多糖 [Polysaccharide(s)]
多糖の種類は多様で、植物などのセルロース、デンプン、グリコーゲン、グルカン、キシラン、マンナンなどの単純多糖、昆虫や甲殻類のキチンのようなアミノ多糖のほか、動植物や微生物の粘液質や細胞成分として多種類の単純多糖や複合多糖が知られている。一般細菌の細胞壁を構成しているペプチドグリカン、グラム陰性菌の莢膜などの細胞表層や菌体外へ産生されるリポ多糖や糖タンパク質などは細菌毒素や抗原として重要な複合多糖である。最近、種々の生物がもっている複合多糖の生理活性や機能が注目されつつある。
多糖
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/09/11 08:26 UTC 版)
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多糖(たとう、英語: polysaccharide)あるいはポリサッカライドとは、グリコシド結合によって多数の単糖分子が重合した高分子化合物の総称である。
多糖(デンプンなど)は、構成単位となる単糖(グルコースなど)とは異なる性質を示す。広義としては、単糖に対し、複数個(2分子以上)の単糖が結合した糖を含むこともある。
概要
一般に、多糖は常温で固体であり、親水性(水を吸着しやすい)を持っている。しかし、物性は様々であり、水に不溶性のもの(セルロース、キチンなど)、加熱すれば溶けたりゲルを作るもの(デンプン、グリコーゲン、アガロース、ペクチンなど)などがある。
いずれも生物による生合成産物として得られ、構造多糖(植物細胞壁にあるセルロースやペクチン、節足動物・菌類の外骨格にあるキチン、藻類の細胞にあるアガロース(寒天)やカラギーナン)、エネルギー貯蔵物質(デンプン、グリコーゲン)、あるいは微生物が分泌するゲル状物質(キサンタンガム)などとして存在する。
動物はデンプンを消化し(一部はセルロースなども消化する)エネルギー源とする。しかし消化されない多糖も多く、これらは食物繊維として扱われる。
ゲル状の多糖は、食品または食品添加物(増粘安定剤)として用いられることがある。
その他、工業的には、繊維、製紙、化粧品や歯磨剤等の日用品、接着剤(糊)、医療など広い範囲に利用される重要な物質群である。
例えば、セルロースの水酸基を修飾したニトロセルロースやアセチルセルロース(セルロースアセテート)などは古くから樹脂として利用されてきた。さらに、他の多糖も誘導体化することによって、熱可塑性樹脂(バイオプラスチック)として利用できる。
おもな多糖類
- デンプン
- グリコーゲン
- beta-1,6-glucan
- セルロース (beta-1,4-glucan)
- カードラン (beta-1,3-glucan)
- パラミロン (beta-1,3-glucan)
- beta-1,2-glucan
- キチン
- デキストラン (alpha-1,6-glucan)
- α-1,3-グルカン (alpha-1,3-glucan)
- alpha-1,2-glucan
- ニゲラン
- アガロース
- カラギーナン
- ヘパリン
- アルギン酸
- ヒアルロン酸
- ペクチン
- キシログルカン
- キシラン
- グルコマンナン
- レバン
関連項目
外部リンク
多糖
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/21 05:24 UTC 版)
糖はその種類が多く、タンパク質や核酸のように一本鎖の構造を持たず、分枝しているケースが多い。また、概して膜脂質やタンパク質に結合しており、そのため構造解析の最も難しい生体分子の一つと言われている。いまだ一次構造を理解するための基本的な配列決定法すら確立されていない状況である。 しかしながら、細胞接着や物質輸送に必要な細胞の標識は多糖(糖鎖)が特に重要であると言われており、特異性の高い薬剤の開発には、こうした細胞標識のコンフォメーションを理解することがきわめて重要であると考えられている。
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「多糖」の例文・使い方・用例・文例
- 髄膜炎菌多糖(類)ワクチン
- (特に肺と肝臓の)好塩基球で作られ、血液凝固におけるトロンビンの活動を抑制する多糖
- 多糖類の固い層で、植物と原核細胞の細胞膜を囲むもの
- エラーからなる遺伝病(常染色体劣性形質)は、ムコ多糖代謝である
- 遺伝子障害の一群のいずれかで、新陳代謝に欠陥を伴い、組織内のムコ多糖類のレベルが通常より高くなるもの
- 多くの多糖類の要素であるブドウ糖のアミノ誘導体
- 全ての植物細胞および繊維の主要な成分である多糖類
- 澱粉の加水分解により得られた様々な多糖類のうちの総称
- 結合組織腔、可動ジョイントの滑液、および目のユーモアで見つけられた粘着性の粘質多糖
- アミノ基を含む複合多糖
- サイクロデキストリンという,包接作用をもつ多糖類
- シクロデキストリンという,包接作用をもつ多糖類
- マンナンという多糖類
- 多糖類という糖類
- 動物の肝臓や筋肉に含まれる多糖類
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