メルキア騎士団計画編
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「青の騎士ベルゼルガ物語」の記事における「メルキア騎士団計画編」の解説
ネブロウ・S・ロリンザー メルキア軍大将にして、ギルガメス連合軍の中心的人物。さほど大柄ではないがその体躯から発せられる雰囲気は他者を圧倒するほどで、一介の戦車兵からAT開発に携わり、時には自らATに乗って戦場で功績を上げてきたという経歴も相まってメルキア軍の兵士たちに頼もしさを感じさせる存在である。しかしその精神は全てのATの元となった謎のマシン・レグジオネータに支配されており、レグジオネータの傀儡として「メルキア騎士団計画」を秘密裏に遂行していく。その顔に残る大きな傷跡は、テストパイロットとしてレグジオネータを操った際に生じたもの。3機存在するゼルベリオスのうちの1機を愛機とする。 実はケインと同様に旧劣等種の因子を持っており、トライブの弁ではギルガメス高官が捕虜のバララント人女性に産ませたとされている。その肉体的資質がレグジオネータの求める存在に近かったため傀儡として選ばれている。そしてロリンザーはレグジオネータの目論見通りにATという兵器を表舞台へと登場させ、それを発展させていく。つまりアストラギウス戦史にて特筆されるべき事項であろうATの出現すらも、少なくともレグジオネータとその操り人形たるロリンザーにとってはメルキア騎士団計画の前準備の一つに過ぎなかったということになる。 K'(ケイダッシュ) W-1の生体コンピュータより生み出されたケインのクローンで、メルキア騎士団計画の中核を担う存在。レグジオネータが自らに適合する肉体を持つ人間として「作らせた」。外見はケインに酷似している。 W-1の生体コンピュータは人間を産む機能を備えているが、通常は赤子の状態で産み出すのに対し、K'はその肉体が成人のレベルになるまで生体コンピュータ内で育成されてから産まれ出ている(K'を産み落とした生体コンピュータは、直後に機能を停止している)。その直後からすでに言語を解し会話ができる上、レグジオネータや敵であるケインについてなど最低限の必要な情報は知っていた様子であった。 ケインと同じ遺伝子情報を持っているため旧劣等種と同様の強靭な肉体と生命力を有しているが、余計な知識の刷り込みや肉体的鍛錬は施されていない(また一切の欠陥も持たない)真っ更な状態。レグジオネータが求めたのはまさにこの状態の人間である。産まれてすぐにレグジオネータを操りこなし、自らの誕生に与したキーマ・センクァターを、乗っていたカラミティドッグ・グリーンバージョンごと葬り去る。その後もレグジオネータとの同調は進み、ケインと初めて対峙した時にはゼルベリオスを破壊したばかりか左目を失明させ、ケインが逃走する最中には左手首をも奪うが、ロリンザー同様、K'もまたレグジオネータの意志の伝達者に過ぎない。 タイトルが名前そのものになっている第3巻でなく、第4巻で登場する。 レトラ・トライブ ケインが救い出した旧劣等種たちをかくまう、つかみどころのない雰囲気を持つ老人。顔にロリンザーと同様の大きな傷跡がある。ATには乗らず、旧式の戦車デルノバを愛用する。 実はATが出現する以前にメルキア軍の戦車兵として名をはせた男である。かつてはロリンザーの無二の親友であり、共に発掘されたレグジオネータのテストパイロットに選ばれている。しかしトライブは旧劣等種ではなかったため、レグジオネータの意思を遂行する存在とはなりえなかった。これがきっかけでロリンザーと決別し、軍からも姿を消す。 軍が旧劣等種狩りを始めた頃から独自に行動を開始し、ロリンザーの陰謀を知ったミーマとも連絡を取り合っている。 ヴィスコ・ヤンセン 元々は闇商人の一員だった少年。