分子間力
分子間力
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/05 13:08 UTC 版)
詳細は「ファンデルワールス力」および「分子間力」を参照 粒子間には引力と斥力が働いており、それが気体の力学に影響を及ぼす。物理化学ではこの力をファンデルワールス力と呼ぶ。この力は粘度や流量といった気体の物性を決定する重要な因子となる。ある条件下ではそれらの力を無視することで、実在気体を理想気体のように扱うことができる。そのような仮定の下では理想気体の状態方程式を使い、解に至る経路を大幅に単純化できる。 そういった気体の関係を正しく把握するには、気体分子運動論を再度考慮する必要がある。気体粒子が電荷や分子間力を持つとき、粒子同士の距離が近いほど互いに影響を及ぼしやすくなる(図のような水素結合もその一例である)。電荷がない場合、気体粒子間の距離が極めて近くなれば、粒子同士の衝突が避けられなくなる。気体粒子間の衝突が増大する別の場合として、体積が一定の気体を熱した場合があり、粒子の速度が高速になる。つまり理想気体の状態方程式は、圧縮によって極めて高圧になった状態や高温によってイオン化した状態では適切な結果を示せない。このとき除外された条件では、気体系内でのエネルギー伝達が発生することに注意が必要である。系内部におけるエネルギー伝達がないことは理想条件などと呼ばれ、その場合エネルギー伝達は系の境界でしか発生しない。実在気体は粒子間の衝突や分子間力を一部考慮する。粒子間の衝突が統計的に無視できる程度なら、理想気体の状態方程式の結果は妥当といえる。一方、気体を極限まで圧縮すると液体のように振る舞い、流体力学で扱うのが妥当となる。
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分子間力
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/08 21:03 UTC 版)
詳細は「分子間力」を参照 分子間力について説明するための予備知識として、双極子について簡単に説明する。 極性共有結合では、分子内で電子が片方の原子により、全体として電気的な偏りが生じる(分極)。分子内にある原子が電気的にプラスであるかマイナスであるかを極性といい、分子のような小さな物体に両方の極性がある状態を双極子という。双極子は分子間力を作り出す原因の一つとなっている。 分子間力には、以下のものがある イオン-双極子力 双極子-双極子力 ロンドンの分散力 イオン-双極子力は、双極子の電気的に正の部分、負の部分がそれぞれ陰イオン、陽イオンに引き寄せられる事により生じる力である。この力は NaCl {\displaystyle {\ce {NaCl}}} のようなイオン物質の水溶液で重要であり、極性を持つ水分子はイオンを取り囲む。 双極子-双極子力はある分子の双極子が別の分子の双極子内の逆向きの極を引きつける事によって生じる。一般にこの力は弱く、3~4 kJ/mol程度であり(p212)、分子が密着している場合のみ働く。双極子-双極子力は沸点と関係しており、分子の分極が大きいほどその分子からなる化学物質の沸点は高くなる。 双極子-双極子力は一般的には弱いが、電気陰性度の高い O {\displaystyle {\ce {O}}} 、 N {\displaystyle {\ce {N}}} 、 F {\displaystyle {\ce {F}}} と水素原子との間に生じる双極子-双極子力は例外的に異常に強くなり、これを水素結合という。水素結合において双極子-双極子力が強くなるのは、水素原子の場合には原子核の電気的な力を遮蔽する内殻電子を持たず、しかも水素原子は他の原子よりも小さいので、他の分子に近づいて密着できるためである。 全体として極性をもたない分子であっても、分子運動により電子雲が歪められて一時的な電気的偏りが生じ、これが分子同士を引きつける原因になる。このような分子運動による電気的偏りから生じる分子間力をロンドンの分散力という。分散力も一般的に弱く1~10 kJ/mol程度であり、その大きさは電子雲の歪められやすさの尺度である分極率に依存する。一般論として大きな分子や重い分子は多くの電子を持つため分極率が高くなる傾向にあり、形が対象でない分子も分極率が高くなる傾向にある。
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分子間力
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/19 01:18 UTC 版)
詳細は「分子間力」を参照 ポリマーを構成する高分子鎖の間に働く引力は、ポリマーの性質の大部分を決定づけている。高分子鎖は大変長いので、鎖間に働く力は典型的な分子と比べてはるかに超えて増幅されている。長い分子鎖はほとんど非結晶状態になっている(ランダムに配向している)。ポリマーは絡まったスパゲッティーのような有様で、あるスパゲッティーを引っ張ると、他の鎖は一層絡まり具合がひどくなる。この様な強い力は強い張力と高い融点といった一般的性質に現れている。 ポリマーの分子間力はモノマー単位の分極で決定される。アミド結合を持つポリマーは隣接した鎖の間で水素結合を形成する。鎖の N−H 基上の正電荷の水素原子が、他の鎖の C=O 基の酸素原子に強く吸引される。これらの強固な水素結合は、例えばケブラーの高い張力と高融点に現れている。 ポリエステルでは、C=O 基の酸素間や H–C 基の水素間に双極子間結合(英語版)が生じる。双極子結合は水素結合ほどは強くなく、ポリエチレンテレフタラート(PET)の融点と強度はケブラーより低いが、ポリエステルは柔軟性が高い。しかし、PET は永久双極子を持たない。ポリエチレン鎖の間の吸引力はファンデルワールス力に起因する。 分子は周囲に負電荷の電子雲をまとっている。2つの鎖が近づくと、それぞれの電子雲は反発する。このことはポリマー鎖の片側の電子密度を低下させる効果があり、そちら側はわずかに正に分極する。この電荷は次のポリマー鎖を実際に引き付けるのに十分である。ファンデルワールス力は非常に弱く、それゆえ、ポリエチレンは低い温度で融解する。
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