無線LAN 各種方式

無線LAN

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/09/28 21:20 UTC 版)

各種方式

IEEE 802.11シリーズ

IEEE 802.15シリーズ

なお、IEEE 802.15シリーズを無線PAN (WPAN:Wireless Personal Area Network)と分類する事もある。

セキュリティ

無線LANは、電波によって通信が行われるため、第三者によって通信内容を傍受される危険性がある。そのため、無線LANのアクセスポイントと通信を行う機器間とのセキュリティ対策が必要となる。たとえば、ネットワークキーと呼ばれるパスワードを用いて通信できるコンピュータをそのネットワークキーを知るコンピュータのみに限定させる方法がある。

暗号化通信におけるセキュリティ技術としては主にWEPやWPAやWPA2、IEEE 802.11iがある。これらの暗号化通信ではネットワークキーによって通信機器を限定する目的のほか、通信内容を暗号化することで第三者による通信内容の傍受を防ぐ目的もある。

近年は暗号化の解読技術が進み、WEPでは10秒で解読できるという論文がある[6]。また、MACアドレスによって通信できるコンピュータを限定する手法も、MACアドレスの偽装が技術上可能であることから、強固なセキュリティ対策とは言えない。

情報処理推進機構によると家庭用であれば認証方式としてWPA2-PSK、暗号化方式としてAESCCMP)を選択し十分な強度の共有鍵(大文字 (A - Z)・小文字 (a - z)・数字 (0 - 9)・記号 (!, $, %, \ など半角のもの) を全て含み20文字以上)を使用するべきであるという[7]

なお日本では、クラッキングなどの手法により、パスワードで保護されたネットワークに不正に侵入した場合、もしくは試みた場合は、不正アクセス行為の禁止等に関する法律に抵触する可能性がある。

もっとも、パスワード設定されていない無線LANを利用するだけの行為(タダ乗り)については刑事上の問題は生じない。弁護士小倉秀夫によれば、係るタダ乗りは、不正アクセス行為に該当しないし、窃盗罪に問われることもないが、本来の利用者の使用を妨げるほどの帯域を使うような場合には、民事上の追及を受ける可能性がある[8]としている。

無線LANの各種機能

インフラストラクチャー・モード、アドホック・モード

セキュリティ

SSID (Service Set ID)・ESSID (Extended SSID)
無線LAN接続のグループ分けを行うID。認証にも使用される。最大32文字までの英数字が設定できる。通常はアクセスポイントとクライアントの設定を合致させないと接続できない。合致させなくとも接続できるような設定も可能だが、フリースポット等の公衆無料接続サービスを提供する場合以外ではセキュリティ面から推奨されない。

通信プロトコルと暗号化方法

WEP (Wired Equivalent Privacy)
無線LAN初期の規格。セキュリティの脆弱性が指摘されており、WEP方式の利用は推奨されない[9]WEPのパスワードは10秒程度で解読可能であり[10]AirSnortなどのクラッキングソフトが出回っているため、容易に乗っ取りが可能である。
WPA(Wi-Fi Protected Access
WEPの脆弱性を改良するためIEEE 802.11iの策定に先立ち、Wi-Fi Allianceによって制定された。暗号化にはTKIP(Temporal Key Integrity Protocol)というストリーム暗号が用いられているが、これはWEPでのRC4方式に、鍵と初期ベクトルをミックスする関数を加えるなどして既知の攻撃を可能な限り避けようとしたものである。しかし実際にはWEPの場合と同様の攻撃の多くが効いてしまう(詳細は英語版のTKIPの記事を参照)。
WPA2(Wi-Fi Protected Access 2)
WPAのセキュリティ強化改良版。IEEE 802.11iの策定に伴い、それを取り込む形で制定された。暗号方式としては認証暗号AES-CCMMPDUやそのヘッダを守るCCMPという方式が採用されている。
WPA3(Wi-Fi Protected Access 3)
WPA2に関する深刻な脆弱性、KRACK (Key Re-installation Attack) が2017年10月に報告されたことを受け、2018年6月に策定されたセキュリティ規格。2019年4月にはWPA3にも脆弱性が報告されており[11]、いたちごっこの状態が続いている。

