恒星表層の構造
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/26 06:35 UTC 版)
恒星エンベロープでの遷移層: 低質量星や赤色巨星でのヘリウム電離領域や対流層の下端などの遷移層も周波数スペクトルに影響を与える。これらの不連続性がない構造の場合、高次の音響モードは周波数の分布においていくつかの規則性に従う (大きな周波数の間隔や二次の差など)。遷移領域はこれらの規則性に対して周期的なずれを引き起こし、このずれの周期は遷移領域の正確な位置と直接関係している。このずれの存在は理論的に予測されており、太陽で初めて観測された。COROT による観測によって、太陽に類似した恒星 HD 49933(英語版) や、赤色巨星の HD 181907 でも検出されている。どちらの恒星でも、ヘリウム電離領域の位置は正確に導出されている。 太陽類似の振動スペクトルの振幅と線幅: COROT ミッションの主要な成功のひとつは、太陽よりもわずかに高温な恒星での太陽に似た振動の検出である。過去に太陽に対して行われたように、恒星の周波数スペクトルにおける振幅と線幅の測定は、乱流対流による音響モードの確率的な励起のモデル化において新しい制約をもたらした。HD 49933 の周波数スペクトルは、Samadi らによって開発された確率的励起モデルとの問題に直面していた。高周波数領域を除くと、太陽よりも10倍低い金属量を仮定した場合に観測とモデルがよく一致した。一方で太陽と同じ金属量の場合、低周波数領域では振幅が2倍異なる値となる。 粒状斑: HD 49933 の周波数スペクトル中には粒状斑の存在が検出されている。解析は太陽と同じ金属量と10分の1の金属量を仮定した三次元流体力学モデル大気の計算を用いて行われている。この場合もやはり金属量が低いモデルが観測と近いように思われるが、大きな不一致は依然として残されている。
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