光子の統計性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/08 04:20 UTC 版)
「光子気体」も参照 現代的な観点からは、輻射場を熱平衡状態にある光子(光量子)の集団として扱い、その量子論的な統計性を考慮することでプランクの公式が導かれる。光子はスピンが1の質量のないボーズ粒子であり、ボーズ統計に従う。ボーズ統計では同種粒子は区別できず、任意個の粒子が同じエネルギー状態をとることができる。また、その分布はボーズ=アインシュタイン分布で与えられる。光子の粒子数は原子からの放出・吸収で保存されず、光子に化学ポテンシャルをゼロとするボーズ=アインシュタイン分布を適用することでプランクの公式が導かれる。ボーズ統計の導入とボーズ統計からのプランクの公式の導出はインドの物理学者サティエンドラ・ボースによって、与えられた。1924年、ボースはアルベルト・アインシュタインに手紙ともに論文の原稿を送り、ドイツ語への翻訳と出版を依頼した。ボースはこの論文で、光子の1粒子相空間を体積 h3 のセルに分割し、各セルの中で光子が取りうる状態数を数え上げ、光子の統計性から黒体輻射におけるプランクの公式が導けることを示した。この議論の中で同種粒子は識別できず、同じ状態を任意個の粒子が占められるという性質、すなわち、ボーズ統計が導入された。アインシュタインはこの論文の重要性を認め、ボース単著の論文として、ドイツの学術誌 Zeitschrift für Physikで出版した。アインシュタイン自身もこの結果に触発され、この統計性を粒子数が保存される単原子理想気体に拡張し、より一般的な形でのボーズ=アインシュタイン分布を導いた 。
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