落下とは? わかりやすく解説

落下

★1a.落下する刃物

『捜神記』19-9通巻448話) 「刃物で死ぬ」と予言された子に、両親用心して小刀ひとつ持たせない育てた。しかし、この子15歳になった時、落ちてきた鑿(のみ)が頭にささって死んだ

*鎌が子供の頭にささる→〔寿命〕1の『今昔物語集』巻26-19。

智恵エルゼグリム)KHM34 求婚者をもてなすため、エルゼ地下室降りてからビールをつぐ。見上げると、佐官置き忘れた十字鍬が壁に突きささっているので、エルゼは、「結婚すれば子供ができるだろう。客が来れば子供地下室へやってビールつがせるだろう。その時十字鍬が落ちて来て子供を殺すだろう」と考えて泣く召使両親求婚者も、「エルゼは何と賢いのだろう」と感心する

★1b.無意識の殺意による、刃物植木鉢の落下。

疑惑江戸川乱歩) 「おれ」は庭の枯れ枝切った時、木の股に斧を置き忘れる半年後のある夜、松の木の下の石に腰かけていた父親の頭に斧が落下し父親は死ぬ。それは「おれ」が無意識に望んでいたことだった。

『七年目の浮気』ワイルダー共同住宅2階に住むブロンド娘が、大きな植木鉢誤って落とす。下のベランダにいたリチャードは、あやうく死ぬところであった。しかし美しい娘だったので、リチャードは彼女を部屋に誘う。彼は「僕は精神分析趣味だ。あれは事故ではない。君は無意識のうちに僕を殺そうとして、わざと鉢を落としたのだ。それは恋が殺意変わったのだ」と言って、娘を口説こうとする。

★2.落下する果実

古今著聞集12偸盗」第19通巻439話 ある夜、強盗警護のために弓取り法師門に立っていると、熟柿落ちて頭に当った。驚いて頭をさぐった法師は、つぶれたを血と誤認し、「矢で射られ深手負った」と思いこむ。彼は「とても助かるまいから首を斬ってくれ」と朋輩請い朋輩承知して法師の首を落とした

*頭にかかったうどんを、血と誤認する→〔食物〕7bの『助六由縁江戸桜』。

ジャータカ322話 「地面崩れるのではないか」と兎が心配していると、近くにヴィルヴァの実が落ちる。その音に驚いた兎は、地面崩れた、と思って逃げ出す。それにつられて他の動物たちも、兎のあとを追って走り出す

★3.落下する亀。

『今昔物語集』5-24 亀が木をくわえ、2羽のが木の両端くわえて空を飛ぶ。ものを言ってはいけない、と注意されていたにもかかわらず亀は口を開け落ちて死ぬ〔*イソップ寓話集岩波文庫版230「亀と」では、が亀を爪でつかんで高く飛び放す。亀は岩上落ちてくだける〕。

パンタグリュエル物語第四之書(ラブレー)第17章 アイスキュロスは、占い師から「しかじかの日に、頭の上に何かが落ちてきて死ぬだろう」と予言されたので、その日は危険な建物樹木などから離れ、広い野原真ん中避難した。ところがが、爪に掴んでいた亀を空高くから落としアイスキュロス甲羅脳味噌割られた〔*吾輩は猫である夏目漱石)8では、下界にぴかと光ったものをねらって亀を落とすと、それはイスキラス=アイスキュロス禿げ頭だった、と語られる〕。

★4a.天空落ちるのではないか、と恐れる。

ギリシア神話アポロドロス摘要6章 ポダレイリオスは、「私はどこに居住すべきか」とデルポイの神に問い、「空が落ちても害をこうむらない市に住むべし」との神託得た。彼は、カーリアーのケルソネーソスの、周囲を山で囲まれた所に居を定めた

ケルト神話井村君江)「地下から来た神々紀元前334年頃。アレクサンダー大王は、戦争に強いケルト民族味方にしておく必要を感じ、彼らと同盟結んでいた。ある時、大王が「ケルト民族がもっと恐れるものは何か?」と問うと、ケルト戦士たちは「わたしたちは、どんな人間恐れません。わたしたち恐れるのは、空がわたしたちの上落ちて来ないか、ということだけです」と答えた

『列子』「天瑞」第1 杞の国に、「天が落ちたどうしよう」と心配する男がいた。ある人が、「天も日・月・星宿も大気集まりゆえ、落ちことはない。万一落ちても、それに当たって怪我をするなどということはない」と教えて、心配する男をさとした

★4b.隕石落ちるのではないか、と恐れる。

お目出たき人武者小路実篤2 26歳の「自分」はただの空想家で、何もできぬまま天災若死にするような気がする。「自分」は、隕石打たれて死ぬような気がするさもなければ肺病になるかもしれない逆に案外長生きするかもしれない。しかし天災中でも隕石危ない、と「自分」は思う。

★5a.高い煙突から落下する人。

おばけ煙突つげ義春昭和30年代前半。某火力発電所の第4煙突には、たたりがあるというので、掃除をした者に1万円賞金が出る。雨の日掃除夫が第4煙突から落ちて死ぬ。別の掃除夫の子供がそれを見に行って打たれ寝込む父親掃除夫は、子供医者にみせる金を得るため、第4煙突登る作業途中で降り出し激し風雨となって、その掃除夫も落ちて死ぬ。

