だいしょう‐べん〔ダイセウ‐〕【大小便】
屎尿
(大小便 から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2026/04/15 06:38 UTC 版)
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屎尿(しにょう)とは、人間の大小便を合わせた呼び方で、主に工学、行政、法律分野で使われる。「屎」が常用漢字に含まれていないため、し尿と表記することが多い。
現代では無価値な廃棄物として、また不衛生で汚いもののイメージが定着しているが、近世以前では、肥料(有機質肥料)として、長屋などで汲みとられ有価で取引される金肥(きんぴ)という商品であった。こういった肥料としての使われ方は、古代ギリシャのアテネ等の世界中で行われていた[1]。
概要
屎(し)は食べた米が排泄されたものとして大便を、尿(にょう)は飲んだ水が排泄されたものとして小便を示す文字で、殷代の甲骨文字に起源し、『古事記』や『万葉集』にも登場していて、人間の排泄物と家畜などのそれとを屎と糞の字で区別する傾向も見られる(あえて人糞と表記するなど)。
現代日本では屎の文字を単独で使用することはなく、主に「大便」が使われる(この文章中でもそのようにしている)。
屎尿は汚物と呼称することもある。ただし「汚物」は屎尿だけでなくトイレの排水、嘔吐物や使用済みのトイレットペーパーや生理用品、おむつなど[注釈 1]屎尿よりも幅広い意味を持つ場合がある。
- 英語
- 外国のトイレの事情から土を被っていることが多く、そこから night soil という呼び名になったという説や、Gong farmer(別名:nightmen)という糞尿回収作業者が収集するのが夜であったことから付けられたという説がある。近代では、 night soil という呼び名はせず fecal sludge という呼び名が一般的である。
利用法
屎尿は東アジア(中国東部、朝鮮半島、日本)で肥料(下肥)として農地還元される文化があり、日本では江戸時代後期に都市部と農村の間に流通経路が確立したという。江戸の場合、堆肥の元となる里山が多かった多摩地域では需要が薄く、逆に低湿地が多く舟運に適した葛西で利用が進んだという。肥料としての屎尿は肥料の三要素における窒素が過剰であるため、葉物野菜の栽培に適し、現在の東京の特産物である小松菜の栽培にも多用されたと考えられる。化学肥料が安価で大量に生産され始めた1950年代まで主要な肥料であった。当時は新聞の廃品回収と同様に、農家が買い取っていた。 下記の輸送に詳細するが、武蔵野鉄道(現在の西武鉄道)には、かつて東長崎駅と江古田駅の中間に長江駅があり、都内で集められた屎尿を貨車に積み、多摩地区や狭山地区の農家へ届けるために輸送され、黄金列車と呼ばれていた。 こうした屎尿の処理システムは、十分な屎尿処理ができず度々ペストなどの疫病が蔓延した同時代のヨーロッパの都市に対し、江戸が大きな疫病もなく長期にわたり繁栄した理由の一つであった。
回収・輸送
江戸の下肥は屎尿を混合していたが、京と大坂では両者を分け、売却も別だったという。現在、発展途上国向けに主に公衆衛生改善策として伝染病リスクの少ない便所を広める運動があり、そこでも大便は分割貯留し、尿を作物に施肥する方策を採っている。
- 下肥の水増し
廃棄物
日本で屎尿を廃棄物として規定したのは、1900年(明治33年)に公布された汚物掃除法からである。ただしこれは、公衆衛生が目的であり、有価物としての売却は続いていた。
しかし、大正期に入ると経済成長が労賃高騰を招き、農村還元(都市部で発生した屎尿を農地へ運搬・施肥する)が経済的に引き合わなくなって行く。 都市部などの一部自治体による汲取も始められた[6]。 さらに即効性が高く施肥も効率的な硫安(化学肥料)が食糧増産への国策として奨励された事もあり、ついにサイクルは崩れ、大正期半ば以降は収集料を住民が負担し、屎尿収集とその処理を地方行政が担う現代の姿となった。 戦後になると、一時は食料不足と経済の低迷により再び屎尿が肥料として使われるようになった。しかし、しばらくすると住宅地が広がるのに伴って農地が減ったことや化学肥料の使われる頻度が大幅に増加したことにより、屎尿は捨てられていった。
廃棄方法
屎尿は現在日本では主にし尿処理場や下水処理場、浄化槽等で衛生的に処分されている。1950年代〜1970年代ほどまでは、海洋投棄等の不衛生処分が主であり、こうした処理方法は、伝染病の広がる要因ともなった。
脚注
注釈
出典
- ↑ Durant, Will (1939) (pdf). The Life of Greece. The Story of Civilization: Part II. New York: Simon and Schuster. p. 269. 2025年3月23日閲覧。
- ↑ 西武線などで深夜運転(昭和19年6月9日 日本産業経済新聞)『昭和ニュース辞典第8巻 昭和17年/昭和20年』p243
- ↑ 『都政週報 第44号』1944年6月24日、15頁。 - 国立国会図書館デジタルコレクション
- ↑ 『『週刊東洋経済』抄 : 歴史とともに歩んだ 5000号記念復刻 〔4〕』東洋経済新報社、1991年6月。 - 国立国会図書館デジタルコレクション
- ↑ 『週刊東洋経済新報 第2133号』東洋経済新報社、1944年7月29日、16頁。[4]
- ↑ 下川耿史 家庭総合研究会 編『明治・大正家庭史年表:1868-1925』河出書房新社、2000年、444頁。 ISBN 4-309-22361-3。
参考
制作 新理研映画株式会社 引用 npo科学映像館『し尿のゆくえ』↓ https://www.kagakueizo.org/create/other/12768/
関連項目
大小便
「大小便」の例文・使い方・用例・文例
- 生理的要求 《大小便など》を満たす.
- 寝たきりの患者が大小便をするのに用いる浅い容器
- 寝室で大小便を受ける容器
- 大小便の排出の自発的な抑制
- 大小便などの排泄物
- 大小便を排泄すること
- 大小便を汲みあげて取り出すこと
- 大小便を汲み出す仕事をする人
- 大小便を汲みあげて取り出す方式の便所
- 大小便を受けるための壷
- (老衰などのため)大小便を抑制できないで漏らす
- 大小便を垂れ流すこと
- 大小便の始末ができず,そのままにしておくこと
- 大小便を垂れる
- 大小便
- (大小便などを)物にたれ掛ける
- 便所の大小便を汲み取り出す口
- 大小便の用を足し忘れる
- (大小便や屁を)しまりなく漏らし続ける
- (大小便や屁を)しまりなく漏らしはじめる
大小便と同じ種類の言葉
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