ケスターカイギュウとは? わかりやすく解説

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ケスターカイギュウ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/08/17 14:15 UTC 版)

ケスターカイギュウ
生息年代: 7–2 Ma
Є
O
S
D
C
P
T
J
K
Pg
N
サンディエゴ自然史博物館英語版での展示
地質時代
新第三紀中新世後期 - 鮮新世
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 哺乳綱 Mammalia
: 海牛目 Sirenia
: ジュゴン科 Dugongidae
亜科 : ステラーカイギュウ亜科 Hydrodamalinae
: ステラーカイギュウ属 Hydrodamalis
: ケスターカイギュウ H. cuestae
学名
Hydrodamalis cuestae
Domning, 1978
和名
ケスターカイギュウ

ケスターカイギュウ[1]学名Hydrodamalis cuestae)は、約700万年前から約200万年前にかけて北太平洋東部域に分布した、絶滅した植物食性の海棲哺乳類[2]海牛目ジュゴン科に属し、同じくステラーカイギュウ属英語版である北太平洋西部域のステラーカイギュウタキカワカイギュウと近縁である[2]。地質年代では新第三紀のうち後期中新世メッシニアン期から後期漸新世ジェラシアン期にかけて生息した[2]

分類と絶滅

ケスターカイギュウの化石は1978年にカリフォルニア州ピスモビーチ英語版に分布する後期更新世の堆積物から最初に発見され、後続の化石が同州の他の地点から発見されている[3]。約500万年前から約400万年前にかけて北太平洋西部息に生息したタキカワカイギュウ[2]と近縁である。

以下は、ドゥシシレン属とステラーカイギュウ属の種、およびハリテリウム英語版属のHalitherium schinziiを含めた海牛目の類縁関係を示すクラドグラム[4]

海牛目

Halitherium schinzii

ラインハルトカイギュウ(Dusisiren reinharti

ヨルダニカイギュウ(Dusisiren jordani

ヤマガタダイカイギュウDusisiren dewana

アイヅタカサトカイギュウDusisiren takasatensis

ケスターカイギュウHydrodamalis cuestae

タキカワカイギュウHydrodamalis spissa

ステラーカイギュウHydrodamalis gigas

ケスターカイギュウの絶滅は第四紀氷期英語版の始まりに関連する可能性が高い。海牛の主要な食料源として利用可能な海草は海水の冷却によって減少した可能性が高く、これにより海牛は種全体を維持できなくなったと見られる[3]

生態と特徴

頭骨と四肢

ケスターカイギュウは現生のステラーカイギュウマナティーと同様に、おそらく社会性を持ち、小規模な家族集団で生活していた。彼らの骨は緻密であり、巨体が浮かび上がることを妨げるバラストとして機能した。これは彼らが浅海域の海底で海草を食餌することへの適応であった可能性が高い。彼らは海草やその他の海棲植物を好んでいたと見られる。ケスターカイギュウは浅い沿岸の海底を前肢で歩き、強力な尾鰭を推進に用いたと考えられている。ステラーカイギュウや他のカイギュウと同様に、前肢は食料資源を確保するためにも用いられたと推測されている。ケスターカイギュウは最大級のカイギュウの1つであり、全長は9メートルに達し、体重は10トンに達した可能性がある。体は紡錘形で、頭部と尾が先細っていた[3][5]

タキカワカイギュウとの間では、大脳の形状や視神経の配置に差異が見られる。ケスターカイギュウの視神経は三叉神経から隔てられ、その腹側に位置する。対してタキカワカイギュウの視神経は三叉神経に隣接し、その背内側に位置する[6]

出典

  1. ^ keitouzu”. 札幌市. 2025年8月17日閲覧。
  2. ^ a b c d 古沢仁海牛の大型化に関する考察」『化石研究会会誌』第45巻第2号、2013年、55-60頁、doi:10.60339/kasekiken.45.2_55 
  3. ^ a b c Domning, Daryl P. (1978). “An Ecological Model for Late Tertiary Sirenian Evolution in the North Pacific Ocean”. Systematic Zoology 25 (4): 352–362. doi:10.2307/2412510. JSTOR 2412510. 
  4. ^ Furusawa, Hitoshi (2004). “A phylogeny of the North Pacific Sirenia (Dugongidae: Hydrodamalinae) based on a comparative study of endocranial casts”. Paleontological Research 8 (2): 91–98. doi:10.2517/prpsj.8.91. 
  5. ^ Hydrodamalis cuestae” (Russian). Age of Mammals (2013年). 2013年4月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年9月2日閲覧。
  6. ^ Furusawa, Hitoshi (April 2004). “A phylogeny of the North Pacific Sirenia (Dugongidae: Hydrodamalinae) based on a comparative study of endocranial casts”. Paleontological Research 8 (2): 91–98. doi:10.2517/prpsj.8.91. ISSN 1342-8144. https://bioone.org/journals/paleontological-research/volume-8/issue-2/prpsj.8.91/A-phylogeny-of-the-North-Pacific-Sirenia-Dugongidae--Hydrodamalinae/10.2517/prpsj.8.91.full. 



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