混乱時空と相剋界
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/08 23:52 UTC 版)
「超時空世紀オーガス」の記事における「混乱時空と相剋界」の解説
桂が作動させた時空振動弾の影響で時空境界が損傷し、地球上に並行世界が複数混在するようになってしまった混乱世界。桂の所属していたかつての地球の主だった人類(チラム人)を始め、人間そっくりなエマーン人・バラゴン人・アトランタ人など様々な多次元世界の種族が存在し、それぞれの勢力圏を築いている。大陸の陥没で地形を大きく変動させた時空の混乱はなお続いており、ランダムに発生する転移現象により地域が遠く離れた別の場所と入れ替わる事件がしばしば発生する。さらに空には海抜150メートルに時空の歪みの層「相剋界」が存在している。相剋界へ航空機などが突入すると猛烈な時空干渉作用が起きて大ダメージを受けるため、上昇を阻む壁となっている。高空に抜ける手段はただ一つ、時空変換装置を伴い、軌道エレベータの内部を通るしかない。 相剋界に覆われたことで温室効果により気温が上昇し、遠からず全ての生命が死滅する可能性が高いと予測されており、時空正常化が急務となっている。まれに相剋界がレンズとなって局地的に太陽光が集中することもあり、その場合は一帯が焼け野原になってしまう。相剋界を抜けた高空にある「大特異点」に特異点(桂とオルソン)が接触すれば時空の混乱が解消できると推測されており、各勢力はそれぞれの思惑で特異点奪取を目指す。一方で、チラムは特異点を必要とせず、再度の機械的な時空振動で修復を図る「D計画」を考案していた。 以下に各国家の特徴を記す。メカニックの特徴については「登場メカニック」参照のこと。なお、本作に登場する機動兵器などのビークル類は「デバイス」と総称される。 エマーン 現在のタイ付近に本拠を構えると設定された国家。赤道近くに位置するため、混乱時空世紀の気候変動の影響が甚だしく、町全体が常に空調のかかった巨大なドームに覆われ、ドーム間の通行もパイプラインによっている。戦いの神が存在しないなど平和的な種属で荒事は不得手だが、ムーを除けば本作中の国家の中で技術が一番発達しており、商品を他国家に交易することで莫大な利益を上げている。シャイアの「グローマ」はそのための交易船の一つだった。政治体制としてはラース、トーブなどいくつかの貴族的名家による合議制を取っている。 エマーン人は地球人(チラム人)によく似ているが、腰までの長さの触角(触手)が女性は2本、男性は1本、後頭部から生えている。この触角は、本人の意思で動かすこともできるが、大抵は感情に応じて勝手に動く。重量物を持ち上げたりするほどの力はなく、特に意味のない退化器官(ただしオーガスの製作中に精密作業を行っているらしきシーンもある)であり、チラムなどにスパイとして潜入している者は外科手術によって切除してしまっている。 エマーン人女性の妊娠可能な期間は17歳までで、それを越えると数回の高熱を発して生殖能力を失うとされる。その期間を過ぎた女性は、スレイ曰く女でも男でもない生き物に変わり、エマーン人男性の恋愛対象にならず、また性的羞恥心が失われてしまうため、シャイアが桂の前で平気で裸になっていたこともある。短い期間で大勢の子孫を残すため、子供はたいがい双子で誕生する。受精卵の着床も非常に早く、桂と逢引したミムジィは一時間も満たずに受精、妊娠した。 女系社会であり、代々の当主は女性と定められている。これはエマーン人の出生率が男1対女2という「女余り状態」で女性の方が社会的に強いためである。しかし結婚となれば話は別で、妊娠期間の短さもあって数の少ない男性側の「売り手市場」である。シャイアは双子の妹・マニーシャに結婚相手を譲るために、交易船に乗ってエマーン本国を離れている。 チラム D兵器が使用されるまでは、桂たちのいた「地球」だった文明圏。混乱時空になってからは「チラ」(第4話でミムジィが「チラム人にとっては、チラが地球」だと述べている)、もしくは「チラム」と呼ばれる(第15話で「チラムのチラはテラからの転訛」とオルソンが明言している)。 現在のアメリカ合衆国付近に立地すると設定された国。かつては議会制を敷いていたようだが、混乱時空20年時においては議会は廃止されていたようで、完全軍事国家体制だった。これは後述する隣国「ムー」からの軍事的圧迫のため、国家総動員態勢を敷かざるを得ない状況に追い込まれていたからである。素行の悪い将兵も多く、力ずくで桂の身柄を奪おうとして平和条約を結んでいるはずのエマーンを恫喝するなど強引な振る舞いが目立った。