渦巻銀河とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > デジタル大辞泉 > 渦巻銀河の意味・解説 

うずまき‐ぎんが〔うづまき‐〕【渦巻(き)銀河】

読み方:うずまきぎんが

形による銀河の分類の一。中心部を2本の腕が取り巻いて渦状になっている形の銀河。腕の部分多く恒星からなる。普通の渦巻き型のほかに、棒渦巻き型がある。アンドロメダ銀河など。渦状(かじょう)銀河渦巻き星雲。→棒渦巻き銀河

渦巻き銀河の画像
渦巻銀河NGC3982NASA
「渦巻銀河」に似た言葉

渦巻銀河

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/20 14:49 UTC 版)

ハッブル宇宙望遠鏡が撮影した渦巻銀河NGC4414
ハッブル宇宙望遠鏡が撮影した渦巻銀河M51の中心部。渦状腕に沿ってHII領域やダーク・レーンが存在している。
渦巻構造を作る密度波

渦巻銀河[1](うずまきぎんが、spiral galaxy[1])は、銀河ハッブル分類における種類の一つ。

特徴

渦巻銀河は以下のような特徴を持つ。

渦巻銀河はディスク内に明るい渦状腕を持っているためにその名が付いている。渦状腕はバルジから外側に向かって螺旋を描くように伸びており、腕に沿ってダーク・レーンと呼ばれる暗い筋状の構造やHII領域などの星形成の盛んな領域が見られる。渦巻銀河の中には羊毛状渦巻銀河と呼ばれる、あまり明瞭でない切れ切れの渦状腕を持つような銀河もあるが、この渦状腕の存在によって渦巻銀河とレンズ状銀河(S0銀河)は区別される。渦巻銀河のディスクは大きな楕円体の銀河ハローに取り囲まれている。銀河ハローには種族IIの星が含まれ、その多くは球状星団として存在し、銀河中心の周囲を軌道運動している。

我々の銀河系も渦巻銀河であり、ハッブル分類では Sb に相当すると考えられていたが、最近の研究では、銀河系は棒渦巻銀河であるという説が有力であり、その場合には SBb に相当するのではないかとされている。

渦巻構造の起源

渦巻銀河の渦状腕がなぜできるかについて初期に研究を行ったのはベルティル・リンドブラッドである。彼は、星が永久に螺旋状に配列していると仮定すると、巻き込みのジレンマによっていずれ腕は何重にも巻き込まれてしまい、現在のような安定した姿を保つことはできないことを示した。銀河ディスクは回転の角速度が銀河中心からの距離によって異なる差動回転をしているため、車輪のスポークのような動径方向に伸びる腕があったとしても、銀河の回転によってすぐに巻きついてしまう。実際の銀河の腕はこのようにはなっていない。

1964年、C. C. リンとフランク・シューがこの問題を解決する理論を初めて提案した。彼らは渦状腕はディスクに生じた螺旋状の密度波が目に見えているものだと指摘した。彼らはディスク内の星の軌道がわずかに楕円軌道を描いており、その楕円軌道の向きが星同士互いに相関を持っていて、銀河中心からの距離に応じて滑らかに少しずつ変化していると仮定した。星の軌道がこのような条件に従っていると、ディスク内に星の密度の高い部分が螺旋状にできることを彼らは示した。 従って、ディスク内の星は現在我々が観測した位置にいつまでもとどまっているわけではなく、軌道運動によって腕の部分を定期的に通り抜けていることになる。

これはよく、所々に渋滞が発生している高速道路に喩えられる。渋滞が発生している箇所が銀河の渦状腕に相当する。渋滞の中にいる自動車はそこにとどまっているのではなく低速ながらも走っており、いずれ渋滞部分を抜け出す。これと同様に、渦状腕を構成している星は常に同じではなく入れ替わっているが、腕自体は星の密度が高い部分として同じ位置に存在し続ける[2]

