グリコシド‐けつごう〔‐ケツガフ〕【グリコシド結合】
グリコシド結合
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/08/27 14:48 UTC 版)
化学においてグリコシド結合(ぐりこしどけつごう、英: glycosidic bond)とは、炭水化物(糖)分子と別の有機化合物とが脱水縮合して形成する共有結合である。
具体的にグリコシド結合とは、単糖(または単糖誘導体)のヘミアセタールとアルコールなどの有機化合物のヒドロキシ基との間の結合である。文献では、アミノ基または他の含窒素基と糖との結合もグリコシド結合としばしば呼ばれる(しかしIUPACは間違った用法であるとしている)。例えば、ヌクレオシドの糖-塩基結合をグリコシド結合としている文献が存在する(André and Guschlbauer 1974)など。糖と糖以外の有機化合物とがグリコシド結合した物質は配糖体またはグリコシドと呼ばれる。

化学
炭水化物(アノメリック炭素を含む)のヘミアセタールは反応性であり、酸の存在で容易にグリコシド結合を形成する。これは1分子の水を放出する縮合反応である。グリコシド結合は比較的安定な結合である。
水溶液中の単糖は鎖状構造(稀少)または環状構造(一般的)の状態で存在しており、それらは容易に相互変換する。2種の構造の中でアノメリック炭素を持ち、グリコシド結合を作ることができるのは環状構造の方である。グリコシド結合すると糖は鎖状構造をとることができなくなる。
結合様式
S-、N-、C-、およびO-グリコシド結合

糖のアノメリック炭素が硫黄原子と結合したものはS-グリコシド結合、窒素原子と結合したものはN-グリコシド結合と呼ぶがIUPACでは奨励していない。先述のグリコシド結合は、これらのグリコシド結合と区別してO-グリコシド結合と呼ばれることがある。N-グリコシド結合を含む物質はグリコシルアミンとして知られる。また、糖とアグリコンとが共有結合したC-グリコシド結合もある。この結合は加水分解に対する耐性を持つ。
α-、β-、1,4-、および1,6-グリコシド結合


一般にグリコシド結合は、α-グリコシド結合とβ-グリコシド結合に区別され、1,4,6の番号はグリコシド結合をしている炭素を識別する。
二糖・多糖
2分子の糖がグリコシド結合すると二糖を形成する。例えば、ガラクトースとグルコースがβ-1,4-グリコシド結合してラクトースが形成する。さらに、より多くの単糖がグリコシド結合するとデンプンやグリコーゲン、セルロース、キチンのような多糖を形成する。単糖の環状構造単位は固いがグリコシド結合は多糖分子に柔軟性を与え、折りたたまれることができるようになる。
脚注
参考文献
- Varki A et al. Essentials of Glycobiology. Cold Spring Harbor Laboratory Press; 1999. Searchable online
- André, A; Guschlbauer, W (1974-06). “Nucleoside conformations. 15. Flexibility of natural pyrimidine nudeosides around the glycosidic bond”. Nucleic Acids Research 1 (6): 803-807. doi:10.1093/nar/1.6.803. ISSN 0305-1048. PMC 343381. PMID 10793758 .
関連項目
外部リンク
- Definition of glycosides, from the IUPAC Compendium of Chemical Terminology, the "Gold Book"
グリコシド結合
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/19 08:06 UTC 版)
グリコシド結合は単糖を連結するアセタール構造の呼称である。 単糖はヒドロキシ基とカルボニル基(アルデヒドまたはケトン)をもつ直鎖 (open chain) 構造と自己のヒドロキシ基を巻き込んで環状アセタール(ないしはケタール)の環構造の二つの構造をとることができる。環状アセタールを形成する際に、自己のヒドロキシ基とともに他の糖のヒドロキシ基を巻き込んで環を形成することで、糖が連結した多糖が形成される。 糖が環を形成するとき、通常は環を含む平面に対して構造が非対称な為、グリコシド結合も環平面に対して上向きと下向きの二つの構造をとりうる。下向きにグリコシド結合を生成する場合をα-グリコシド結合、上向きの場合をβ-グリコシド結合と呼ぶ。両者は化学的、物理的、生物学的に性質が異なる。たとえば、グルコースがα1→4結合で多数連結すると、アミロース(でんぷん)となり、β1→4結合で多数連結するとセルロースとなる。 グリコシド結合は一般名で個々の糖についてはグルコースならグルコシド、ガラクトースならガラクトシドのように糖名+オシドで表記する。2種類の糖による結合の場合はアセタールを形成する糖の名前で呼ぶ。そのため加水分解酵素は同じ糖類に作用するとしても酸素を挟んでどちら側でグリコシド結合を分解するかによって名前が異なる。例:ラクトース分解酵素はヒトではβ-グルコシダーゼ、大腸菌ではβ-ガラクトシダーゼ。
※この「グリコシド結合」の解説は、「糖」の解説の一部です。
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