恒星間宇宙航行
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/14 15:32 UTC 版)
詳細は「恒星間航行」を参照 現在5隻の宇宙船が太陽系を離れて航行している。最も太陽系から遠く離れている位置にある宇宙船は1977年に打ち上げられたボイジャー1号である。2012年11月現在で太陽から約180億キロメートルの位置にあり、秒速約17.12キロメートル(3.61天文単位 / 年)の速度で移動している。太陽系に最も近い恒星であり、2012年10月には惑星が発見されたケンタウルス座α星までは4.37光年の距離がある。仮にボイジャー1号がこの恒星に向かっているとしても、現在のところ全行程の0.044%しか進んでおらず、到達までに約8万年がかかる。 恒星間を探査機で宇宙航行する場合、現在までに開発されたエンジンはどれも適さない。もしケンタウルス座α星に50年で到達するならば光速の10%(3万km/s)に当たる速度が必要なる。燃料を燃焼させる化学エンジンは加速するエネルギーを得ようとすれば比例して搭載する燃料の重量が増し、事実上不可能である。スイングバイは外部からエネルギーを獲得できるが、太陽系の惑星からは充分な速度は得られない。探査機はやぶさが搭載したイオンエンジンのエネルギー源は電力であり、仮に原子力電池の性能を高めた大容量電池を搭載し、はやぶさ並みの加速を持続できたとしても、到達は約1600年後になる。実現化していないが有望視される動力にレーザー核融合があり、超伝導コイルで推進方向を制御できれば、必要な速度を得られる可能性がある。空想的なSFで言うワープ航法以外にも、反物質の使用やレーザーを探査機に継続して照射する方法なども考案されるがいずれも現実的でなく、かつて恒星間宇宙航行であるダイダロス計画を立案した英国惑星間協会も後継する計画「イカロス」でレーザー核融合エンジンを構想しているという。また、どのように減速するか、稼動する機械が宇宙空間でメンテナンス無しに50年動かし続ける設計の困難さなど、問題は山積している。
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