同開発の近距離無線通信規格 Near Field CommunicationをISO/IECが国際標準規格として承認 - Sony Japan
NFC
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/09/20 23:35 UTC 版)
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- ナショナル・フットボール・カンファレンス (National Football Conference)
- 東京国立近代美術館フィルムセンター (National Film Center) - 2018年4月1日から国立映画アーカイブ(NFAJ)に改組
- 近距離無線通信 (Near Field Communication) - FeliCa、RFIDも参照
- 正規化形式C(英: Normalization Form Canonical Composition) - Unicode正規化の一形態
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NFC
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/05 23:01 UTC 版)
「Nintendo Switch」の記事における「NFC」の解説
NFCを搭載しており「amiibo」に対応するゲームも登場する。Joy‐Con(R)のRスティックにamiiboを接触させて読み取らせる。NFC制御用のOSにイーソル株式会社が開発したμITRON4.0仕様準拠リアルタイムOSが採用されている。
※この「NFC」の解説は、「Nintendo Switch」の解説の一部です。
「NFC」を含む「Nintendo Switch」の記事については、「Nintendo Switch」の概要を参照ください。
NFCと同じ種類の言葉
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