国家トップは「総裁」と呼ばれる。軍人は額に三角形の階級章をつける外見上の特徴がある(総裁もつけている)。 ドラマ中ではチラム軍の駐屯地はよく登場したものの、チラム本国の状況は作戦会議室とD兵器の他は、過去のシーンとムーの転移攻撃に晒される一回しか登場したことがなく、現在の一般の町や国民の詳細な状況は不明である。また女性軍人の描写はアテナ・ヘンダーソンの他は第28話での人質交換時の人員やアテナの同僚パイロットなどのいくつかにとどまる。 ムー ムー大陸がネーミングの由来である。太平洋中心に巨大な大陸があり、そこに立地していると設定されている。モーム、戦闘ロボット“大尉”らを「生産」した本国でもある。ムウと表記されることもある。 混乱時空になる以前は人手不足を高度な技術力を駆使して作ったロボットで補填していた高度な文明があったが、ある時ロボットを生産していた中枢コンピューターが暴走し、ロボットにより人間は全員虐殺されて、現在は中枢コンピューターの作る戦闘ロボットだけが増産され周囲を攻撃しているという、完全な機械の機械による軍事「国家」である。「国是」は「非論理的な存在である生命体を全て抹殺する」であり、ムー本国はロボットを生産するピラミッド状の中枢コンピューター兼工場以外はがれきの山と化しており、殺す人間のなくなった戦闘ロボットはわずかに残ったヒューマノイドタイプのロボットを手慰みに「殺して」いた。そうした行動をモームと大尉は、人間の存在を排除しても何処かで依存せざるをえない心理ではないかと思料していた。 混乱時空20年時にはチラムを全滅すべく総攻撃をかけていた。ロボットであるため温暖化は他の勢力ほど切迫した問題ではなく、むしろ人間を死滅させる手段に利用しようとして他の勢力の時空修復計画を妨害する。チラムが「D計画」など時空修復計画に一番熱心だったのは時空を修復することでムーを全滅させる作戦を練っていたからである。 時空転移現象を解析し、地上のあらゆる場所へ任意でムーの兵団を送り込むワープ転移装置を開発。各地に無差別攻撃を仕掛けていた。ただし、これは相剋界に包まれた地球内でしか作動しない。 続編『オーガス02』の舞台は、TVシリーズ最終話の時空再構成の際に軌道エレベータやデバイスと共に取り残されたパラレルワールドのひとつで、ムーに相当する場所の過去らしい。“大尉”によれば、このまま時が進めばデバイスのような機械を生み出す未来に到達するらしいが、時空再構成時の影響から時間を飛び越えて過去の時代に存在し「アーマー」として発掘されてしまっている。そのなかには時空再構成前に破棄された物の姿もあった。 その他 アトランタ 中南米のメキシコあたり(あるいはカリブ海)にあると設定された地域。住民の姿形は地球人との差異は特にない。エマーンから購入した文明の利器も持っているが、概して現代の南米やアフリカの田舎に近い生活を送っている。3千年ほど前は大変高度な文明を築き上げていたらしく、150メートルの高さの相剋界まで達する巨大遺跡が点在している。語源は伝説の大陸アトランティスから。チラム軍に人質をとられ、事実上の支配下におかれていたが、桂の介入で解放される。1 - 5話に登場したのみで、その後の動向は不明。 ファンシィ フランスあたりに設定された王国(後に共和国)。首都は「パラ」。「マリアン・トワネット」なるマリー・アントワネットがモデルとおぼしき女王がメアリ1世並の暴政を敷いていたが、桂をはじめとするグローマの介入で革命を成功させる。革命のリーダーの名前は「ジャンヌ・ダーク」。その後ジャンヌが首相となり、彼女主導の元で政治の建て直しが行われたと見られる。エマーンとはまた異なった女系社会であり、作中男は殆ど登場しなかった。一時エマーンとチラム双方から追われるグローマをかくまい、中立を保っていた。 モズク族 ヨーロッパを移動するグローマが遭遇した山賊。姿は騎馬に乗った中世のバイキングさながらで、武装も斧や弓矢の他、せいぜい手投げ爆弾程度で、雄叫びを上げながら斧で船体を乱打するなどエマーンから見れば野蛮人同然だが、高度限界を利用して高原を襲撃ポイントに選び、果敢にも鉤縄で船体にとりつきエンジンを狙って不時着に追い込み、オーガスやモラーバのコクピットを優先的に破壊するなど戦術的嗅覚は侮れず、スレイに重傷を与えるなどグローマに大きなダメージを与えた。 しかし、ジャビーを使って威嚇する窮余の作戦が当たり、ジャビーを見て「火を噴く悪魔が現れた」と恐慌して退散した。
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