私鉄向け
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/06 06:35 UTC 版)
鉄道省 → 国鉄での大量採用に反し、戦前の私鉄においては前述の通り工場レベルでの保守に難があり、電車用としてみた場合必ずしも充分な強度が得られないこの種の台車は好まれず、実用例も少数に留まっている。 1930年に参宮急行電鉄が製造したサ3000・ク3100形用住友製鋼所KS-76Lが日本における私鉄向けペンシルバニア形台車の第1号と見られているが、これは一体鋳鋼製台車枠を備えTR23よりもむしろペンシルバニア鉄道で採用されていたオリジナルに近い仕様であった。これに対し、1933年に九州産業鉄道が製造した九州産業鉄道オハフ1形客車に採用された台車はTR23の設計に忠実に従っており、これ以降戦前の日本で製造された私鉄向けペンシルバニア形台車は全てTR23の基本設計に従ったものとなった。もっともその製造数は少なく、1936年製の富山電気鉄道モハ500形が日本車輌製造製のTR25相当品を、1937年に日本車輌で製造された三菱鉱業ナハ1形がTR23相当品を、1941年に西武鉄道(初代)が製造したモハ200形がTR25と同系の台車をそれぞれ製造メーカーの推奨に従って採用し、更に戦時中の1944年に日本鉄道自動車が軸距を詰めたモデルを幾つかの会社に納入した程度で、いずれも少数派に留まった。これに対し戦後はモハ63形電車の私鉄割り当てでDT13の採用実績が増え、その後空気ばね化など独自改造を加えた例は見られたものの、戦後の台車メーカーによる新型台車開発の激化もあって、これらに改良を加えたモデルを新造した例は一時期の東武鉄道の新造車に採用されたに留まる。 住友製鋼場 → 住友金属工業KS-76L 1930年に参宮急行電鉄サ3000・ク3100形用として製造。一体鋳鋼製の側枠を備える軸ばね式台車で、中央の揺れ枕には4列の重ね板ばねによる枕ばねを備える。また、台車枠が一体鋳鋼製のため比較的自由に形状を設計でき、さらに重い電動車用ではなく、車体も当時としては軽量設計であったことなどからローワーレールも備えていなかったため、その外観の印象はむしろ戦後の新型軸ばね式台車に近くTR23とは大きく異なる。当初は不適当なばね定数の設定により乗り心地面で不評を買ったが、セッティングの修正後は不評が一掃され、戦後も2250系の増備が進んで交代となるまでこの台車を装着したサ3000形の一部が座席指定特急車に使用された。なお、このKS-76Lは1974年の2200系淘汰までほとんど改造無しに終始している。 FS10 1953年より製造された東武7800系に採用。KS-76Lと同様の一体鋳鋼製台車枠を備える軸ばね式台車であるが、ボルスタアンカーを備え、2列の重ね板ばねを枕ばねとする点でKS-76Lと相違する。東武での社内形式はTRS-52。 日本車輌製造NL-1 東武7800系のクハ802 - 807に採用。FS10と同系台車であるが、側枠やボルスタアンカーの形状が異なる。FS10に対し0.5t程度の軽量化を行ったとされる。東武での社内形式はTRN-53。 日立製作所KH-20 1958年に日立製作所で製造された、東武7860系に採用されたFS10と同形の台車。東武での社内形式はTRH-58M・T。 日本鉄道自動車ST31 1943年に日本鉄道自動車が製造。常総筑波鉄道ホハフ551に装着の上で出荷されている。このST31は公式書類上は軸距2,150 mmとされているが、実車がその通りであったかは不明で、あるいは後述のNSC31と同等品であった可能性もある。基礎ブレーキ装置は客車時代は両抱き式踏面ブレーキであったが、気動車化時に片押し式に改造されている。 NSC31 1944年に日本鉄道自動車が製造。名古屋鉄道モ770形、新潟交通クハ34・35、富山地方鉄道モハ7515、京王帝都電鉄デハ1751の4形式に装着された。