人種差別撤廃条約とは? わかりやすく解説

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じんしゅさべつてっぱい‐じょうやく〔‐デウヤク〕【人種差別撤廃条約】


人種差別撤廃条約

差別撤廃することの重要性差別撤廃するための最低限度基準国際的に明らかにした極めて重要な条約です。しかも、今日この条約当事国148ヵ国にも及んでいることで、人種差別撤廃条約に盛り込まれている内容は、国際的常識となってきています。
日本がこの条約締結したことによって、はじめて日本差別撤廃求め国際的潮流仲間入りをしたことになります今後は、条約の内容ふまえて国際的な対話積極的に重ねていくことによって、国内法整備をはじめ国内誠実にこの条約履行していく必要があります

あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約

(人種差別撤廃条約 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/09 14:46 UTC 版)

あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約
条約加盟国
  第14条宣言
  第14条不宣言
  署名のみ、未批准
  未署名
通称・略称 人種差別撤廃条約
署名 1966年3月7日
署名場所 ニューヨーク
発効 1969年1月4日
寄託者 国際連合事務総長
文献情報 平成7年12月20日官報号外第241号条約第26号
言語 中国語、英語、フランス語、ロシア語およびスペイン語
関連条約 自由権規約
条文リンク 外務省
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あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約(あらゆるけいたいのじんしゅさべつのてっぱいにかんするこくさいじょうやく、英語: International Convention on the Elimination of All Forms of Racial Discrimination、ICERD)は、人種の違いを理由にする差別を撤廃することを定める多国間条約である。略称は人種差別撤廃条約

概要

条約の前文では、植民地主義・およびそれに派生する人種隔離や差別を非難し、1960年12月14日の「植民地及びその人民に対する独立の付与に関する宣言国際連合総会決議第1514号(第15回会期))」、1963年11月20日の「あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する宣言(国際連合総会決議第1904号(第18回会期))」に加えて国際労働条約最重要8条約の1つである雇用及び職業についての差別待遇に関する条約(第111号)及び教育における差別を禁止する条約を引用した上で、特にアパルトヘイト、人種隔離 (segregation)、人種分離 (separation) を批判し、「あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際連合宣言」にいう差別のない状態の実現のため、本条約に合意したとしている。

1959年から60年にかけてのネオナチの行動に対して国連人権委員会の小委員会が決議を採択したことを受け[要出典]国連総会1963年に人種差別撤廃宣言を採択し、1965年12月21日に本条約を採択した[1]。2021年12月21日現在、当事国数は182か国、調印国数は88か国[2]。日本は1995年に加入した。

内容

第1条

当条約第1条の1には人種差別の定義について語られている。

『人種差別』とは、人種、皮膚の色、世系又は民族的若しくは種族的出身に基づくあらゆる区別、排除、制限又は優先であって、政治的、経済的、社会的、文化的その他のあらゆる公的生活の分野における平等の立場での人権及び基本的自由を認識し、享有し又は行使することを妨げ又は害する目的又は効果を有するものをいう — 人種差別撤廃条約、第1条の1

と定義している。

また、第1条の2には

この条約は、締約国が市民と市民でない者との間に設ける区別、排除、制限又は優先については、適用しない — 人種差別撤廃条約、第1条の2

と書かれてあり、国籍の有無による区別は人種差別ではないとしている。ただし参政権などのように「公権力の行使又は国家の意思の形成に影響を与えるから」などの合理的な根拠がある場合に限られるとしている[3]

第4条

当条約第4条は

(a) 人種的優劣又は憎悪に基づく思想のあらゆる流布、人種差別の扇動、いかなる人種若しくは皮膚の色若しくは種族的出身を異にする人の集団に対するものであるかを問わず、すべての暴力行為又はその行為の扇動、及び人種主義に基づく活動に対する資金援助の提供も『法律で処罰すべき犯罪』であることを宣言すること」
(b) 人種差別を助長し及び扇動するその他のすべての宣言・活動を『違法である』として禁止するものとし、このような団体又は活動への参加が、『法律で処罰すべき犯罪』であることを認めること — 人種差別撤廃条約、第4条

と規定し、あらゆる人種差別の唱道を犯罪として禁止している。日本アメリカ合衆国スイス留保を付しており、イギリスフランス等が解釈宣言を行っている[3]。なお、ヘイトスピーチの定義の一部として引用されることがある[4]

日本国は第4条の規定の適応に当たり、『同条に「世界人権宣言に具現された原則、及び次条に明示的に定める権利に十分な考慮を払って」と規定してあることに留意し、日本国憲法の下における「集会、結社及び表現の自由その他の権利」の保障と抵触しない限度において、これらの規定による義務を履行する。』という留保を宣言している[5]

第14条

当条約第14条には、

当該締結国において個人又は集団からの人権に関する通報を、人種差別撤廃に関する国際委員会が受理・審査し、勧告を行うことを認める「宣言」を行うことが出来る — 人種差別撤廃条約、第14条

と記されている。日本は宣言していないものの、世界各国のなかでも宣言国と不宣言国がいくつか存在する。

第14条(要点)

  • 締約国は、当該締約国の管轄下の個人又は集団からの通報を、人種差別の撤廃に関する国際委員会(国連人種差別撤廃委員会)が受理し検討する権限を有することを認め、宣言することができる。
  • 委員会は、提案及び勧告をする場合、関係締約国及び請願者にこれを送付する。
  • 委員会は不宣言国についての通報を受理してはならない。

第22条

この条約の解釈或いは適応に関する2以上の締約国の紛争であって、交渉またはこの条約に明示的に定められている手続によって解決されないものは、紛争当事国方の解決方法について合意しない限り、いずれかの紛争当事国の要請により、決定のため国際司法裁判所に付託される。

構成

  • 第1部 - 人種差別の定義および締約国の義務
  • 第2部 - 人種差別撤廃委員会の設置、報告および個人通報等
  • 第3部 - 最終条項

脚注

  1. ^ International Convention on the Elimination of All Forms of Racial Discrimination (国際連合人権高等弁務官事務所)(2010年8月5日時点のアーカイブ
  2. ^ ICERD ratification status”. UN OHCHR (2018年11月20日). 2018年11月20日閲覧。
  3. ^ a b 人種差別撤廃条約 Q&A
  4. ^ 師岡康子『ヘイト・スピーチとは何か』P.48
  5. ^ 松井芳郎他編集『国際人権条約、宣言集』第3版, p.267 ISBN 4887136374

関連項目

外部リンク


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