大マゼラン星雲とは? わかりやすく解説

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だい‐マゼランせいうん【大マゼラン星雲】

読み方:だいまぜらんせいうん

大マゼラン雲


大マゼラン星雲

分類:銀河


名称:大マゼラン星雲(大マゼラン銀河)
小分類:不規則銀河
属す銀河群:局部銀河群
属す星座:かじき座(旗魚座)(南天)

大マゼラン星雲は、小マゼラン星雲とともに南半球の空に見え不規則銀河です。1520年マゼランによる世界周航途上発見されたことからこの名が付きました銀河としては地球から最も近い距離15万光年の位置あります。両マゼラン銀河連銀河成し銀河系とともに三重銀河考えられています。宇宙分布している銀河のうち、肉眼で見ることができるのは、大マゼラン雲小マゼラン雲アンドロメダ銀河のみです。

1.見つけ方ポイントは?
大マゼラン星雲は、かじき座という星座属していますが、この星座エリダヌス座のずっと南にあり、日本からはまず見ることができない南天の小星座です。しかし、大マゼラン雲は、この星座南側かかっており、南半球天の川近く大きくはっきりと、小マゼラン雲とともに見ることができます肉眼でも渦巻の腕はなんとか分かり暗い空での双眼鏡による景観美しいと定評あります

2.どのような特徴があるの?
銀河系4分の1大きさである(LMC)大マゼラン雲不規則銀河ですが、渦状腕痕跡があるという見方あります明るさ0.6等です。また、大マゼラン雲中にある、かじき座30番といわれる天体は、数百から成る高温比較若い星集団で、タランチュラ星雲などの散光星雲輝いて見えます。そのため大マゼラン雲全体の色は、アンドロメダ銀河などの渦巻銀河比べる青みがかって見えます
また、1987年に、タランチュラ星雲近く超新星現れました。

3.どれくらい大きさなの?
視直径650´×550´

4.地球からはどれくらい離れているの?
15万光

参考文献:河島監修/三品隆司ほか編「スペース・アトラス」PHP研究所パトリック・ムーア編/中村士ほか訳「ギネスワールド天文宇宙講談社小平桂一ほか編「平凡社天文事典平凡社原恵新装改訂版星座神話恒星社厚生閣


大マゼラン雲

(大マゼラン星雲 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/12/10 14:46 UTC 版)

大マゼラン雲
Large Magellanic Cloud
星座 かじき座テーブルさん座
見かけの等級 (mv) 0.9m[1]
視直径 10.75°× 9.17°
(650′× 550′)[1]
約42平方度[2]
満月の約20倍)
分類 SB(s)m [1]
位置
元期:J2000.0
赤経 (RA, α) 05h 23m 34.5s[1]
赤緯 (Dec, δ) -69°45′22″[1]
距離 16.30万光年
(49.97 kpc[3]
物理的性質
直径 1.5万 光年
太陽との相対質量 10 ×1010
他のカタログでの名称
ESO 56- G 115,
ESO 052400-6948,
ESO-LV 0561150,
RC1 A0524,
RC2 A0524-69,
PGC 17223,
電波源として)
GLXY G279.0-34.4+262,
ガンマ線源として)
2EG J0532-6914,
3EG J0533-6916,
GEV J0543-7031[1]
Template (ノート 解説) ■Project

大マゼラン雲(だいマゼランうん)[4][5][6]: Large Magellanic Cloud, LMC) は、かじき座からテーブルさん座にかけて位置する、星雲の集合体である銀河である。

解説

Sm 型の棒渦巻銀河[5]とされるが、Irr-I 型の不規則銀河に分類されることもある。小マゼラン雲とともに天の川銀河伴銀河となっており、アンドロメダ銀河などとともに局所銀河群を構成している。南天にあるため、沖ノ鳥島などのごく一部を除いて日本からは見ることはできない。南半球では、かじき座テーブルさん座にまたがるぼんやりとした雲のように見える。太陽系からおよそ16万光年(5万パーセク)の距離に位置し、質量は銀河系の10分の1程度、直径は銀河系の20分の1程度の矮小銀河であり、局所銀河群の中ではアンドロメダ銀河 (M31)・銀河系・さんかく座銀河 (M33) に次ぐ4番目に大きなメンバーである。形態は不規則銀河であるが、わずかに棒構造や渦巻構造の痕跡が見られる。このことから、かつては棒渦巻銀河であったものが、天の川銀河との相互作用によって変形を受けて現在の形状になったと考える研究者もいる。将来的には天の川銀河から離れていくと考えられているが、逆に今後20億年以内に天の川銀河と衝突合体するとする説もある[7]