ギ・グロリーの戦闘の後ケインが乗ってメルキアに帰って来た揚陸艇の中からゼルベリオスを盗み出し、「青の騎士」の名をかたってバトリングをしていた。ボウの街でメルキア軍に捕まり血液検査をされ、旧劣等種の因子を持つことが判明したため、ロニーと共に処刑される。 シェラ・デュドネ 軍の女性学者で、K'とW-1の制作スタッフ。階級は大尉。ク・アマの街でのW-1の挙動からクローマをケインと疑い、反徴兵グループに潜入して付きまとう。旧劣等種抹殺の命をロリンザーから受けており、その旧劣等種を探しだしてはソー・クラウス基地へと連行し、処刑するようにしていた。W-1の異常の原因を、オリジナルの存在であるケインにあると見ており、ケインとW-1の決着を望んでいたが、それを見届ける前にロニーを殺されたケインの怒りに触れて射殺される。 コル・ニコル ク・アマの街の反徴兵グループのリーダーで、百年戦争再開後の軍の一方的な徴兵令に反発する人々を集めて、抵抗組織を作っていた。自身に心酔するカリオス・リースを始めとした、軍の考えに反抗するク・アマの街の人々を言葉巧みに信頼させていたが、実際は軍と内通しており、集めた仲間達を軍に平然と売り渡す卑劣漢だった。 ラフィット・ハーベイ ソー・クラウス基地のAT部隊隊長で、階級は中尉。フィア・ダンベルに乗って指揮を執るが、自分の命令に全く従わないW-1の扱いに手を焼く。 生粋の軍人であり、戦争は人間同士がやるものだという信念を持っていたが、無人ATによる軍団を作り出すメルキア騎士団計画に疑問と反感を抱く。しかし、そのために軍に逆らった処分として猟兵に降格されてしまう。 カペリ・テマトラン ロリンザーの部下でソー・クラウス基地司令官。階級は大佐。ハーベイとは違う意味でメルキア騎士団計画に疑問を抱いているが、ロリンザーの命令には納得出来ないままに従っている。シェラの話からW-1の異常原因がケインにあるとにらんで、ケインを拷問にかける。 ケインにソー・クラウス基地を壊滅させられ、後にヴィクワール基地へ配属されるが、そこでも彼によって基地を破壊されてしまい、ケインに恨みを抱きながら自害する。 カム・ホルダイン ロリンザーの盟友で、元メルキア軍技術将校。ロリンザーと行動を共にしながらW-1の開発と、レグジオネータの調整並びに、ケインの細胞から誕生したK'の研究と教育を任されている。 若き日にバララントの爆撃によって太古の地層から掘り出されたレグジオネータを発見後、タックスに指示を仰いで機体研究と解析を任せられ、その研究の中でロリンザー同様、レグジオネータに取り憑かれていく。ロリンザーほど魅入られてはいなかったため、彼にレグジオネータへの反逆を勧めるが、すでに彼がレグジオネータの完全な操り人形になっていることまでは気づかず、それがレグジオネータに知れることになり、ロリンザーの手で処刑される。 レグジオネータを掘り出した時には、その存在に恐怖を覚えているが、ロリンザーとトライブをレグジオネータのテストパイロットに推したのはホルダインである。 ワクト・タックス かつてのメルキア軍大将であり、若き日のロリンザーとトライブの上官。 バララントとの戦いが激しくなる百年戦争中期、同じく部下だった若き日のホルダインによってレグジオネータと対面し、直ちに機体解析と、それを元にした兵器の設計・研究・開発を命じ、それがMT(マシントルーパー)、ひいてはATを生み出していくことになる。 本来はバララントとどのようにして停戦に持ち込むかと考えていた和平派だったが、レグジオネータと遭遇した後、「この戦争はどちらかが滅びるまで終わらない」と何かに取り憑かれたように考えを豹変させ、それが百年戦争末期の苛烈な戦火をもたらす結果を生む。つまり、レグジオネータに洗脳された最初の人物と言える。 ギー・ゾクサーネン ロリンザーの懐刀として政敵の暗殺や旧劣等種の抹殺を自ら執り行うメルキア軍人。