軸箱部の構造はTR23と同一であるが、16 m級の小型車に採用されたためか軸距が2,300 mmと短く設定されていた。なお、日本鉄道自動車の後身である東洋工機で1950年に製造された東武鉄道日光軌道線用ED610形にもNSC31と類似の軸距2,300 mm仕様の同系台車が装着されていたが、これは型番が明らかになっていない。 川崎車輌DT13S 運輸省から割り当てられた山陽電鉄800形に採用。日本国内向けではTR23と各部の基本構造が共通のペンシルバニア形台車中、唯一の1435 mm軌間用で、車体更新車である2700系に流用されて1985年まで使用された。なお、形式に付されたサフィックス「S」はSanyoの頭文字ではなく、Standard gauge(標準軌間)に由来する。 東芝TT-3 1953年に増備された東武5700系のうち、直角カルダン駆動とされたモハ5720形2両、およびそれらとペアを組むクハ720形2両に装着。国鉄DT15と酷似した形状の一体鋳鋼製側枠で、台車シリンダー式のブレーキシリンダーやボルスタアンカーを備え、さらに枕ばねは重ね板ばねに代えてコイルばねとオイルダンパーを併用する構成である。1961・1965年のモハ5720形の吊り掛け駆動への改造時に吊り掛けモーターを装架できないTT-3は制御車であるクハ700形702 - 705に転用、その後は1991年の同系列全廃までそのまま使用された。東武での社内形式はTRT-52。 TT-51 1951年に製造された松尾鉱業鉄道ED25形電気機関車の台車。軸距が2,250 mm、軸受が平軸受となっている他は国鉄のDT16形台車に酷似した外観を持つ。また、ほぼ同時期(1950年)に同じ東芝で製作された東濃鉄道駄知線のED1000形電気機関車・モハ100形電車(101・102号)の台車も、メーカー形式等が付されていないものの同一の外観を呈する。
※この「私鉄向け」の解説は、「国鉄TR23形台車」の解説の一部です。
「私鉄向け」を含む「国鉄TR23形台車」の記事については、「国鉄TR23形台車」の概要を参照ください。
私鉄向け
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/05/17 08:29 UTC 版)
なお、東武鉄道などが自社客車の新造に当たりTR11を大量採用したが、設計変更を行って別型番を与えたものを新製した例はない。 西武鉄道所沢車両工場(改造)TR10C:本形式に属する台車を装着した制式木造客車の大量払い下げを受けた西武鉄道が、自社工場で徹底的な整備・補修・改造を実施して短軸のまま独自にTR11相当に仕様をアップデートしたもの。基礎ブレーキ装置などに大きく手が入れられていた。 TR11A:TR10Cと同じく西武鉄道が払い下げ品のTR11を大改修したモデル。軸受のころ軸受化、ペデスタル部の一体鋳鋼品への新製交換など、TR11の弱点であった部分をピンポイントで改修してあり、当時の西武鉄道技術陣がこの系列の台車の設計・構造について非常に高度な理解を持っていたことを示す。カルダン駆動の701系までの同社の制御車に愛用された。 TR14A:TR11Aと同様のメニューでTR14を改修したモデル。本来は17 m級車用の台車であるが、各部強化と車体側の軽量化により20 m級電動車のクモハ411形(2代)まで採用された。
※この「私鉄向け」の解説は、「国鉄TR10形台車」の解説の一部です。
「私鉄向け」を含む「国鉄TR10形台車」の記事については、「国鉄TR10形台車」の概要を参照ください。
私鉄向け
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/16 15:41 UTC 版)
