第二次世界大戦後から現在
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「フランス海軍」の記事における「第二次世界大戦後から現在」の解説
第二次世界大戦後は戦勝国として扱われたものの、国土が戦場になった事でフランスは国力を消耗していた。フランスは19世紀、イギリスと並ぶ艦艇製造技術を持っており、日本の江戸幕府が幕末に初めての砲艦を発注したのもフランスであった。しかし普仏戦争から第一次及び第二次世界大戦にかけて幾度となく国土が大戦争の舞台となり、陸軍力編成を優先せざるを得なかった事もあり、独自の造船技術を会得した上でいち早く空母の有効性に着目した日本海軍や、日英同盟下で日本の手本となったイギリスのように戦間期にかけて海軍の整備は遅れ、特に太平洋地域におけるフランス海軍の活動は極めて限定された。例外的に目立った活動としては、仏領インドシナ政府に所属していた艦艇が、現在のカンボジア地域の領有権を巡ってタイ王国海軍と交戦した事件が挙げられる。この泰仏国境紛争は、タイと同盟を結んでいた日本の仲介により停戦した為、結局第二次世界大戦終結までに日仏両国の間で海戦が行われることはなかった。 詳細は「タイ・フランス領インドシナ紛争#紛争」および「コーチャン島沖海戦#両軍戦力」を参照 第二次大戦後のフランスは、長年の宿敵であった隣国ドイツが東西に分裂したとはいえ、ソビエト連邦が東欧を支配し(東側諸国)、東西冷戦の中で自国の安全保障を考えざるを得なくなった。1950年代に西ドイツが再軍備して北大西洋条約機構(NATO)に加盟するまでは、フランスはミサイルの時代に入った水上艦艇を独自開発する時間もなく、当初はアメリカやイギリスの戦時急造艦を中心に供与を受け海軍が再建された。 1960年代に入り国産艦艇で代替を開始。クレマンソー級航空母艦やシュフラン級駆逐艦などを建造し、搭載する艦載機やミサイルなども国産化が進められ、エタンダールIV攻撃機やマズルカ艦対空ミサイルなどが開発された。 核武装も行われ、原子力潜水艦とそれに搭載する潜水艦発射弾道ミサイルも国産化され、アメリカとイギリスが主導するNATOとは距離を置き、フランス独自の防衛政策を進めた(「ド・ゴール主義#外交」参照)。独自路線は今でも続いているが、他方では他のヨーロッパ諸国との共同開発にも熱心である。 現在行われている共同開発としては、イタリアと共同開発中のホライズン計画によるフォルバン級駆逐艦、イギリス及びイタリアと開発したPAAMSなどがある。ユーロファイターの共同開発が決裂して、独自に開発した戦闘機が、空母「シャルル・ド・ゴール」の艦載機ラファールである。 戦略原潜は6隻から4隻に削減されたものの、空母は、原子力空母シャルル・ド・ゴールに次ぐ2隻目をイギリス海軍に提案したクイーン・エリザベス級航空母艦の準同型艦として建造する案が進められている。但し、空母については建造が決定しておらず、フランスの大統領選挙の結果によっては、計画が変更される可能性も存在している。 更新時期の迫っている対潜任務を担う水上戦闘艦は、ほぼ同数による更新計画が進行している。FREMM計画によって、2017年までにトゥールヴィル級駆逐艦、ジョルジュ・レイグ級駆逐艦、デチエンヌ・ドルヴ級通報艦の合わせて18隻中17隻を更新する予定であったが、予算不足により11隻へ削減されている。
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第二次世界大戦後から現在
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イギリスは1946年に「ヴァンガード」を、フランスは1950年に「ジャン・バール」を完成させ(既に戦前から起工されており、ジャン・パールは艤装中にもかかわらずカサブランカ沖海戦では砲台として戦闘に参加している)、戦後も国の威信と象徴を示すものであり続けた。しかし実用艦としては既に時代遅れになっており、就役期間の大半を予備艦として使われ、退役した。 前記を例外として、第二次世界大戦以降はそもそも大規模な海戦それ自体が行われなくなったこともあり、戦艦の建造は行われなくなった。戦後、ソビエト連邦の台頭により冷戦が始まった頃には、ミサイルの実用化がなされ、主砲による艦隊戦は有効性を失ってしまった。旧ソ連はミサイルを主武装とする艦を大量に建造して、空母を主力とするアメリカに対抗し、ミサイル巡洋戦艦といえるキーロフ級ミサイル巡洋艦(実際、ジェーン海軍年鑑には巡洋戦艦として掲載)を就役させるに至るが、巨砲を主武装とする戦艦とは性格が異なる艦である。 また、チリ、ブラジル、アルゼンチンの3国は自国の戦艦を退役させた後、代艦としてブルックリン級軽巡洋艦を購入している。国の威信と象徴を表す艦としても戦艦は不経済と考えられ、巡洋艦でも十分であると考えられたのである。 しかし陸軍及び海兵隊が行う、水際上陸作戦支援には戦艦の砲撃力は依然有効であり、また、第二次世界大戦後に著しく発達したミサイルは、徹甲弾に対する防御を前提とした重装甲を持つ戦艦に対しては決定的なダメージを与えられないとされ、戦艦が再評価される場面もあった。アメリカは第二次大戦以降、朝鮮戦争ではアイオワ級の4隻すべてを、ベトナム戦争では「ニュージャージー」を現役復帰させ上陸作戦の支援に使用した。その後アイオワ級は予備役として保管(モスボール)されていた。1980年代のレーガン政権下で、「強いアメリカ」の象徴として三度、4隻とも現役に一時的に復役し、「ミズーリ」と「ウィスコンシン」は湾岸戦争で出動した。これらは最後の現役戦艦であり、トマホーク巡航ミサイルを搭載するなど近代化改装が施されていた。しかしあくまで大戦期の旧式艦の再利用であることが、戦艦の価値・使用法が限定的なことを示している。1990年代初頭には全ての戦艦が退役し、2006年までに全ての艦が除籍された。最後の戦艦であった「アイオワ」も現在はロサンゼルスの港にて記念艦として、余生を送っている。 純粋な戦艦とは異なるが、1990年代後半にアメリカ海軍でアーセナル・シップと呼ばれる艦の開発計画があった。アーセナル・シップは大量のミサイルを搭載し対地攻撃に活躍する艦となる予定だったため、アメリカ海軍はこれを『21世紀の戦艦』と銘打っていた。しかし、予算・世界事情の変化などで計画はほぼ立ち消え状態となっている。
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