製銑とは? わかりやすく解説

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銑鉄

(製銑 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/07/13 23:52 UTC 版)

銑鉄

銑鉄(せんてつ)は、高炉電気炉などで鉄鉱石還元して取り出したのこと。銑鉄を生産する工程のことを製銑(せいせん)と呼ぶ。古くは(ずく)と呼ばれた。

概要

純鉄の融点よりも低い融点の鉄-炭素系状態図の共晶点(炭素4.25%)で鉄を取り出すため、炭素含有量が高い。銑鉄は硬いが、衝撃を与えると割れやすいので、構造用材料には使われない。融解した銑鉄を急冷すると、主成分がセメンタイトである「白銑鉄」となる。

鉄鉱石を還元する際に使用される装置によって、「高炉銑」と「電気炉銑(電気銑)」に大別される。前者は高炉を用いて製銑された銑鉄、後者は電気炉(電炉)を用いて製銑された銑鉄である。現代日本では前者が主流で、後者の生産はほとんど行われていない。高炉による製銑は、高炉#高炉による銑鉄生産に詳しい。高炉や電気炉から取り出されたままで溶解した銑鉄のことを「溶銑」、冷やされて固まった銑鉄のことを「冷銑」と言う。冷銑は、形状によって型銑(鋳型で成型された銑鉄)、粒銑(状の銑鉄)がある。

銑鉄の用途は主に製鋼鋳物である。製鋼用銑鉄は、転炉平炉を用いて、炭素の含有量を4%前後から2%以下へ下げる処理が加えられる。この工程(これを「製鋼」と言う)によってが生産される。また、電気炉でスクラップ(屑鉄)を溶かして製鋼する際にも、成分調整用に添加される。鋳物用銑鉄(省略して「鋳物銑」とも呼ばれる)は、成分を調整されて鋳型に流し込まれ、鋳鉄となる。

大日本帝国陸軍は各種の野砲山砲向けに、通常の榴弾を補う代用品として、弾殻を銑鉄製とした「銑製榴弾」を制定していた。銑鉄は硬くもろいため、破裂した際に生じる破片が鋼製の榴弾よりも細かくなりやすく、殺傷能力の面で不利となる。同様の銑鉄製榴弾は他国にも事例があり、いずれも鋼製の榴弾よりも肉厚にして、効力を稼ぐように設計されていた。

生産地

銑鉄自体は世界各国で生産されているものの、生産量は中国が突出している。

1993年には1位の中国が9000万トン弱であったが、経済成長に支えられて2000年の時点では約1億3000万トン、さらに2000年以降は生産量が急増して2005年には約3億3000万トンと、2位の日本や3位の旧ソ連諸国と比べるとその差は4倍ほどある。

2005年時点での生産量2位は日本で8200万トン余り、3位は旧ソ連諸国(独立国家共同体)でおよそ8000万トンである[1]

銑鉄メーカー

日本

日本において銑鉄を製造する企業は、2006年度時点で8社ある。多くが最終製品の鋼材まで製造する高炉メーカー(銑鋼一貫メーカー)であるが、それらから分離され製銑などの工程を専門に担当するメーカーもある。歴史的に見れば、製鋼用銑鉄専門あるいは鋳物用銑鉄専門のメーカーも存在した。

銑鉄メーカーの一覧は以下のとおり。製鋼用・鋳物用の区別も示した[2]

出典

  1. ^ 財団法人JFE21世紀財団『大学教材 鉄鋼工学 プロセス編』、2007年
  2. ^ 『鉄鋼年鑑』平成19年版、鉄鋼新聞社

関連項目

外部リンク


製銑

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/09 07:26 UTC 版)

製鉄所」の記事における「製銑」の解説

鉄鉱石から取り出す工程のことを製銑(せいせん製鉄ではない。銑鉄せんてつ)をつくること)と呼ぶ。日本では高炉呼ばれる製鉄所シンボルとも言える巨大な溶鉱炉用いている。大型高炉場合最上部までの高さは100メートル超え、現在では[いつ?]内部容積5000立方メートル超える超大型高炉珍しくない処理され原料は、ベルトコンベア高炉上部輸送され、そこから順次高炉中に装入される。高炉壁面下部からは1,000超える熱風大量に供給されている。炉の内部では高温空気中の酸素コークス中の炭素反応して、2,000近い温度になる。 この中で鉄鉱石含まれる酸素コークス中の炭素結合して一酸化炭素となり、還元され溶解した状態で高炉下部へと流れ落ちてゆく。また、鉄鉱石中の岩石成分石灰石反応してスラグ鉱さいとなって流れ落ちる高炉下部には溶解したスラグのように降り注いでいる。 頃合い見計らって高炉下部穴を開けると、溶けたスラグ流れ出してくる。スラグ比重より軽いので、この時点容易に分離可能。こうして取り出した炭素を2〜3パーセント含んでおり、銑鉄 (pig iron) と呼ばれる多く製鉄所では、この銑鉄混銑車トーピードカー)と呼ぶ特別な形の貨車流し入れ液体溶銑)のまま次の製鋼工場に輸送している。なお、途中で溶銑予備処理(事前簡単な成分調整)を行うケースが多い。

※この「製銑」の解説は、「製鉄所」の解説の一部です。
「製銑」を含む「製鉄所」の記事については、「製鉄所」の概要を参照ください。

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製銑

出典:『Wiktionary』 (2021/08/14 01:25 UTC 版)

名詞

せいせん

  1. 鉄鉱石から銑鉄製造すること。

関連語

発音(?)

せ↗ーせん

翻訳




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