出典

  1. ^ a b 『オックスフォード天文学辞典』(初版第1刷)朝倉書店、38頁。ISBN 4-254-15017-2 
  2. ^ 日本大百科全書(ニッポニカ)の解説 - 渦状構造密度波理論

外部リンク


渦巻銀河

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/24 08:51 UTC 版)

銀河」の記事における「渦巻銀河」の解説

詳細は「渦巻銀河」および「棒渦巻銀河」を参照 薄い円盤状の回転する星々星間物質構成され通常中心部近くなるほど古い星が多くなる。そして、中央の銀河バルジから比較明る渦巻き腕状の構造伸びている。ハッブル分類では、S で示され小文字 (a,b,c) で腕の粗密バルジ規模表しSa湾曲度合い大きく個別識別不明瞭な腕を持ち大きなバルジを持つ) やSc(腕は開放的で、そのバルジ小さい) 等と表記されるそのほか羊毛状渦巻銀河わずかな腕だけのもの)(または毛ふさ状渦巻銀河)や、グランドデザイン渦巻銀河しっかりと識別可能で湾曲具合激しい腕が観察できるもの)などもある。 腕は、一様に回転する星の相作用から、対数螺旋近似した形状を持つ。星々同様に、腕はバルジ中心に回転し、その角速度一定である。この渦巻く腕は高密度の物質が集まる領域もしくは密度波と考えられている。星がこの腕の領域に入ると恒星系宇宙速度影響を受け、腕部分を抜けると元に戻る。これは、自動車道路渋滞にはまると速度落ち抜けると早くなる現象酷似している。そしてこの高密度な状態が星形成促進するため、腕は輝いて見える。つまりは、腕部分には若い星多く存在する大多数は、バルジから両方向に伸びる直線的な棒状の星の帯を持ち渦巻構造接続している。ハッブル分類では SB表し小文字 (a,b,c) は渦巻銀河と同様に腕の粗密を表す。この棒構造は、バルジ部分や他の銀河から寄せられ銀河潮汐力英語版)による密度波によって作られ一時的なもの考えられている。また多く棒渦巻銀河は、棒構造沿ってガスバルジ流れ込むため、活動的である。 天の川銀河直径約3パーセク厚さ1000パーセク棒渦巻銀河である。約2000億 (2×1011) の星があり、全重量太陽6000億倍 (6×1011) である。 .mw-parser-output .tmulti .thumbinner{display:flex;flex-direction:column}.mw-parser-output .tmulti .trow{display:flex;flex-direction:row;clear:left;flex-wrap:wrap;width:100%;box-sizing:border-box}.mw-parser-output .tmulti .tsingle{margin:1px;float:left}.mw-parser-output .tmulti .theader{clear:both;font-weight:bold;text-align:center;align-self:center;background-color:transparent;width:100%}.mw-parser-output .tmulti .thumbcaption{background-color:transparent}.mw-parser-output .tmulti .text-align-left{text-align:left}.mw-parser-output .tmulti .text-align-right{text-align:right}.mw-parser-output .tmulti .text-align-center{text-align:center}@media all and (max-width:720px){.mw-parser-output .tmulti .thumbinner{width:100%!important;box-sizing:border-box;max-width:none!important;align-items:center}.mw-parser-output .tmulti .trow{justify-content:center}.mw-parser-output .tmulti .tsingle{float:none!important;max-width:100%!important;box-sizing:border-box;align-items:center}.mw-parser-output .tmulti .trow>.thumbcaption{text-align:center}} Hoag's Object英語版)、リング銀河の例。 NGC 5866レンズ状銀河の例。

※この「渦巻銀河」の解説は、「銀河」の解説の一部です。
「渦巻銀河」を含む「銀河」の記事については、「銀河」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「渦巻銀河」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「渦巻銀河」の関連用語

渦巻銀河のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



渦巻銀河のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
デジタル大辞泉デジタル大辞泉
(C)Shogakukan Inc.
株式会社 小学館
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの渦巻銀河 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaの銀河 (改訂履歴)、ハッブル分類 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS