オキナガ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/19 10:19 UTC 版)
概要 オキナガ(息長、地方によっては「イワナガ」など) 不老不死の種属。「長命者」とも呼ばれ、日本には10万人ほど存在すると言われる。現代でも住民登録を行わずに暮らしている者も多いため、総数はあくまで推定。都内で登録されている者で1000人ほど。その存在を秘密にされている訳ではないが、一般人の大部分は「そう言う存在もいる」という程度の認識で警察など公官庁職員も詳しくはなく、後述の特性などから吸血鬼とごっちゃにされている。いつ頃から存在しているかは古株のオキナガも知らない。 病菌の類に罹患しても大抵の病気は発症しないため、自覚なしに疫病の感染源になってしまうこともある。自然死した者が存在しないため、寿命があるのかどうかも不明だが、不死と言っても老衰による自然死や疾患による病死がないと言うだけで、後述の「正しい殺し方」を実行すれば死ぬ。実年齢が200年を越えるあたりが精神的な谷となるらしく、人によっては延々と鬱状態が続き、自殺に至ることがある。 現代日本では厚労省の元、長命者援護法(後述)による保護と管理を受けており、オキナガとなった者は夜間衛生管理課での登録、旅行や転居・転職といった何らかの行動をする際には事前に申請を届け出ることが義務付けられている。窮屈な生活を嫌う未登録者も少なくないが、そのために他人の戸籍を売買して使用するなど、法を犯して検挙される者もいる。 普通の人間がオキナガに変化することは「成って」「あがる」と表現される。これは人間としてそこから先はなく、「上がり」となるため。肉体はもちろん、精神も成長も老化もしなくなる。 能力 身体能力が常人より高く、五感も鋭敏。特に夜目が利くほか、聴覚も常人には聴こえない低周波を捉えたり、厚い壁に囲まれた屋内でも外の音が聞こえる。 脳か心臓のどちらか(もしくは両方)を完全に破壊されない限り、最長でも三日以内に自力で蘇生する生命力を持ち、四肢が切断されたとしても固定しておけば自然と接合する。この場合、欠損した部分がなくても傷口を埋めるように治る。身体に食い込んだ凶器なども治癒するにしたがって体外に押し出されるため、治りきる前に抜くことでかえって大出血するのを考えて自然と抜けるまでそのままにしていることが多い。毒物などを盛られた場合は蘇生するまでの間に排出され、経口で服毒した際には蘇生時に纏めて吐き戻す。仮死状態のまま「年単位」で眠り続けるケースも存在し、極端に体力を消耗すると仮死状態にまで行かなくても数日間眠り続ける。また、これに関係するか不明だが、オキナガは基本的に常人より体温や血圧が低く、真冬でも特に厚着もせず屋外で平然と長話しているほか、意識して吐かないと吐息が白くならない。 身体からはある種の人間に反応するフェロモンが発せられており、それに反応する人間を引き寄せたり興味を持たれやすい。これは肉体関係を結ぶと更に顕著になり、すれ違う程度の接触でもオキナガを見分ける事が出来るようになる。 紫外線アレルギー 紫外線に対してアレルギーがあり、20-30分以上(長い者でも2-3時間)直射日光に当たると熱傷を負ったり、体力を消耗して心停止を起こすなど危険なため、閉め切った屋内を除けば活動時間は基本的に夜のみ。昼間に出歩く場合、フード付きのコートや帽子などの対策は不可欠。冬場なら日焼け止めなども効果が高い。最終話後半(2064年)の時代になると、大幅に進歩した日焼け止めの効果で数時間ほどなら昼間の活動も可能となっている。 オキナガにとって確実な自殺方法の一つとして「日のあたる場所で夜明け前に仮死状態になり、そのまま直射日光に身体を晒して焼いてしまう」があり、身体が炭化するまで焼けてしまうと、まず蘇生しない。 食事 普通に調理された食物の味が良く分からなくなっており、食物自体「重く」感じるようであまり摂らない。反面、週に一度くらいの割合で生肉を食べたり、時折血液を飲むといった嗜好がある。オキナガとなったことを自覚していなかった頃の魁が初めて生の豚肉を食した際にも「こんなに美味いとは思わなかった」と、味覚の変化が起こっていることが示されている。古代から近代でも戦争などの混乱期には「野生動物より鈍い」人間を喫血も含めた捕食対象としていた時代もあるが、人の世が整うとともにこの様な行いは下火となっている。 オキナガにとって血液は酒類のような一時的な強壮剤的効果もあり、体力を消耗した際にも衝動が高まるが、食欲よりはむしろ性欲に近い衝動で恋愛感情とも通じている部分があり、誰彼かまわずという訳ではない。10巻199Pの描写では門歯と犬歯の間に出し入れ可能なトゲのような牙があり、これを突き刺すことで出血を促す。