ケスタ
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ケスタ(Cuesta、スペイン語で「斜面」の意)とは、傾斜した地層の差別侵食によりできた波状の地形。組織地形の一種。
概要
緩く傾斜し、交互に重なった硬軟の地層が差別侵食を受けた結果、非対称な丘陵が連続して形成された地形である[1]。軟らかい地層が大きく侵食を受け、硬い地層がさほど侵食を受けなかった結果、形づくられた。緩斜面と急崖の組み合わせで構成される[2]。急崖部は前面、緩斜面部は背面 (back slope) と呼ばれる。
軟らかい地層は侵食を受け、それらが取り除かれた部分は侵食に対する抵抗度の大きい硬い地層が残り、背面の緩斜面が形成される。前面の急崖部は地層が侵食を受けている部分であり、軟らかい地層が侵食を受けるが、上位の硬い地層の存在により急崖を形成した。
緩斜面から急崖に移行する部分は片側が崖の緩い谷底状地形となり、河川が発達する。
世界の主なケスタ地形
- パリ盆地(フランス) - 主に、低平地では放牧や小麦の栽培、崖ではぶどうの栽培が行われている。マジノ線はケスタの丘陵上に作られた。
- ロンドン盆地(イギリス)
- ウクライナ地方
- 五大湖周辺 - ナイアガラ滝はケスタの急崖。
日本のケスタ地形
- 双石山(宮崎県宮崎市南部)
- 次郎丸嶽(熊本県上天草市松島町)
- 奥裾花渓谷(長野県長野市鬼無里)
- 新潟県十日町市蒲生
- 富土(ふと)の観音礁・瀬平崎(宮崎県日南市大字富土、旧サボテンハーブ園周辺)
- ひき岩群(和歌山県田辺市)
- 大島 (宮崎県)
- 天伯原台地(愛知県豊橋市渥美半島基部、豊橋技術科学大学周辺、背面が緩く逆傾斜する階段状の地形「逆ケスタ」[3])
関連項目
脚注
- ^ 3.地質を反映した地形|国土地理院 2017年7月22日閲覧
- ^ 佐藤 久 (1990), 地形学, 総観地理学講座, 6, 朝倉書店, pp. 55-58, ISBN 4-254-16606-0
- ^ “地質を反映した地形”. 国土地理院. 2024年8月24日閲覧。
ケスタ地形
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「ノースダコタ州の地理」の記事における「ケスタ地形」の解説
州の地形を2分する線が2つある。一つが、州の北西から南東にかけた対角線に当たる直線、国道52号線の南西10kmを道路と平行に走っている線である。これはケスタ地形を特徴づける長大な崖だ。正確にはケンメアの東、マイノット市の南西、ハービーの南西、ジェームズタウン市の西を結ぶ線上に崖が連なる。特に州北西部から現在のマクレーン郡に至る部分については判別が容易く、合衆国編入以前のフランス人がすでに認識していた。19世紀末に至るまでフランス語のまま PLATEAU DU COTEAU DU MISSOURI (ミズーリ分水界)と呼ばれてもいた。 ケスタの外見は写真のように「稜線」の一方が崖、もう一方が緩やかな傾斜をもつ連続した丘陵である。横断面が非対称であることが特徴だ。構造平野に発達しやすく、特にある方向に緩やかに傾斜し、石灰岩などの硬い堆積層と頁岩などの軟らかい堆積層が交互に重なっていることが成立条件となる。このような平野で浸食が進むと地層の硬さによる選択的な浸食が起こり、軟質の堆積層のみが浸食されていく。硬質な堆積層が残り、図のような丘が形成される。緩やかな斜面の傾斜は堆積層の傾斜と一致する。丘の間隔は堆積層の傾斜角のほか、堆積層の数と厚さに依存する。ノースダコタ州の場合、丘の数は2つしか認められない。すなわち、州の中央を斜めに横断する線と、州北東端ペンビナ郡にわずかにかかる線である。パリ盆地、ロンドン盆地に見られるケスタは、ある一点に向かって傾斜する構造平野に見られるもので、ケスタは同心円状に形成されている。ノースダコタ州のケスタは傾いた平面状の平野で形成されたため、崖が数100kmの長さに亘って続く。 ケスタは標高500mの等高線とほぼ一致し、州を2つに分ける分水界ともなっている。500m線の北東側は基盤となるカナダ盾状地を古生代に形成された地層が覆っている。これは合衆国中西部の州に共通する特徴だ。ケスタの南西側はさらに第三紀に形成された地層が重なる。ノースダコタでは地殻運動が起こらなかったため、ケスタよりも急峻なホグバック地形は見られない。
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