製鋼
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/11/09 08:46 UTC 版)
ナビゲーションに移動 検索に移動製鋼(せいこう)とは、鋼鉄(鋼)をつくること[1]。特に銑鉄を脱炭して鋼鉄をつくる工程を指す[2]。
産鉄の種類と操作
鋼鉄をつくるには様々な方法がある。直接製鉄法では炭素濃度の低い錬鉄から鋼鉄を得るのに対し、間接製鉄法では一度炭素濃度の高い銑鉄を作った上でこれを脱炭して鉄鋼を得る[3]。一般には後者において銑鉄を脱炭して鋼鉄をつくる工程を製鋼という[2]。
直接製鉄法
直接製鉄法では鉄鉱石が比較的低温のまま固体直接還元することによって、まず炭素濃度の低い錬鉄を得る[3]。この錬鉄はそのままでは柔らかいため、加工時に炭素を高温で固体吸収させることで鋼鉄を得る[4]。この操作は浸炭と呼ばれる[2]。
間接製鉄法
間接製鉄法では溶融した鉄に炭素を溶け込ませて還元し(溶融・還元・浸炭)、この高濃度の炭素を含む溶銑を脱炭して鉄鋼を得る[3][5]。
鉄鉱石を溶融して炭素濃度の高い液体の銑鉄(溶銑)をつくる工程を製銑という[2]。この液化鉄の状態で脈石など浮き出た不純物を取り出す[3]。さらに銑鉄を脱炭して鋼鉄を得る操作が製鋼の工程にあたる[2]。
たたら製鉄
たたら製鉄にも銑鉄を製造しない直接製鋼法(ケラ押し法)と銑鉄を製造する間接製鋼法(ズク押し法)がある[6]。しかし、一般的な間接製鉄法はいったん炭素濃度4 %の銑鉄を得るのに対し、たたら製鉄で得られる玉鋼は炭素濃度がより低い[1]。そのため、たたら製鉄は直接製鉄法にも間接製鉄法のいずれにも当てはまらない別の種類に分けられることもある[3]。
脚注
- ^ a b 田中和明『よくわかる最新「鉄」の基本と仕組み』秀和システム、2009年、23頁。
- ^ a b c d e 田中和明『よくわかる最新「鉄」の基本と仕組み』秀和システム、2009年、22頁(図1-12)。
- ^ a b c d e 田中和明『よくわかる最新「鉄」の基本と仕組み』秀和システム、2009年、22頁。
- ^ 田中和明『よくわかる最新「鉄」の基本と仕組み』秀和システム、2009年、22-23頁。
- ^ 田中和明『よくわかる最新「鉄」の基本と仕組み』秀和システム、2009年、111頁。
- ^ 井沢省吾『エピソードで読む 日本の化学の歴史』秀和システム、2015年、36頁。
関連項目
製鋼
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/09 07:26 UTC 版)
高炉で取り出した銑鉄はそのままでは硬くてもろく、圧延加工をすることが困難である。銑鉄から炭素分を除去し、必要に応じて他の合金元素を混ぜることで、粘り強さを持つ鋼 (steel) を製造する工程を製鋼と呼ぶ。鉄鋼の基本的な性質を決める重要な工程であり、日本の製鋼技術は世界のトップクラスを走る。 混銑車で運ばれて来た銑鉄は、いったん取鍋(とりべ・とりなべ)に移されたあと、内部に耐火煉瓦を敷き詰めた転炉に装入される。その後転炉内部には酸素が吹き込まれる。その酸素と銑鉄中の炭素が結合して一酸化炭素となり、回収される。また、必要に応じて、ニッケルやクロム等の合金元素が投入され、対流によって均一な状態になるまで攪拌される。転炉内部の鉄が所定の成分になると作業は終了し、転炉は最初とは反対側に回転して、別の取鍋に完成した溶けた鋼(溶鋼)を排出する。高品位の鋼を作る場合、溶鋼を取鍋に入れたまま特別な装置にかけ、鋼中の不純物をさらに低減させることも多い。 転炉が1回の工程で製造する鋼は約200トン前後。製鉄所の製造ロットの基本はここで決まっている。なお、転炉では成分調整が難しい場合や、極小ロット品の製造には、電気炉で製鋼することもあるが、転炉に比べて著しくコストが高い。転炉・電気炉を通してできた鉄を粗鋼(Crude iron)と呼び、その生産量が製鉄所または鉄鋼会社の大きさの指標として使われる(例えば、粗鋼生産ランキング、粗鋼生産量の国別ランキングなど)。この工程では、使用済みで回収されたスクラップ鉄も、大きな磁石で釣り上げて(鉄以外の金属は磁石に反応しない)、少量または多量に炉へ投入されるからである。
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製鋼
「製鋼」の例文・使い方・用例・文例
- 景気後退は製鋼業界における合併を押し進めた
- 製鋼所工員たちは賃金カットに反対してストライキを行った。
- 彼は18歳で製鋼業者の職業についた。
- 製鋼業.
- 紡績[製紙, 製鋼]工場.
- 製鋼工場は操業を停止した.
- この製鋼所には自家発電装置がある.
- ベッセマー製鋼法で銑鉄を鉄に変換するのに使用される耐熱処理した炉
- 平炉製鋼法の、平炉製鋼法に関する、または、平炉製鋼法によって生じる
- 鉄鋼が浅い炉に置かれ、燃焼するガスと熱気の炎がその上に噴き出す製鋼のためのかまど
- 金属がシートとバーに圧延される製鋼所
- 屑鉄法という製鋼法
- 鋼化法という製鋼法
- 鉱石法という製鋼法
- 酸性製鋼法という製鋼法
- 製鋼炉で製造されたままの鋼
- ベッセマー転炉という,製鋼用装置
- 平炉という製鋼用反射炉
- 製鋼する
- 炉床に塩基性耐火材を用いた製鋼法
品詞の分類
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