メタルギアST-84
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/30 14:34 UTC 版)
「メタルギア (架空の兵器)」の記事における「メタルギアST-84」の解説
『メタルギアソリッドV ファントムペイン』に登場。別名「直立二足歩行兵器」。スカルフェイスの指示により、ZEKEに引き続きヒューイによって開発された初の純ソビエト連邦製メタルギアである。STは『サヘラントロプス』の略で、劇中ではそのまま「サヘラントロプス」や「巨人」と呼ばれることが多い。 本機はアフガニスタンの起伏の多い地形に対応するため、直立二足歩行の実現は開発に必須とされていた。メタルギアのフォーマットを発案したグラーニンの所属していたソ連製であり、開発にヒューイが参加していることで、細かい差異はあるがREX形態の外観は、オプション装備のZEKEや、後にオタコンの設計するREXと酷似した外観をしており、グラーニンの草案からはやや外れているもののREXに繋がる系譜の機体である。スカルフェイスの切り札の一つということもあり、作中における本機の頭部には髑髏のペイントが施されている。この髑髏のペイントは発掘された「サヘラントロプス」の頭蓋骨をモチーフとしているが、開発を担当したヒューイの言い分によれば、MSFのトレードマークであったパンゲア大陸を模した骸骨の意味も込めており、それが自分がMSFを裏切っていない証拠であると主張していた。しかし、尋問を行っていたオセロットからは「あとからは何とでも言える」、「髑髏はスカルフェイスの象徴でもある」と一蹴されている。 基本搭載武装は頭部のガトリング砲、股間部の火炎放射器、両脚部のミサイル、背部のサーチミサイル(一定時間ロケットで浮遊して敵を捜索し、敵を発見すると突撃する。稼働限界が迫ると自爆する)、腐食性アーキアをばら撒くアーキアル・グレネード。巨体も生かした踏みつけも可能。過去のAI兵器やZEKE、未来に登場する他のメタルギアと決定的に異なるのは、収納式の明確な腕と手を持ち、足を逆関節から正関節として、立ち上がった人型(直立二足歩行)形態への変形が可能なことである。装備された腕は対象を持ち上げたり、握ったりする精密さとパワーを備えており、これにより専用の武装を持つことが可能で、胴体に二本搭載されているアーキアル・ブレードと呼ばれる蛇腹剣を握って使用する。この剣は実体刃としての機能のほかに、メタリック・アーキアによって地面から爆発性の金属塊を出現させ攻撃する機能がある。右腕にはパイルバンカーを搭載、左腕には盾を装備可能。後に背部ユニットにレールガンとレドームが追加された完成形となった。人型形態の方が本来の姿で、移動・戦闘は人型形態で行われることが多く、腕を収納した逆関節のREX形態は格納時やレールガン使用時に使われる。 技術不足もあって操縦方法の選定は迷走しており、人が乗って操縦する前提で頭部にコックピットを設け(ダンパーを設置し、緩衝材として有人型ZEKE同様注水する)、同時にAI兵器の弱点であった外付けの姿勢制御AIボッドを小型化して装甲内に収める設計を予定していた。しかし、演算能力そのままにレプタイルポッドの10分の1程度に小型化したものの、完成したコックピットには大人が乗って操縦できるスペースを確保できなかった(少年兵なら何とか収まるサイズで、その為あろうことかヒューイは実の息子である4歳前のハル(後のオタコン)を実験台にして実験をしていた)。次に有人操縦を諦め遠隔操縦を試すが、レスポンス・精度が悪く、ジャミングされる可能性も考慮して不採用。その次はAI兵器同様にAIに完全自律行動させることにして、ニカラグア湖に沈んだピースウォーカーのハイブリッドAIを回収、それをベースにストレンジラブの協力の下で新たな無人核兵器用AIを作成するはずだったが、ストレンジラブが死亡したため頓挫。