伊勢崎賢治
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伊勢崎 賢治
いせざき けんじ
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生年月日 | (1957-07-06) 1957年7月6日(68歳) |
出生地 | ![]() |
出身校 | 早稲田大学理工学部建築学科卒業 早稲田大学大学院理工学研究科都市計画専攻修了 |
前職 | 東京外国語大学教授 |
所属政党 | れいわ新選組 |
選挙区 | 比例区 |
当選回数 | 1回 |
在任期間 | 2025年7月29日 - 現職 |
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伊勢崎 賢治(いせざき けんじ、1957年7月6日 - )は、日本の政治家、平和学研究者。れいわ新選組所属の参議院議員(1期)。同党参議院国会対策委員長。東京外国語大学名誉教授、自衛隊を活かす:21世紀の憲法と防衛を考える会呼びかけ人[1][2]。
略歴
伝記の記載を年譜形式のみとすることは推奨されていません。 人物の伝記は流れのあるまとまった文章で記述し、年譜は補助的な使用にとどめてください。(2017年9月)
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- 1957年、東京都で生まれる[3]。
- 1976年3月 - 東京都立立川高等学校卒業。
- 1980年3月 - 早稲田大学理工学部建築学科卒業、早稲田大学大学院理工学研究科入学。専攻は都市計画[1]。
- 1982年 - ボンベイ大学大学院社会科学研究科に留学。専攻はソーシャルワーク[1]。
- 1984年6月 - ボンベイ大学大学院社会科学研究科博士前期課程修了(後期中退)。インドの世界最大規模のスラムに住み込み、コミュニティー・オーガナイザーとして活動[1]。
- 1986年3月 - 早稲田大学大学院理工学研究科都市計画専攻修了。
- 1987年 - ボンベイ市公安局から国外退去命令を受け帰国[1]。
- 1988年から1997年 - 国際NGO「プラン・インターナショナル」に就職。シエラレオネ、ケニア、エチオピアに赴任し、農村総合開発を指揮する[1]。
- 1997年 - プラン・インターナショナルの日本事務局である日本フォスター・プラン協会で国際援助部長として予算管理、広報戦略を担当する[1]。
- 1998年 - 財団法人笹川平和財団に転職。調査役・主任研究員として中東和平に関わる[1]。
- 1999年7月から2000年2月 - 国際連合平和維持局ニューヨーク本部主催DDR特別運営委員会日本政府代表。
- 同年3月から2001年5月 - 国際連合東ティモール暫定行政機構上級民政官として、同国コバリマ県の県政を指揮[1]。
- 2001年6月から2002年3月 - 国際連合シエラレオネ派遣団、国際連合事務総長副特別代表上級顧問兼武装解除・動員解除・社会復帰(DDR)部長として、内戦後のシエラレオネでDDRを指揮する[1]。
- 2002年4月から2006年3月 - 立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科教授[1]。
- 2003年2月から2005年7月 - 日本主導で行われたアフガニスタンでの軍閥・武装勢力の武装解除を指揮[1]。
- 2006年4月から2009年3月 - 東京外国語大学大学院地域文化研究科平和構築・紛争予防学講座(PCS)教授。
- 2007年 - 衆議院「テロ防止・イラク支援特別委員会」に参考人として招致される[1]。
- 2009年 - 「アフガニスタンの和解と平和に関する円卓会議」11.23東京会議を主催[1]。
- 2009年4月から2023年3月 - 東京外国語大学大学院総合国際学研究科国際協力専攻平和構築・紛争予防専修コース(PCS)教授。
- 2024年の第50回衆議院議員総選挙では、れいわ新選組から比例東京ブロックで単独で立候補したが落選[2]。れいわ新選組の政策委員を務め、2025年2月9日のNHKの日曜討論に政策委員(外交・安全保障担当)として出演[4][2]。
- 2025年6月23日、れいわ新選組は7月の第27回参議院議員通常選挙において伊勢崎を比例代表特定枠で擁立すると発表した[5]。7月20日の投開票の結果、当選を果たした[6]。8月6日、党参議院国会対策委員長に就任[7]。

人物
学生時代は空手を習っていたが、体育会系などの集団行動が大の苦手という旨の発言をしている[8]。
アフガニスタンにいた45歳のときにトランペットを始め[9]、ジャズトランペッターとしても活動している[10]。
MBSの情熱大陸では伊勢崎のことを「紛争解決請負人」と紹介した[11]。
政治的思想