逆立てた髪やギョロリと血走った眼といった外見的特徴から、その内側に抱えた狂気が見え隠れしている。ロリンザーに心酔しており、旧劣等種ではないにも関わらず最終段階に入った「メルキア騎士団計画」を仕上げに導くべく暗躍する。 ケインとの戦いでは偶然発見されたインサニティ・ホースで逆襲に転じられて機体を破壊されるが、ATの機能が失われると今度は自らの手でAT用ヘビィマシンガンのトリガーを引いて抵抗を試み、最期までケインを討つことをあきらめなかった。 キーマ・センクァター ミーマ・センクァターの兄で、メルキア軍情報部中佐。ロリンザーに忠誠を誓いメルキア騎士団計画遂行に当たっていたが、それを知ったミーマに自白剤を飲まされメルキア騎士団計画について全てしゃべってしまっていた。これによりミーマは艦隊を率いてバララントに向かったと見せ掛け、実際には軍の指揮系統より逸脱し独自の行動を開始する。 W-1より誕生したK'をロリンザーの下へ連れ帰った直後にこの件をゾクサーネンにとがめられ、カラミティドッグ・グリーンバージョンで謎のATと戦うことを要求された結果なす術もなく殺される。その謎のATとはレグジオネータに他ならず、操っていたのは皮肉にも自らが誕生に携わったK'だった。 マティ・ウォルシープ 旧劣等種の少女で、考古学者の父親がいた。軍によって家族を殺され、ヴィクワール基地で他の旧劣等種の人々もろとも処刑されそうになるものの、直前にケインによって救出され、以降ケインを慕っていく。 救出された絡みで出逢ったトライブと行動し、生き残った自分と同じ旧劣等種の少年少女たちのまとめ役となり、手脚を失うほどの重傷を負いながらもなおあきらめずに戦い続けるケインを救うため、父親が見つけ出したキューブを探し出し、レグジオネータに勝つため、廃人になる危険性も省みず覚悟を決してミーマに自身の記憶検出走査を頼む。 ウォーリィ キアの街に住んでいた旧劣等種の少年。お調子者だが、自分より強い相手に凄まれると弱気になる。ケインに助けられ、マティと同様、戦うケインの姿に勇気づけられていく。 片足を失っても戦い続けるケインの生存を、ミーマの部下ブリンクマイヤーに伝える。 ファビ・ミナルディ バララントのAT乗りで、数少ない生き残り。再戦後の壮絶を極めた戦いの中生き残ったことからも分かる通り、操縦の腕はかなりのもの。彼もまた旧劣等種の因子を持った人間である。 メルキア騎士団計画の発動で母星を失うがミーマの率いる艦隊に救出される。当初はミーマの「(メルキア騎士団計画によって)人の住める星はなくなった」という言葉を信用しなかったが、直後にW-1をコアとした人狩りのための戦艦・トレーザーハンターとミーマの部下との交戦やW-1の正体を見せ付けられ、以後ミーマに協力してメルキアへと向かう。彼の愛機グラバールはテスタロッサの最終仕上げの参考にされたようである(グラバールとテスタロッサの、ジェネレーターとアクチュエーターによる動作をメインとした設計は奇遇にも全く同一のコンセプトである)。 メルキアではキューブ探索中のケインやミーマにテスタロッサを届けるが、彼ほどのAT乗りをしても乗りこなすことはできず負傷してしまう。その後の最終決戦には破損していたグラバールを修理して参戦する。 ディーロ・サンジアーノ ミーマの部下で、生粋のメカニックマンである。試作型のライジングトータスから全てのFX-ATを開発テストし、最後にケインにテスタロッサを渡す大役を果たし死亡する。 ブリンクマイヤー メルキア情報部のミーマの部下で、ミーマの命でメルキアに降り、メルキアでの異変を監視、報告していた。ケインの動向を探る使命も受けており、ケインがレグジオネータに敗れた際、その身の犠牲を以ってケインを生き長らえさせた。
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