プラットフォームから落下する人→〔母の霊〕1の『感想』(小林秀雄)1。

デパート屋上から落下して棒になる人→〔棒〕4の『棒』(安部公房)。

★5b.水のないプールの底へ落下する人。

テディサリンジャー10歳天才少年テディは、「人間死んで神のもとにとどまるのが本当に楽しいことなのに、皆、新し身体欲しがって何度も生まれ変わるのだ」と、考えていた。あと5分もしたら、彼は6歳の妹によって、水のないプールの底へ突き落とされ、死ぬであろうことを予感する。「それは大したことではない」とテディは思う。「死んだ身体から跳び出せばいい。誰でも何千回何回とやってきたことだ」。

★5c.大きな客船の高い甲板から海へ落下する人。

夢十夜夏目漱石)第7夜 「自分」は大きな客船乗っている。船客大部分外国人だ。船はどこへ行くのか、いつ陸へ上がれるのか、わからない。こんな船にいるより、いっそ身を投げようと思って、夜、「自分」は海へ飛び込んだ。高い甲板だったので、すぐには着水しないが、次第海面に近づいてくる。「船に乗っている方が良かった」と悟りつつ、「自分」は無限の後悔恐怖抱いて、黒い波の方へ静かに落ちて行った

★5d.深い穴を落下して行く人

『不思議の国のアリス』キャロルアリス落ちた穴(*→〔穴〕2)はとても深かったのか、落ち方がゆっくりだったのか、まわりを見回し、いろいろ考え時間充分あった。落下しながらのオレンジ・マーマレードの壺を取り空っぽだったので、少し下の戸棚戻した。「このまま落ちて行くと、地球突き抜けてしまうんじゃないかしら」と思っているうちに、眠くなってきた。どしん!と小枝枯葉の山の上落ち墜落終わった

★5e.上へ落ちて行く人

第三半球物語稲垣足穂)「ホテル一夜ホテルの高い一室で、タバコ吸いさし窓外投げたら、ツー上方消えた窓辺から首を突き出すと、眼下には一面に星が光っている。上を見ると、ずっと高所に、逆さまになって並ぶ自動車の列があった。「自分」は窓枠つかまえそこね、高い所にあるホテル玄関口めがけて加速度加えて上がって行った

★6a.落ちそうで落ちない石。

腐れ石の伝説 浦上から時津への道の途中山腹円筒形巨巌が立ち、その上に円球大石載っていて、今にも落ちそうに見える。昔、売りが、「必ずあの石は落ちるから、落ちてから通り抜けよう」と思い今か今かと待っていた。ところが、いつまでたっても石は落ちずそのうちに、荷(にな)っていた腐ってしまった(長崎県大村市)。

★6b.落ちそうで落ちない睾丸

パンチャタントラ第2巻第6話 牡牛ぶら下がった睾丸見て、牝ジャッカルが夫ジャッカルに言う。「あの2つの肉の塊は、もうすぐ落ちるに違いないから、牡牛の後について行きましょう」。夫ジャッカルは妻とともに牡牛追ってさまよい15年たったが、睾丸落ちなかった。夫ジャッカルは「今後も、あの2つのものは落ちないだろう。われわれは自分土地戻ろう」と妻に言った

★7.天から穀物降ってくる。

拾遺記巻1 炎帝時代に、丹雀が、9本の穂がついた穀物くわえてきて、地上へ落とした炎帝がそれを拾い耕地植えた。その穀物食べると、年をとっても死なないという。

蒙求222蒼頡制字」 人間は文字知って小賢しくなり、農耕の業を棄てて利得を争うようになった。天は、やがて人間飢えであろうことを知り、粟などの穀類地上降らせた。

天から小判降ってくる→〔逆さまの世界1aの『孔子縞于時藍染こうしじまときにあいぞめ)』(山東京伝)。

★8.天からバラバラにされた身体降ってくる。

龍樹菩薩伝』 王がナーガールジュナ龍樹菩薩)に、「天の神々は今、何をしているのか」と問う。ナーガールジュナは「天の神々は今、阿修羅戦っています」と答える。王が当惑していると、空中に矛(ほこ)・盾(たて)などの武器あらわれ落ちてきた。つづいて阿修羅の手足・指耳・鼻が、空中から落ちてきた。

天から少年の首・手・足胴体降ってくる→〔〕2の『聊斎志異』巻1-13「偸」。

★9.天からお札(ふだ)が降ってくる。

故郷七十年』柳田国男)「辻川の話」 幕末には、各地お札降った。「私(柳田国男)」の故郷兵庫県北条にも降ったという。これは実は、興奮しそうな地域や家に「降る」ので、極端な例では、家の床の間とこのま)にお札置かれていた、との話もある。すると多くの人が集まって来て祝辞述べ、家の人も酒樽開いて祝わざるを得なくなる、という仕組みなのだ。降るのはお札ばかりではない。裸の娘が降った、という馬鹿げた例もある。つまり捏造である。

★10.急激に落下せず、ゆっくり軟着陸するための工夫

ほらふき男爵の冒険ビュルガー)「ミュンヒハウゼン男爵自身の話」 「ワガハイミュンヒハウゼン男爵)」は、紐に数珠つなぎになった多くたちとともに空中飛行する(*→〔飛行〕4)。自分屋敷真上まで来た時、「ワガハイ」はの首を1羽また1羽としめていき、静かにゆっくりと軟着陸した

落下するエレベーター→〔エレベーター〕2。

宇宙空間から地球大気圏への落下→〔星〕3cの『万華鏡』(ブラッドベリ)。





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