- 伊勢崎は、日本の安全保障について「軍事化よりも非武装化」を重視する立場をとる。特に沖縄や北海道を「ボーダーランド」と位置づけ、基地強化は偶発的衝突や軍拡競争を招くと批判し、将来的な「非武装化」を提唱している[12]。北欧諸国の事例を引き合いに、ノルウェーが冷戦期に米軍常駐を認めなかったことや、アイスランドが国軍を持たない体制を維持してきたことを紹介し、日本も米国との同盟を維持しつつ周辺国を刺激しない「緩衝国家」としての役割を果たすべきだと主張する[12]。伊勢崎によれば、軍拡は「安全保障のジレンマ」を深刻化させ、沖縄の軍事化はむしろ戦争時に最初の標的となる危険を高める。彼の立場は理念的な非戦論ではなく、戦争を回避するための現実的手段としての非軍事的選択肢の重視である[12]。
- 2025年7月17日、茨城県古河市の古河駅西口で行った街頭演説において、伊勢崎はヘイトスピーチや差別的扇動の危険性に言及した。彼は、1923年の関東大震災直後に広まった流言飛語を例に挙げ、当時「朝鮮人が井戸に毒を入れた」「放火をしている」といった根拠のない噂が短期間のうちに流布し、その結果、多数の朝鮮人や一部の中国人・日本人が虐殺される事態に至った歴史的事実を指摘した。伊勢崎は、この事件を「根拠のない噂や偏見がいかにして社会全体の暴力を誘発しうるかを示す典型例」と位置づけ、虚偽情報と差別が結びついたときの社会的リスクを強調した[13]。 さらに伊勢崎は、このようなヘイトスピーチや差別的扇動が放置されると、やがて「大量殺人へとつながる危険性がある」と警鐘を鳴らしたうえで、現代の日本においても無関心や容認が続けば、過去と同様に少数派に対する暴力や人権侵害を引き起こしかねないと述べた。加えて、差別や人権侵害を軽視する姿勢は国際社会からの強い批判を招き、日本の外交的立場を孤立させる要因となりうるとの認識を示し、「歴史に学ぶことこそが、未来の暴力を未然に防ぐために必要だ」と訴えた[13]。また、戦争や社会的暴力の原因については、経済的不調や社会的不安に加え、政治家が外敵やマイノリティの脅威を煽ることが引き金になると指摘し、特定の少数派をスケープゴートにして国民の不安を操作する手法を批判した。これらの発言は、民族差別や社会的不安の放置が暴力や外交上の孤立を招く過程を具体的に示し、平和的かつ包括的な社会の必要性を訴えるものであった[13]。
社会的活動
- 特定非営利活動法人 日本紛争予防センター理事
- 特定非営利活動法人 『開発と未来工房』理事
- 特定非営利活動法人 難民を助ける会理事
- 早稲田大学国際戦略研究所研究員
著書
単著
- 『インド・スラム・レポート』(明石書店,1987年)
- 『NGOとは何か――現場からの声』(藤原書店,1997年)
- 『東チモール県知事日記』(藤原書店,2001年)
- 『武装解除――紛争屋が見た世界』(講談社現代新書,2004年)
- 『自衛隊の国際貢献は憲法九条で――国際平和維持軍を統括した男の結論』(かもがわ出版,2008年)
- 『日本の国際協力に武力はどこまで必要か』(高文研,2008年)
- 『さよなら紛争(14歳の世渡り術)』(河出書房新社,2009年)
- 『アフガン戦争を憲法9条と非武装自衛隊で終わらせる』(かもがわ出版,2010年)
- 『国際貢献のウソ』(ちくまプリマー新書,2010年)
- 『紛争屋の外交論――ニッポンの出口戦略』(NHK出版新書,2011年)
- 『日本人は人を殺しに行くのか 戦場からの集団的自衛権入門』(朝日新書,2014年)
- 『本当の戦争の話をしよう: 世界の「対立」を仕切る』(朝日出版社,2015年)
- 『新国防論』 毎日新聞出版、2015年11月
- 『テロリストは日本の「何」を見ているのか』 幻冬舎、幻冬舎新書、2016年10月
共著
- (稲田十一・吉田鈴香)『紛争から平和構築へ』(論創社,2003年)
- (ロメオ・ダレール)『ロメオ・ダレール――戦禍なき時代を築く』(日本放送出版協会,2007年)
- (播磨益夫・デズモンド・マロイ・グンナール・レークビィック)『日本の国際協力に武力はどこまで必要か』(高文研,2008年)
- (田中裕二・太田光)『爆笑問題のニッポンの教養 平和は闘いだ 平和構築学』(講談社,2008年)
- (マガジン9条)『伊勢崎賢治の平和構築ゼミ』(大月書店,2009年)
- 吉川元・中村覚(編)『中東の予防外交』 信山社、2012年8月
- (柳澤協二・小池清彦)『「国防軍」 私の懸念 安倍新政権の論点〈1〉』(かもがわ出版,2013年)
- 黒柳徹子ほか『世界を平和にするためのささやかな提案』 河出書房新社、2015年5月
- 浅田次郎ほか『安保法制の落とし穴』 ビジネス社、2015年8月
- 内田樹ほか『現代用語の基礎知識2017』 自由国民社、2016年11月
- 布施祐仁ほか『主権なき平和国家 地位協定の国際比較からみる日本の姿』 集英社クリエイティブ、2017年10月
監修
- 『中東編 世界の人びとに聞いた100通りの平和』 かもがわ出版、2015年10月