相手との同意の上での吸血なら相手は気持ち良いらしい(そのため、特定のパートナーを持つオキナガもいる)。 喫血する(血を吸う)際には、首筋よりも腕の静脈から吸うことが多い。これは、頸動脈などに傷を付けるとよほど慣れていなければ出血を抑えられず、相手の命にかかわるから。また、薬物などが体内に入ると血の味が悪くなるため、供血者の嗜好品に関しては酒やタバコなど、内服薬に関しては風邪薬程度でも嫌う者がいる。 これらのことから吸血鬼と混同されやすいが、吸血鬼と違って後述の「血分け」を行わない限り、血を吸われただけでオキナガになることはない(吸う量も多くて300-400cc未満と献血程度)。 血分け 外傷による失血などのショック症状が出た状態でオキナガの血を与えられ、それに適応した場合に限って「なりあがる(オキナガという存在に“成って”人という存在から“上がる(終わる)”という意味)」と言われ、なりあがって以降は成長や老化が停止するほか「なりあがる際に負った傷痕や患っていた持病」は残る。このことからオキナガを「蘇生症」という一種の病理患者として捉えていた時期もある。また、眼の虹彩が赤くなり、暗闇ではうっすらとした光を放つ。古くは血分けした者を「血分け親」、血を貰った者を「血の子」と呼んで親子関係と見做したが、近代以降は結婚や養子縁組などの手続きを行わない限り、法的には赤の他人とされている。 「血分け」を行うことはオキナガにも負担が大きく、適応者の割合からくるリスクから特定の相手に行うということは少なく、偶々行きあたった死にかけの人間に血を与えてみることで仲間を作る形が多く、血分けされた方も半ば本能で血を呑んでいる。そのため、自分に血を与えたオキナガが誰なのか知らない者も多いが、研究から体内の「オキナガ因子」を照合することで、どの系統のオキナガかは判別可能となっている。また、極めて珍しいが羽鳥兄妹のように、直接血のつながりのあるオキナガも存在する。このことから、なりあがるかどうかも本人の体力などより、オキナガの血に適応する「何か」が働いていると考えられていたが、これも研究からオキナガに成り上がる長命化因子は「母親から受け継がれる」ことが判明している。 オキナガは見た目の年齢が大体20-40代くらいの者が多いが、希梨香のように10歳前後の子供や、中には60を過ぎた老人と言ってもいい年齢でオキナガとなった者もいる。オキナガになりあがった者にとってそれが良かったのか悪かったのかは個々人で異なる。 このような習性から彼らを「給血鬼」と評する者もいる。 社会性 自分たちの呼び名を「御気長」と表記したり、一定数が集まると宴会に突入してしまったりと性格は楽天的。人づきあいに関しても「(生きているなら)たぶん、そのうちまた会える」と淡白なところがあるほか、生活に必要な物を除いて「物を持つ習慣が無い」という者が多く、住居は殺風景な印象になることが多い。これは作中に日本人以外のオキナガがほとんど登場していないため、民族性なのか種族としての物なのかは不明。薫子が海外で成りあがっているように不死不老、あるいは長命な種族・人物の伝説等がある国には存在する可能性はあるが、ヨーロッパなどでは吸血鬼と混同されて迫害を受けている可能性が高い。 かつてはそれなりの生業を持ってあちこち渡り歩く者以外は人里から適度に離れた場所で自給自足の生活を送っていたが、近年は人の出入りは頻繁な割に隣人に対して無関心な都市部で暮らす者も多い。それでも一か所に住み続けるのは難しく、時折噂になって引っ越しを繰り返したり、職にあぶれたりした途上で知り合った者同士で独自のコミュニティを作ろうとするオキナガは結構いる。希梨香が矢尻沢に作ろうとした村や、村上たちのグループ「カインの裔」などがそれ。 またオキナガには自営業を営む者もいるが、これは被雇用者の立場だと雇用する側の人事や世間の風潮ですぐに解雇されるからという面も大きく、けして本人の望む仕事という訳でもないことは多い(起業するための資本金を都合すること自体も難しい)。久保園によると、手順さえ踏めば公務員になることも不可能ではないとのこと。 ヤドリギ 子供を失くした夫婦などの庇護下に入って、それらの子供の振りをして暮らすオキナガ。成り上がった際の生理年齢が15歳に満たない者たちが世を渡っていくために考え出した方法で、保護者役の人間に対しては義理を通す者もいない訳ではないが、大半はその一時限りの関係。薫子によると戦争の後の混乱期にはよく見かけたらしい。 現代でも見た目が子供では怪しまれやすく、なおかつ別の意味でも危険が多いため、光明苑など専門の施設(後述)に入所することになっている。入所した者は特定の要件を満たすか、許可を得た上で保護者役の看護人同伴でのみ外出できる。
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