ハッブル宇宙望遠鏡を使って7年間の観測を行った結果、大マゼラン雲の回転速度が正確に測定され、その中央部は2億5000万年で一回転していることがわかった[8]

大マゼラン雲には、局所銀河群の銀河の中でも最も活発なスターバースト領域である散光星雲タランチュラ星雲 (NGC 2070) や、1987年に出現し、宇宙ニュートリノが検出された超新星 SN 1987A[9]が存在する。

呼称

大マゼラン星雲[10]と呼ばれることもあるが、英語名の the Large Magellanic Cloud (LMC) の訳語に当たるため、「- 星雲」ではなく「- 雲」である。日本変光星観測者連盟 (VSOLJ) ローカルでは、さらにこの星雲を銀河に置き換えた大マゼラン銀河という表記が行われている[11][12][13]ラテン語名 Nubecula Major。また大マジェラン雲と表記されたこともある[14]

発見史

南半球の人たちにとっては有史以前から知られており、発見者は特定できない。10世紀イスラームの天文家アル・スーフィーは著書『恒星の書』において、ほぼ北緯12度15分にあるバブ・エル・マンデブ海峡 Babd al Mandab (sic.) を境にして、バグダードアラビアの北部では観えないが、アラビアの南部では観え、al-Bakr (「白い牛」の意)と呼んでいたと記している[2]

「- マゼラン雲」の名は、ポルトガルの航海家フェルディナンド・マゼラン1519年の世界周航において記録していたことにちなむ。それ以前の航海者は「ケープの雲」と呼んでいた[2]

イタリアの航海家アメリゴ・ヴェスプッチ1503年から1504年にかけて行った第3の航海において言及している「3つのカノープス[注釈 1]」の1つが大マゼラン雲ではないかと考えられている。また、同じイタリアのアンドレアス・コルサーリ英語版1517年の航海の際に描いたスケッチにも見えている。

1603年ドイツヨハン・バイエルは星図『ウラノメトリア』において Nubecula Major としており、1679年フランスの宮廷建築家オギュスタン・ロワーエの星図には Nubes Major とある。1801年ドイツのヨハン・ボーデは星図『ウラノグラフィア』(Uranographia )においてバイエルを踏襲して Nubecula Major とし、なおかつ独立した星座「おおぐも(大雲)座」として扱っていた[15]

中国の伝統的な星座体系における扱いについては、中国では見えないので古代からの三垣二十八宿には含まれておらず、後に南天の星座が近南極星区星官として追加された中では、大マゼラン雲(おおぐも座)に相当するものは「夾白」の名で採用された。

距離

大マゼラン雲までの距離は様々な標準光源によって計算されており、中でもセファイド型変光星を用いるものが一般的である。セファイド型変光星は、平均光度と変光周期との間に「周期-光度関係」と呼ばれる一定の関係を持つことが知られている[16]。しかしながら、セファイド型変光星は金属量の影響も受けており、金属量が異なるセファイド型変光星は周期-光度関係も異なる[16]。残念なことに、周期-光度関係の較正に用いられる天の川銀河内の典型的なセファイド型変光星は、大マゼラン雲に見られるセファイド型変光星よりも金属量に富んでいる[17]

2006年には、M106内の様々な金属量のセファイド型変光星を用いて、絶対光度が再較正された[18]。この改良された較正値を用いた研究では、距離係数

大マゼラン雲にある散開星団NGC1858[21]
  • 大マゼラン雲にある球状星団NGC2210[22]
  • N44。中央の空間はスーパーバブルと呼ばれ、250光年の幅がある[23]
  • 大マゼラン雲を扱った作品