- 『アメリカ・アフリカ編 世界の人びとに聞いた100通りの平和』 かもがわ出版、2015年11月
- 『アジア編 世界の人びとに聞いた100通りの平和』 かもがわ出版、2016年1月
出演
テレビ番組
- 情熱大陸(毎日放送、2003年12月14日)
- 世界一受けたい授業 - 紛争請負人が見た!戦地の現実 戦争を話し合いで解決する方法!(日本テレビ、2008年11月15日)
- 課外授業 ようこそ先輩 - 武器を持つ?持たない?~紛争解決人 伊勢崎賢治 - (NHK総合、2009年10月4日)
- 日曜討論 『第2部:与野党に問う トランプ政権で日本は』(NHK、2025年2月9日)
- BSフジLIVE プライムニュース
- 『急展開アフガンで何が 自衛隊機派遣の成果は 現地を知る日本人直撃』(BSフジ、2021年8月30日)
- 『紛争解決人に聞く停戦 対立の原点と着地点は 緊迫のキエフ情勢詳報』(BSフジ、2022年3月17日)
- 『紛争請負人が緊急提言 プーチン排除論に異議 停戦の行方を徹底議論』(BSフジ、2023年5月11日、前編・後編)
ウェブ番組
映画
選挙歴
当落 | 選挙 | 執行日 | 年齢 | 選挙区 | 政党 | 得票数 | 得票率 | 定数 | 得票順位 /候補者数 |
政党内比例順位 /政党当選者数 |
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落 | 第50回衆議院議員総選挙 | 2024年10月27日 | 67 | 比例東京ブロック | れいわ新選組 | ーー票 | ーー | 19 | / | 3/1 |
当 | 第27回参議院議員通常選挙 | 2025年07月20日 | 68 | 参議院比例区 | れいわ新選組 | 50 | /12 | 1/3 |
脚注
[脚注の使い方]
- ^ a b c d e f g h i j k l m n 伊勢崎賢治『国際貢献のウソ』 筑摩書房、2010年、pp204-207
- ^ a b c “れ新 東京 伊勢崎賢治 | 第50回衆院選”. 毎日新聞. 2024年11月19日閲覧。
- ^ “伊勢崎賢治 | 情報・知識&オピニオン imidas - イミダス”. 情報・知識&オピニオン imidas. 2025年7月21日閲覧。
- ^ “第1部:日米首脳会談は 石破首相に問う 第2部:与野党に問う トランプ政権で日本は - 日曜討論”. NHK. 2025年7月21日閲覧。
- ^ “【参院選】れいわ・比例代表特定枠に伊勢崎賢治氏を擁立「国会の幼稚園レベルの議論に本物を持ち込む」”. 東京スポーツ. (2025年6月23日). https://www.tokyo-sports.co.jp/articles/-/349478 2025年6月23日閲覧。
- ^ “比例「特定枠」でれいわ新選組の伊勢崎賢治氏が初当選”. 読売新聞オンライン (2025年7月20日). 2025年7月21日閲覧。
- ^ “れいわ 伊勢崎賢治氏が参院国対委員長に就任 日米地位協定改定や外交安全保障で超党派呼びかけ”. 東スポweb. (2025年8月6日). https://www.tokyo-sports.co.jp/articles/-/354915 2025年8月7日閲覧。
- ^ 『武装解除――紛争屋が見た世界』(講談社現代新書)10頁、11頁より。
- ^ 『本当の戦争の話をしよう: 世界の「対立」を仕切る』朝日出版社 2015年
- ^ “伊勢崎賢治(@isezakikenji)|Twitter”. 伊勢崎賢治. 2017年6月13日閲覧。
- ^ “情熱大陸「伊勢崎賢治(紛争解決請負人)」”. 毎日放送 (2003年12月14日). 2012年5月16日閲覧。
- ^ a b c マガジン9編集部 (2023年2月15日). “伊勢崎賢治さんに聞いた:沖縄の「軍事化」よりも「非武装化」を──かつての北欧に学ぶ「緩衝国家」としてのあり方”. マガジン9. 2025年8月21日閲覧。
- ^ a b c “【文字起こし&動画】山本太郎代表×伊勢崎賢治(全国比例 公認候補) 2025年7月17日 茨城・古河駅西口”. れいわ新選組 参院選2025. 2025年8月21日閲覧。
- ^ “エアレボリューション”. ニコニコチャンネル. 2025年1月8日閲覧。
- ^ デモクラTV (2025-05-08), デモクラTV RADIO HIKESHI Live! 第191回, https://www.youtube.com/watch?v=xu__7mt66_c 2025年7月2日閲覧。 https://www.youtube.com/watch?v=xu__7mt66_c
- ^ “映画「戦車闘争」公式WEBサイト”. sensha-tousou.com. 2024年11月19日閲覧。
外部リンク
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