最終的には外付けのAIが確実と結論付けられたが、直立二足歩行時にバランスを保つためにはより大量のデータが必要であり、上体を畳んで重心を下げた所謂REX形態であればなんとか歩行は可能という状態までしか開発は進んでおらず、遂にはこれ以上待てなくなったスカルフェイスに未完成のまま没収されてしまう。まともに動く事すらできない筈だったが、スカルフェイスは自分の報復心に感応して配下となった、ソ連の実験で超能力を見出された「第三の子供」と呼ばれる少年(後のサイコ・マンティス)を用いることでブレイクスルーする。過去のRAXA同様、強力なサイキック能力で操作された本機は、ヒューイの想定以上の性能を発揮した(曰く、ライト兄弟が月に行くようなもの)。また、空中に浮遊するなど超常的な能力も発揮している。ただし、「第三の子供」が攻撃を受けた際には一時的に動けなくなったり、標的を見失うなどの弱点もある。 本機は装甲材に劣化ウランが使用されているが、これを機体に内蔵したウラン濃縮アーキアにより融解すると90%以上の兵器級高濃縮ウランを生成する。つまり、本機自体がガンバレル型核爆弾となるのである。同じ重量で比較するとセラミックスより強度で劣る劣化ウランを敢えて装甲材として採用しているのはこのためであり、表向きにはセラミックス関連技術を持つ開発局とのコンタクトが取れなかったことと、直立歩行ビークルとして要所のバルクを抑える目的があったと説明されていた。自爆した場合の想定核出力は約15キロトン。メタリックアーキアが放出される瞬間までは、核兵器化できない劣化ウランの塊でしかなく、必要量もMBTの主装甲材程度に収まるので、ほとんどの条約や規制を回避して輸出入が可能であり、監査や敵対組織からの警戒を受けることもない、一種のステルス核としてのデモンストレータの役割を持っている。 なお、同じ重量で比較するとセラミックスに劣るとはいえ劣化ウラン装甲の防御力は高く、米軍の主力戦車でも採用される予定とされている他、ソ連製戦車砲弾の多くを受け止めるのは実射試験で検証済みとも説明されており、防御力の高さが示されている。ヒューイの「直立歩行ビークルとして要所のバルクを抑える目的があった」という説明に関しても(結局は建前だったとはいえ)それなりに理に適っており、一概に劣化ウランがセラミックよりも劣っているとは言い難い。 総合的に見ると、そもそもスカルフェイス自身が自分の計画のデモンストレーションの為の半ば使い捨てとして建造したのもあるが、「第三の少年」の超能力がなければまともに動くことすらできない、はっきり言って兵器としては欠陥品としか言いようがない機体である。 本編では、アフリカでのスカルフェイスとの決戦でイーライの報復心に感応した第三の子供を通じてイーライに制御を乗っ取られてしまい、ヴェノム・スネークに攻撃を仕掛けるが最終的には破壊された。 その後はマザーベースに回収されるも本機のことが諦めきれなかったヒューイが少年兵達を使って間接的に修理を敢行し、ヒューイの想像を超える速度で修理は完了した。そしてイーライが率いる少年兵達と第三の子供の力で本機は強奪され、そのまま彼らがマザーベースから脱走する為に利用された。 本編ではここまでしかないが、特典ディスクである幻のエピソード「蠅の王国」ではこの件の結末が見られる。ある南国の島に英語株の声帯虫をばら撒いて大人を駆逐して、子供だけの王国を作ったイーライ達はサヘラントロプスを象徴として祀る。そして彼らを保護すべく追ってきたヴェノム・スネーク率いるダイヤモンド・ドッグズや、声帯虫のサンプル目当てに介入してきたXOFの残党と激しい混戦を繰り広げる。最終的にはヴェノムによって両腕と両脚を破壊され、腰部を寸断されて頭部のコックピット以外は原型すら殆ど残さず大破する。そしてもはやただのスクラップになった本機は再びダイヤモンド・ドッグズに回収されたがその後、本機をどう処分したのかは不明(いずれにせよ「第三の子供」がいなければそもそも動かす事すらできない機体なので、そのまま再利用する事は不可能だったのは間違いない)。
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