    脚注

    注釈

    1. ^ この「カノープス」は、明るい星の総称であり、りゅうこつ座α星のことではない。当時は明るい星のことを「canopus」と呼んでいた。

    出典

    1. ^ a b c d e f NASA/IPAC Extragalactic Database”. Results for Large Magellanic Cloud. 2008年11月28日閲覧。
    2. ^ a b c Richard Hinckley Allen (1963年). “'Star names: Their Lore and Meaning”. Dover Publications. pp. 294-295. 2016年4月24日閲覧。
    3. ^ a b c Pietrzyński, G. et al. (2013-03). “An eclipsing-binary distance to the Large Magellanic Cloud accurate to two per cent”. Nature 495 (7439): 76-79. arXiv:1303.2063. Bibcode2013Natur.495...76P. doi:10.1038/nature11878. ISSN 0028-0836. http://www.nature.com/articles/nature11878. 
    4. ^ 国立天文台 編『理科年表 2008年版』丸善、2007年11月23日、131頁。 ISBN 978-4621079027 
    5. ^ a b 川崎渉「主な星雲・星団」『天文年鑑 2009年版』誠文堂新光社、2008年11月、309頁。 ISBN 978-4416208199 
    6. ^ 三上孝雄「銀河」『天文観測年表 2008年版』地人書館、2007年11月、197頁。 ISBN 978-4-8052-0789-5 
    7. ^ 銀河系と大マゼラン雲、20億年後に「大衝突」 英研究”. CNN.co.jp (2019年1月14日). 2023年8月8日閲覧。
    8. ^ 大マゼラン雲、2億5000万年で一回転”. AstroArts (2014年2月19日). 2014年2月20日閲覧。
    9. ^ 熊谷紫麻見; 茂山俊和; 山岡均; 野本憲一「4 年たった超新星 1987A」『天文月報』日本天文学会、1991年2月、44頁https://www.asj.or.jp/geppou/archive_open/1991/pdf/19910203.pdf2016年4月24日閲覧 
    10. ^ 渡辺和郎「星図」『天文年鑑 2009年版』誠文堂新光社、2008年11月、329頁。 ISBN 978-4416208199 
    11. ^ 山岡均VSOLJ ニュース』 031巻https://mirahouse.jp/vs/vsolj_news/031.html2016年4月24日閲覧 
    12. ^ 山岡均VSOLJ ニュース』 162巻https://mirahouse.jp/vs/vsolj_news/162.html2016年4月24日閲覧 
    13. ^ 山岡均VSOLJ ニュース』 188巻https://mirahouse.jp/vs/vsolj_news/188.html2016年4月24日閲覧 
    14. ^ 鈴木敬信『天文学辞典』地人書館、1986年、383頁。
    15. ^ Bode, Johann Elert. “Uranographia Sive Astrorum.”. Linda Hall Library, LHL Digital Services.. 2014年5月10日閲覧。
    16. ^ a b セファイド”. 天文学辞典. 日本天文学会 (2018年9月27日). 2018年10月10日閲覧。
    17. ^ Mottini, M. et al. (2006). “The chemical composition of Cepheids in the Milky Way and the Magellanic Clouds”. Memorie della Società Astronomica Italiana 77: 156. arXiv:astro-ph/0510514. Bibcode2006MmSAI..77..156M. 
    18. ^ Macri, L. M. et al. (2006). “A New Cepheid Distance to the Maser-Host Galaxy NGC 4258 and Its Implications for the Hubble Constant” (英語). The Astrophysical Journal 652 (2): 1133. arXiv:astro-ph/0608211. Bibcode2006ApJ...652.1133M. doi:10.1086/508530. ISSN 0004-637X. http://stacks.iop.org/0004-637X/652/i=2/a=1133. 
    19. ^ Freedman, Wendy L; Madore, Barry F (2010). “The Hubble Constant”. Annual Review of Astronomy and Astrophysics 48: 673-710. arXiv:1004.1856. Bibcode2010ARA&A..48..673F. doi:10.1146/annurev-astro-082708-101829. ISSN 0066-4146. 
    20. ^ Majaess, Daniel J. et al. (2010). “Anchoring the Universal Distance Scale via a Wesenheit Template”. JAAVSO 39 (1): 122. arXiv:1007.2300. Bibcode2011JAVSO..39..122M. 
    21. ^ 大マゼラン雲の青き天体。散開星団「NGC 1858」をハッブルが撮影”. sorae. 2022年12月12日閲覧。
    22. ^ ハッブルが発見–お隣の銀河「大マゼラン雲」にある球状星団から分かる宇宙の深遠(画像アリ)”. UchuBiz. 2023年12月31日閲覧。
    23. ^ 約250光年の幅があるスーパーバブル構造。輝線星雲「LHA 120-N 44」【今日の宇宙画像】”. sorae. 2024年4月18日閲覧。

    外部リンク

    座標: 05h 23m 34.5s, −69° 45′ 22″


    大マゼラン星雲

    出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/14 06:04 UTC 版)

    宇宙英雄ペリー・ローダンの登場天体一覧」の記事における「大マゼラン星雲」の解説

    大マゼラン星雲は銀河系伴銀河キーガン星系キーグ タイガーI ファースト・ストップ星系ファースト・ストップ 孵化星系デンジャーI ボウル星系ボウルタト ミシラ星系プフラナト モデュラ星系モデュラII モデュラIII その他の惑星デンジャー14 デンジャー27 デンジャー28 タイガー・セクター ナヴォ北

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