クーロンの法則とは? わかりやすく解説

クーロン‐の‐ほうそく〔‐ハフソク〕【クーロンの法則】

読み方:くーろんのほうそく

二つ電荷間または磁極間にはたらく力は、距離の2乗反比例し両方のもつ電気量または磁気量の積に比例するという法則1785年クーロン発見


クーロンの法則

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/03 14:52 UTC 版)

クーロンの法則(クーロンのほうそく、英語: Coulomb's law)とは、荷電粒子間に働く反発し、または引き合うがそれぞれの電荷比例し、距離の2乗に反比例すること(逆2乗の法則)を示した電磁気学の基本法則。

ヘンリー・キャヴェンディッシュにより1773年に実験的に確かめられていたが、この成果は彼の死後ずいぶん経ったのちの1879年にジェームズ・クラーク・マクスウェルが遺稿をまとめて『ヘンリー・キャヴェンディシュ電気学論文集』として発表するまで世間に発表されておらず、このためキャヴェンディッシュとは全く別のアプローチからシャルル・ド・クーロン1785年に法則として再発見したことになる。磁荷に関しても同様の現象が成り立ち、これもクーロンの法則と呼ばれる。一般的にクーロンの法則と言えば、通常前者の荷電粒子間の相互作用を指す。クーロンの法則は、マクスウェルの方程式から導くことができる。

また、導体表面上の電場はその場所の電荷密度に比例するという法則も「クーロンの法則」と呼ばれる。こちらは「クーロンの電荷分布の法則」といい区別する。

概要

クーロンの法則は1785年から89年にかけて発見されたが、それまでの電磁気学(確立していないがそれに関する研究)は、かなり曖昧で定性的なものであった。

電磁気学は、1600年にウィリアム・ギルバート琥珀が摩擦でものを引きつける現象から、物質を電気性物質、非電気性物質として区別したことに始まり、1640年にはオットー・フォン・ゲーリケによって放電が確認された。

18世紀に入った1729年にスティーヴン・グレイが金属が電気的性質を伝えることを発見し、その作用を起こす存在を電気と名付けた。彼はギルバートの電気性物質の区別を、電気を導く物質として導体、電気を伝えない物質を不導体と分類した。1733年、シャルル・フランソワ・デュ・フェが摩擦によって生じる電気には二つの性質があり、同種間では反発し、異種間では引き合うこと、そして異種の電気を有する物質どうしを接触させると中和して電気的作用を示さなくなることを発見した。1746年にはライデン瓶が発明され、電気を蓄える技術を手に入れた。1750年には検電器が発明され、これらからベンジャミン・フランクリンが電気にプラスとマイナスの区別をつけることでデュ・フェの現象を説明した。

フランクリンの手紙に示唆されて、ジョゼフ・プリーストリーは1766年に中空の金属容器を帯電させ、内部の空気中に電気力が働かないことを示し、重力との類推から電気力が距離の2乗に反比例すると予想した[1][2]。1769年にジョン・ロビソン(John Robison)は実験により同種電荷の斥力は距離の2.06乗に反比例し、異種電荷の引力は距離の2以下の累乗に反比例することを見いだした。しかしこの結果は1803年まで公表されなかった[3]。1773年にイギリスのヘンリー・キャヴェンディッシュは同心にした2個の金属球の外球を帯電させ、その二つを帯電させたときに内球に電気が移らないことから逆二乗の法則を導き出した。これはまさにクーロンの法則であり、クーロンよりも早く、しかも高い精度で求めていた。しかし、彼は研究資料を机にしまい込んで発表しなかったためにおよそ100年の間公表されなかった。

1785年にクーロンはねじり天秤を用いて、荷電粒子間にはたらく力が電荷量の二乗に比例し、距離の二乗に反比例するという法則、すなわち以下でしめされるクーロンの法則を導きだした。

静電気学静磁気学電気力学電気回路共変定式人物

クーロンの法則

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/08/20 01:31 UTC 版)

静電気学」の記事における「クーロンの法則」の解説

静電気学基本的な方程式は、点電荷の間に働く力を記述するクーロンの法則である。クーロンの法則によると2つ点電荷間に働く静電力それぞれの電荷大きさの積に正比例し電荷間の距離の2乗反比例する数式用いてあらわすと F = Q 1 Q 2 4 π ε 0 r 2 {\displaystyle F={\frac {Q_{1}Q_{2}}{4\pi \varepsilon _{0}r^{2}}}} となる。ここで Q 1 {\displaystyle Q_{1}} と Q 2 {\displaystyle Q_{2}} は点電荷、 ε 0 {\displaystyle \varepsilon _{0}} は真空の誘電率であり、以下の式で定義される。 ε 0   = d e f   1 μ 0 c 0 2 = 8.854 187 817 × 1012 {\displaystyle \varepsilon _{0}\ {\stackrel {\mathrm {def} }{=}}\ {\frac {1}{\mu _{0}{c_{0}}^{2}}}=8.854\,187\,817\times 10^{-12}}   (A2s4 kg−1m−3 or C2N−1m−2) または (F m−1)