PSKモードとEAPモード

WPA/WPA2/WPA3にはPSKモードとEAPモードという2つのモードがある。

PSKモード (Pre-Shared Key; 事前鍵共有)はパーソナルモードとも呼ばれ、アクセスポイント側に事前にパスワードを設定しておき、端末側でそのパスワードを入力する事で接続を開始する。通信に使う鍵はパスワードからPBKDF2というアルゴリズム(鍵導出関数)を用いて計算する。

一方EAPモードエンタープライズモードとも呼ばれ、RADIUS認証サーバを使ってEAP (Extensible Authentication Protocol)の認証によりPPP接続する。その詳細はIEEE 802.1xに規格化されている。

設定

無線LANでは有線LANに比べ設定が複雑なため、以下のような規格、システムがある。機種によっては手動で設定しなければならない場合もある。

WPS (Wi-Fi Setup)
WPAを初心者にも簡単に設定できるようにする規格。Wi-Fiアライアンスによって策定され、メーカーを問わず利用できる。なお規格にはセキュリテイ上問題があり、PIN認証を用いた場合にはPINがブルートフォース攻撃できてしまう[12][13][14]ため、何度か認証に失敗すると認証をロックするよう設定された機種を使うか、ユーザの側でPIN設定後にWPSを無効化するなどして防御する必要がある[14]
AirStation One-Touch Secure System(AOSS)
バッファローが発売しているAirStationに導入されている設定システム。
らくらく無線スタート
NECアクセステクニカ株式会社(現・NECプラットフォームズ)が開発した設定システム。

独自拡張

メーカーによっては、IEEE 802.11a/b/gとの接続性を確保したまま独自の改良を加えた技術が存在する。高速化技術(圧縮・プロトコル最適化等)としては「SuperAG」「SuperG」「フレームバースト」「フレームバーストEX」などが、到達エリア拡大技術としては「XR(eXtended Range)」がある(SuperAG、SuperG、XRはクアルコム・アセロス商標)。これらはメーカーの独自拡張であるため、親機子機が同じメーカー製であり両方が対応していないと効果はない。これらの登場は最大通信速度は54Mbpsである802.11a、11gが主流の頃であったが、その後に大幅に通信速度を向上した802.11nが広まってからはあまり見られなくなった。


