超伝導体
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/30 15:00 UTC 版)
イットリウム・バリウム・銅酸化物 (YBa2Cu3O7, YBCO, 1-2-3) は1987年にアラバマ大学とヒューストン大学で開発された超伝導体である。この超電導体は約93 Kでその性質を現すが、液体窒素の沸点77.1 Kより高いという点で有用である。液体窒素は液体ヘリウムより安価なので、冷却のコストを大幅に減らすことができるためである。 イットリウム・バリウム・銅酸化物は化学式YBa2Cu3O7−dで表されるが、超電導性を示すには d は0.7より小さくなければならない。その理由はわかっていないが、空孔が結晶中の特定の場所(平面状または鎖状の銅酸化物)にしか発生せず、銅固有の酸化数を上げることが知られていて、これが超電導性に関係しているのだろうとされている。 1957年にBCS理論が発表されてから、低温超伝導性の理論はよく理解されるようになった。基礎となるのは結晶中の2電子間の相互作用の独自性である。しかし、BCS理論では高温超電導性を説明できず、詳細な機構は明らかになっていない。わかっているのは、超電導性を起こすには銅酸化物の組成を正確に制御する必要があるということである。 YBCOは、黒緑色、多結晶、多相の無機物で、ペロブスカイト構造を基にしている。研究者はペロブスカイトについて、実用的な高温超電導体の開発を目指している。
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