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クーロンの法則

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/06 18:43 UTC 版)

電荷」の記事における「クーロンの法則」の解説

詳細は「クーロンの法則」を参照 正電荷(を持つ粒子同士の間には斥力互いに遠ざけようとする力)が生じる。負電荷(を持つ粒子同士の間にも斥力生じる。正電荷(を持つ粒子)と負電荷(を持つ粒子)の間には引力互いに引き付けようとする力)が働く。これらの力は、各粒子電荷量比例し粒子同士の距離の2乗反比例する。これをクーロンの法則といい、この力をクーロン力という。

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クーロンの法則

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/18 16:02 UTC 版)

ヘンリー・キャヴェンディッシュ」の記事における「クーロンの法則」の解説

キャヴェンディッシュは、帯電させていない金属の球を帯電させた金属の球で包み2つの球の間を伝導性のある物質つないで外側の球から内側の球へと電気流れ様子観測測定したその結果電気力2つの球の距離の2乗反比例するのを確かめた。このことは1785年シャルル・ド・クーロン別の方法発見し、現在ではクーロンの法則と呼ばれている。キャヴェンディッシュはこの実験における逆2乗の法則からのずれを50分の1としたが、これは当時電位計感度良くなかったことによる制限である。のちにマクスウェルが、当時最新電位計であるトムソン象限電位計使用してキャヴェンディッシュと同じ実験行ったところ、その精度を21600分の1まで高めることができ、キャヴェンディッシュの実験方法確かさ明らかになった。

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クーロンの法則

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/21 19:38 UTC 版)

電場」の記事における「クーロンの法則」の解説

空間上の位置 r0電荷 Q を置く。さらに位置 r に電荷 q を置いた時、電荷 q が電荷 Q から受ける力は、 F = q Q 4 π ε 0 r − r 0 | r − r 0 | 3 {\displaystyle {\boldsymbol {F}}={\frac {qQ}{4\pi \varepsilon _{0}}}{\frac {{\boldsymbol {r}}-{\boldsymbol {r}}_{0}}{|{\boldsymbol {r}}-{\boldsymbol {r}}_{0}|^{3}}}} となる。これをクーロンの法則という。ここで、 ε 0 {\displaystyle \varepsilon _{0}} は真空の誘電率である。これに電場の定義をあわせて考えると、 E ( r ) = Q 4 π ε 0 r − r 0 | r − r 0 | 3 {\displaystyle {\boldsymbol {E}}({\boldsymbol {r}})={\frac {Q}{4\pi \varepsilon _{0}}}{\frac {{\boldsymbol {r}}-{\boldsymbol {r}}_{0}}{|{\boldsymbol {r}}-{\boldsymbol {r}}_{0}|^{3}}}} となる。これは電荷 Q が作る電場である。

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クーロンの法則

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/11 02:21 UTC 版)

逆2乗の法則」の記事における「クーロンの法則」の解説

詳細は「クーロンの法則」を参照 電磁気学における逆2乗の法則として、クーロンの法則がある。クーロンの法則は、発見者シャルル・ド・クーロンから名前が取られている。クーロンの法則には電場対するものと磁場対するものの2種類ある。前者球形または点状の電荷作る電場強さ述べたもので、後者双極子一方作る磁場の強さ述べたのである。 クーロンの法則は、近接作用論立場では電磁場に関する法則として述べられるが、ニュートンの万有引力のように2つ物体の間に働く力として表すこともできる。この場合電場に関するクーロンの法則は「電荷を持つ粒子同士に働く静電気力大きさは、粒子間の距離の逆2乗比例する」と表現できるクーロン自身ねじれ秤英語版)を用いて2つ帯電した物体の間に働く力を測定することによって、静電気力に関するクーロンの法則を発見している。 磁場に関するクーロンの法則は、磁場に関するガウスの法則により磁場湧出ゼロでない発生源存在しないため、直接的に成り立たない磁場についてクーロンの法則が成り立つためには、磁気単極子モノポール)という概念が必要となる。前述通りガウスの法則から磁場湧出ゼロとなるため、磁気単極子単体では存在し得ないが、微小な電流のなす磁場磁気双極子ダイポール)のなす磁場見なすことができ、磁気双極子構成する粒子として磁気単極子を扱うことができる。

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