人間そっくり
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/09 06:10 UTC 版)
『人間そっくり』(にんげんそっくり)は、安部公房のSF長編小説。火星人と名乗る男の訪問を受け、翻弄されるラジオ番組の脚本家が、自分の現在いる場所の現実が寓話の世界なのか実話の世界なのか判らなくなる物語。きちがいじみた男との会話の応酬から次第にそれに巻き込まれ、相手の狂気を証明しようとすればするほど、逆に自身の正当性に疑いが生じ、思わぬ事態に陥る脚本家の苦闘をユーモラスに描いている。トポロジー理論を小説の主題の展開に応用することにより、人間の帰属本能に対する解剖学的所見を試みた作品である[1]。
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- ^ a b 安部公房「あなたにトポロジー的哄笑を――帰属本能への挑戦小説『人間そっくり』」(新評 1967年4月号に掲載)
- ^ 「作品ノート20」(『安部公房全集 20 1966.01‐1967.04』)(新潮社、1999年)
- ^ 福島正実「解説」(文庫版『人間そっくり』)(新潮文庫、1976年)
- ^ 『新潮日本文学アルバム51 安部公房』(新潮社、1994年)
- ^ 「仮説の文学」とは、論理的根拠なく信じられてきた日常性に、揺さぶりをかける役割を持った文学のこと。(安部公房「SFの流行について」参照)
- ^ 永野宏志「読者にセットされる異物―安倍公房『人間そっくり』に関する覚書(二)―」(2009年)
- 1 人間そっくりとは
- 2 人間そっくりの概要
- 3 作品評価・解釈
- 4 おもな刊行本
「人間そっくり」の例文・使い方・用例・文例
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