量産された国鉄制式台車は、一般に独自開発能力を持たない中小私鉄を中心に同等品が採用されるのが通例である。だが、本形式およびその発展形であるDT19・TR49については、キハ10系・キハ20系気動車の同等品を早期に購入した島原鉄道キハ4500・キハ20形、南薩鉄道キハ300形にDT19・TR49相当品が採用された程度で、留萠鉄道や雄別炭礦鉄道など、キハ10系・キハ20系の同級車を導入した私鉄でもあえて旧式のTR29相当品を採用して本形式の設計を忌避する例が多く見られた。
※この「私鉄向け」の解説は、「国鉄DT18形台車」の解説の一部です。
「私鉄向け」を含む「国鉄DT18形台車」の記事については、「国鉄DT18形台車」の概要を参照ください。
私鉄向け
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/06 07:01 UTC 版)
FS342形 FS342-T形いずれも伊豆箱根鉄道1100系電車 住友金属工業 FS342・FS342-T FS342はDT21の同等品で、1962年の601系以降801系までの西武鉄道で新製された電動車と、それらの車両と同じく西武所沢車両工場で製造された上信電鉄200形電車の電動車であるデハ200にも採用された。なお、上信電鉄のものは同形式が採用した小型軽量の100kW級主電動機に対応してマイナーチェンジが施されている。付随台車のFS342-Tは上信電鉄200形の制御車であるクハ300に採用されたほか、後年西武鉄道から他社への車両譲渡時にFS342を電装解除したものにも与えられた形式名で、西武鉄道のものは両抱きブレーキを装備する。ST式扉閉装置の使用権の国鉄への無償供与と引き換えという形で、その採用と住友金属工業での生産が国鉄から許可されたと伝えられている。 日本車輌製造 NA-13 福島交通デハ5000形5012・5013に採用。後述のND-108・ND-109と同様ボルスタアンカーを備える。駆動装置は吊り掛け式。 NA-31 福島交通モハ5300形に採用。駆動装置は吊り掛け式。 ND-104 伊予鉄道600系電車モハ601・602に採用。組み合わされる駆動装置はWNドライブである。 ND-108・ND-108A 福井鉄道200形電車に採用。両端のND-108はDT21を基本としつつ側枠形状を変更し、ボルスタアンカーを付加した構造のものである。このボルスタアンカーと側枠を結合する支持架は側枠外側に露出して取り付けられたブレーキシリンダーとの干渉を避けるためにS字状の複雑な形状となっている。また、付随台車となる中間のND-108Aは2車体を繋ぐ役割を持つことから専用設計の心皿を備え、路面電車のように道路を走行する区間を考慮し、線路の縦方向の強い屈曲での車体との干渉を避けるため、側枠も上辺を揺れ枕部を中心にして前後を斜めに大きく削った特徴的な形状となっている。こちらもND-108と同様にボルスタアンカーを装備するが基礎ブレーキがディスクブレーキとされたためブレーキシリンダーを側枠に外付けする必要がなく、ボルスタアンカー周辺はシンプルな形状のものとなっている。なお組み合わされる駆動装置はWNドライブである。 ND-109・109A 北陸鉄道6000系電車に採用。ND-108と同様、ボルスタアンカーを備える。 ND-112 DT21の同等品で、富士急行5000形電車に採用。組み合わされる駆動装置はND-104やND-108同様WNドライブである。 ND-217・ND-217T 鹿島臨海鉄道6000形・7000形に採用。DT22・TR51の同等品。 新潟鐵工所 NP-116D・NP-116T 三陸鉄道36形に採用。DT22・TR51の同等品。 NP-119D・NP-119T 南阿蘇鉄道MT-2000形気動車に採用。DT22・TR51の同等品。 近畿車輛 KD-207・KD-207A 上信電鉄200形電車の東洋工機で製造された車両に採用。KD-207Aは付随車用。
※この「私鉄向け」の解説は、「国鉄DT21形台車」の解説の一部です。
「私鉄向け」を含む「国鉄DT21形台車」の記事については、「国鉄DT21形台車」の概要を参照ください。
- 私鉄向けのページへのリンク