光子の質量に関する仮説
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/25 04:26 UTC 版)
光子は、現在では厳密に質量ゼロと理解されているが、ごくわずかな質量をもつ可能性は残されている。もし光子の質量が厳密にゼロでなければ、光の速さは光速cよりも少しだけ遅くなるはずである。この場合、光速cは、全ての物体が理論的に超えられない最高速度ということになるが、相対性理論は影響されない。 光子に質量があると仮定すると、クーロンの法則が修正され、電磁場は余分な物理学的自由度を持つことになる。クーロンの法則が完全な真でなければ、外部電磁場に晒される中空導体の内部に電磁場が発生することになる。ただし、クーロンの法則は非常に高い確度を持つことが確認されており、もし光子に質量があるとしても、その上限は m ≲ 10−14 eV/c2の範囲である。 銀河の磁位ベクトルの効果を検出することで、さらに精度の良い上限値を得ることができる。銀河の磁場は非常に遠くまで届くため、その磁位ベクトルは巨大であるが、光子の質量がゼロであれば磁場のみが観測される。もし光子が質量を持てば、質量項は銀河のプラズマに影響を与えるはずである。そのような効果は検出されていないことから、光子の質量の上限はm < 3×10−27 eV/c2と示唆される。銀河の磁位ベクトルは、帯磁環のトルクを測定することで直接検出することが可能である。そのような方法を用いて、パーティクルデータグループにより10−18 eV/c2(原子質量単位の1.07×10-27倍に相当)という上限値が得られた。 銀河の磁位ベクトルを用いた質量上限の推定は、モデルに依存することが示されている。光子の質量がヒッグス機構によって生み出される場合は、クーロンの法則が正当化され、上限値はm ≲ 10−14 eV/c2となる。 超伝導体中の光子は、ゼロではない有効質量を持ち、その結果、電磁力の届く範囲は超伝導体中の短い範囲になる。 「超新星/加速探査機」も参照
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