きんぞく‐りょう〔‐リヤウ〕【金属量】
金属量
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金属量(きんぞくりょう、metallicity)[1]とは天文学で、天体に含まれる水素・ヘリウム以外の元素の割合を指す。天文学では、ヘリウムよりも原子番号の大きな元素は「金属 (metal)」または「重元素 (heavy element)」と呼ばれる[2][3]。
天体の金属量はその天体の形成時期の指標となる。ビッグバンモデルによれば、誕生直後の宇宙にはほぼ水素原子のみが存在し、その後ビッグバン元素合成の過程によってヘリウムとごくわずかのリチウムが生成された[4]。そのため、宇宙の最初期に生まれた最も古い恒星(初代星または種族IIIとして知られる)は金属量が非常に小さい[5]。その後宇宙の進化が進むと、恒星内部での元素合成によって作られた重元素が星の進化に伴って惑星状星雲や超新星となって星間物質に戻され、宇宙全体の重元素量や恒星の金属量は次第に増加することになる。よってこのような重元素の多い星間物質から星形成によって生まれた新しい恒星は金属量が多い。
恒星の金属量 Z は、その質量に占める水素とヘリウム以外の元素の割合として定義される[6]。従って、水素の質量比 X、ヘリウムの質量比 Y との間に
金属量
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/03 00:49 UTC 版)
ウォルフ・ライエ星の数や性質は、その前駆星の化学組成によって異なる。この違いの主な原因は、金属量の違いによる質量損失の比率である。金属量が高いほど質量損失が大きくなり、大質量星の進化とウォルフ・ライエ星の性質にも影響を与えることとなる。質量損失が大き過ぎると、鉄の中心核が成長して崩壊する前に外層が失われてしまうため、質量の大きな赤色超巨星は超新星として爆発する前に高温に戻ってしまい、最も質量の大きな恒星ではその進化の過程で赤色超巨星に進化することはない。ウォルフ・ライエ段階では、質量損失が大きくなると、対流コアの外側の層の消耗が激しくなり、表面の水素の存在量が減少し、ヘリウムがより急速に剥がれ落ちてWC型スペクトルを見せるようになる。 このような傾向は、局所銀河群の様々な銀河で観測されており、天の川銀河内では太陽系に近いレベル、アンドロメダ銀河ではやや低いレベル、大マゼラン雲ではさらに低いレベル、小マゼラン雲でははるかに低いレベルと、金属量にばらつきが見られる。個々の銀河の中でも金属量の違いが見られ、さんかく座銀河と天の川銀河では銀河の中心に近い方が高い金属量を示し、アンドロメダ銀河では銀河ハローよりも銀河円盤の方が高い金属量を示している。また、小マゼラン雲は恒星形成率に比べてウォルフ・ライエ星が少なく、WO星1つを除いてWC星が全くないのに対し、天の川銀河はWN星とWC星の数がほぼ同数で、ウォルフ・ライエ星の総数が多く、その他の主要な銀河ではWC星よりWN星のほうが多く、ウォルフ・ライエ星の総数がやや少ない。大マゼラン雲と、特に小マゼラン雲のウォルフ・ライエ星は輝線が弱く、恒星大気中の水素比率が高くなる傾向がある。小マゼラン雲のウォルフ・ライエ星はそのほとんどが、恒星風が弱くその光球を完全に隠し切れていないため、早期型スペクトルの星でも水素の輝線や吸収線まで示す。 赤色超巨星期を経てWNL星に戻ることができる主系列星の最大質量は、天の川銀河では約20 M☉、大マゼラン雲では32 M☉、小マゼラン雲では50 M☉以上と計算されている。より進化したWNE星とWC星の段階は、太陽系近辺の金属量では初期質量が25 M☉以上、大マゼラン雲では60 M☉以上の星でしか到達しない。通常の単独星の進化では、小マゼラン雲の金属量ではWNE星やWC星は生まれないと予想されている。
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