  1. ^ WaveLAN
  2. ^ Home Networking's Bitter Brawl”. Wired (2000年9月15日). 2017年8月22日閲覧。
  3. ^ <KEY WORD> IEEE802.11b 次世代の無線LAN規格 webBCN
  4. ^ 無線LAN〜その栄光への道のり(後編) ITmedia
  5. ^ 11Mビット/秒無線LAN「AirStation」を新発売 BUFFALO
  6. ^ 「WEPは10秒で解読可能」、神戸大と広島大のグループが発表 Impress Watch 2008年10月14日
  7. ^ 一般家庭における無線LANのセキュリティに関する注意 情報処理推進機構
  8. ^ 隣家の無線LANの電波でネット接続したら違法なの? ITpro 日経NETWORK 2008年8月号 p.15
  9. ^ 『Wi-FiのセキュリティはなぜWEPでは駄目なのか』”. Canon ITソリューションズ マルウェア情報局 (2015年11月17日). 2016年9月28日閲覧。
  10. ^ 「WEPは10秒で解読可能」、神戸大と広島大のグループが発表”. Internet Watch (2008年10月14日). 2016年9月28日閲覧。
  11. ^ 磯谷 智仁 (2019年4月11日). “Wi-Fiセキュリティ新規格「WPA3」に脆弱性、登場から1年経たずに発見される”. Internet Watch. 2019年10月28日閲覧。
  12. ^ Walker-Morgan, Dj (2011年12月29日). “Wi-Fi Protected Setup made easier to brute force”. The H. オリジナルの2012年5月2日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20120502071608/http://www.h-online.com/open/news/item/Wi-Fi-Protected-Setup-made-easier-to-brute-force-Update-1401822.html 2011年12月31日閲覧。 
  13. ^ Wi-Fi Security – The Rise and Fall of WPS”. Netstumbler.com (2013年1月18日). 2013年12月17日閲覧。
  14. ^ a b 無線LAN設定を簡素化する「WPS」、PIN方式の仕様に脆弱性 - @IT” (2012年1月5日). 2016年5月7日閲覧。
  15. ^ メッシュWi-Fiで“超手軽”な無線LAN”. businessnetwork.jp (2019年8月9日). 2019年12月25日閲覧。
  16. ^ 電波を強くするメッシュWi-Fiおすすめ機種”. PREMOA MAGAZINE (2019年11月20日). 2019年12月25日閲覧。
  17. ^ 別海,中標津地区」『高速無線通信サービス「SKYNET V」』 株式会社オーレンス
  18. ^ 平成26年度 沿岸域海水中温暖化ガス連続モニタリング装置・システムの要素技術の検討補助事業 報告書」 2015年3月、一般財団法人エンジニアリング協会、資料21
  19. ^ ただし商用サービスのスカイネットVでは約15kmまでとうたい[17]、日本電業工作では30kmで7Mbpsの通信を行った実績がある[18]
  20. ^ a b 5GHz帯無線アクセスシステム 総務省
  21. ^ 据置型無線LAN JRL-849AP2シリーズ 日本無線
  22. ^ 「導入事例 日本ゼオン株式会社 様」『富士通ネットワークソリューションズ』 富士通ネットワークソリューションズ
  23. ^ 「ソリューション 導入事例 本社と支社間のデータ通信を無線化」『DENGYO 日本電業工作株式会社』 日本電業工作株式会社
  24. ^ 「ソリューション 導入事例 放送映像・FM放送局臨時伝送路」『DENGYO 日本電業工作株式会社』 日本電業工作株式会社
  25. ^ 「導入事例 福島県只見町 様」『富士通ネットワークソリューションズ』 富士通ネットワークソリューションズ
  26. ^ 恩納村 長距離無線LAN構築」『株式会社リウデン』 株式会社リウデン
  27. ^ 次世代無線ネットワークシステム 5GHz帯無線アクセスシステムのご提案」『Toa 東亜株式会社』 2013年2月、東亜株式会社、13ページ
  28. ^ 沖縄県宜野座村地域限定ブロードバンドサービス」『宜野座村』 沖縄県国頭郡宜野座村
  29. ^ 総務省の取組② p.6 総務省
  30. ^ 総務省告示周波数割当計画の脚注J37”. 総務省. 20201118閲覧。
  31. ^ Author. “医療機器と干渉しない無線Wi-Fi環境の構築” (日本語). KOSネットワーク株式会社. 2022年8月31日閲覧。
  32. ^ ワイヤレスLAN製品(IEEE802.11b/g準拠)の電波に関するご注意 | NetWalker:シャープ”. jp.sharp. 2022年8月31日閲覧。
  33. ^ 日経クロステック(xTECH). “無線LANを妨害、電波干渉を引き起こす意外な存在” (日本語). 日経クロステック(xTECH). 2022年8月31日閲覧。
  34. ^ 日経クロステック(xTECH). “これでいいのか“汚れた”無線LAN” (日本語). 日経クロステック(xTECH). 2022年8月31日閲覧。
  35. ^ 『「無料でネット」と違法無線LAN販売 容疑で業者ら逮捕へ』 大阪府警 産経新聞 2010年9月22日
  36. ^ 電波法第58条 実験等無線局及びアマチュア無線局の行う通信には、暗語を使用してはならない。
  37. ^ 無線設備規則第18条の2 アマチュア局の送信装置は、通信に秘匿性を与える機能を有してはならない。
  38. ^ 「マイクロウェーブワールド」熊野谿寛『CQ ham radio』2009年7月号、CQ出版
  39. ^ a b c 諸外国における公衆無線LANの整備状況 調査報告書 一般財団法人マルチメディア振興センター





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