日本以外でのねじれ現象
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/22 13:16 UTC 版)
「ねじれ国会」の記事における「日本以外でのねじれ現象」の解説
一般的に両院制では、両院の選挙方法の差異が大きいほど、両院の「ねじれ」が生じやすくなる傾向にある。 イギリスでは世襲貴族や一代貴族によって構成される貴族院が、公選制の庶民院(下院)と異なる議決を行ったり、庶民院から回付された議案を修正したりすることがある。フランスの場合は元老院(上院に相当)議員が間接選挙によって選出されるが、その選出方法が右派に有利である。そのため、直接選挙(決選投票方式の小選挙区制選挙)の国民議会(下院に相当)で左派が過半数を占めると、ほぼ確実に「ねじれ」が生じる。ドイツでは連邦参議院(上院)議員が各州の代表によって構成されるが、アメリカの中間選挙のように州議会議員選挙によって国政与党が敗北しやすい傾向にあり、直接選挙(小選挙区比例代表併用制)の連邦議会(下院)との間でしばしば「ねじれ」が生じる。大日本帝国憲法下の日本の貴族院・衆議院もこれら諸国と同様の状態になることがあった。イタリアでは両院の権限がほぼ対等であり、「ねじれ」が生じると政権交代が起きやすい。イタリアでは、第二次世界大戦後から現在に至るまで、5年間の任期を全うした政権が存在しない。 但しこれらの国では、下院の議決に対して上院が譲歩する慣例や政府によるイニシアティブが議会制度にビルトインされているため、議会での審議を通じて合意形成を図るという志向性が政府・与党と野党の間で共有されており、ねじれ状態が審議の停滞に直結していない。 アメリカでは1990年代以降に議会の党派性が高まり、予算不成立による政府機関閉鎖が度々起こっている。2010年の中間選挙では、上院で与党の民主党が多数、下院で野党の共和党が多数となるねじれが実現した。その結果、医療保険制度改革をめぐる与野党の対立が激化して、2014年の暫定予算案が通らない事態となった。事実上、予算が人質となった形である。アメリカにおける2014年度となった2013年10月、予算案が通らないため、NASAや国立公園などが閉鎖、連邦政府の職員80万人以上が休職状態となっている。同じ状態は1995年にも発生しており、この時は21日間続いた。2018年の中間選挙でも上院では与党の共和党が過半数を占めたのに対し下院では野党の民主党が多数となった。ただし、上院では4割以上の少数派に支持されたフィリバスター等の議事妨害を覆すことが困難であるため「ねじれ」の有無に関わらず、上院の会派議席数に圧倒的な差がない場合には少数党が激しく反対する議案の上院通過は難しい。また、法案への拒否権を持つ大統領と議会が対立することもある。上記1995年のケースは、両院とも共和党が多数党である状況で起きている。
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