熱力学的平衡
熱平衡状態(ゼロバイアス)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/03/21 00:48 UTC 版)
「pn接合」の記事における「熱平衡状態(ゼロバイアス)」の解説
p型とn型の半導体を接合した瞬間では、n型側の多数キャリアである伝導電子とp型側の多数キャリアである正孔がそれぞれ拡散することで拡散電流が生じる。 電子と正孔が再結合により消滅すると、接合部付近にキャリアの少ない領域(空乏層)が形成される。接合の両側で電子と正孔の密度は異なるため、拡散電流が流れる。 空乏層のn型側では、本来存在する伝導電子が不足する一方で正電荷をもつドナーイオンが固定されているため、正に帯電する。一方で空乏層のp型側では、本来存在する正孔が不足する一方で負電荷をもつアクセプターイオンが固定されているため、負に帯電する。その結果、空乏層は正に帯電した層と負に帯電した層が重なり合った電気二重層を形成し、内蔵電場が生まれる。内蔵電場によって発生する静電ポテンシャルの差 V b i {\displaystyle V_{bi}} を拡散電位または内蔵電位(built-in potential)と言う。内部電場は電子と正孔をそれぞれn型、p型領域へ引き戻そうとする。内蔵電場の発生によってドリフト電流も発生する。 熱平衡状態では正味の電流はゼロであり、拡散電流とドリフト電流は釣り合っている。よってpn接合全体のフェルミ準位(化学ポテンシャル)は一定となる。
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