白杖についてとは? わかりやすく解説

白杖について(盲人安全つえ)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/16 01:49 UTC 版)

白杖」の記事における「白杖について(盲人安全つえ)」の解説

1 白杖機能 白杖身体障害者福祉法では『盲人安全つえ』と記されていますが、一般的には白杖はくじょう)と呼ばれてます。白杖携行については道路交通法第十四条に 『目が見えない者(目が見えない者に準ずる者を含む。以下同じ)は、道路通行するときは、 政令定めるつえを携え、又は政令定め盲導犬連れてなければならない。』 と定められています。車両運転者障害を持つ人対し特に安全を配慮する義務持ち、その対象であることが分かるように白杖携行義務付けているわけです。このように一般通行人車両運転者に対して視覚障害を持つことを知らせ働きは、白杖の果たす機能一つであるといえますまた、この機能含め白杖には以下の3つの機能あります(1) 視覚障害を持つことを周囲知らせ(2) 触覚通じて路面情報収集する (3) 路面上にある障害物検知する 1-1 視覚障害周囲知らせ機能 白杖現在世界中で使用されおり、世界中多くの人が、白杖を使う人が視覚障害者であることを知ってます。このことから、白杖を持つ人は周囲車両や人から衝突等の危険が生じないように配慮を受け、困っている時には援助の手差し伸べられやすくなっています。 1-2 触覚通じて路面情報収集する機能 見えない見えにくい状態で知らない所を歩く時に生じ怖さ一つは、「そこに道(床)があるか?」ということではないでしょうか駅のホーム下り階段側溝空いたマンホール等、落ちたケガをしたり、命を落とす危険があるかもしれません。白杖は、次に足を運ぶ場所に触れて路面があることを確認する道具として使うことができます1-3 障害物対す防御機能 見えない見えにくい状態で歩く際のもう一つ恐さは、何かにぶつかることでしょう硬いものにぶつかれば大けがをする可能性あります白杖身体の前で斜めに構えるか、身体の正面前方肩幅よりも少しだけ広め低く振りながら歩けば路面から垂直に出ている障害物段差事前に発見できることができ、身体ぶつけたりつまずく危険性低くすることができます。 2 白杖形式 白杖はつなぎ目のない直rigid canes)、つなぎ目のある折り畳み式folding canes)、アンテナの様な伸縮式の3種類があります折り畳み式一般的に5cm刻み寸法売られています。また、白杖には使用目的異なるものがあります白杖のみで歩くためには2歩先を探る長さ必要なため、その目的で使うをロングケーン(long cane)と言います白杖3つの機能を使うのではなく、主に周囲視覚障害知らせ目的で使う短めIDケーンと言います。(英国ではロービジョンの人が対角線技術で使うための白杖をガイドケーンとよんでいます。また、IDケーン特徴整形外科等で使う身体支えるための特徴併せ身体支持(サポートケーン)があります。 3 白杖必要な仕様 機能的な白杖であるためには、以下のような性質をもっていることが望ましいと言えます。 (1) 触覚情報伝導性良く温度電気伝導性が低いこと。 (2) 適度な軽さであること。 (3) 重心グリップ寄りにあり、操作時に重さ感じないこと。 (4) 強さ耐久性剛性形態安定性備えること。 (5) 昼夜共に視認性が高いこと。 (6) 握りやすく、操作性良いこと。 直折畳比較した場合(1)(2)(4)については直の方が優れてます。折畳式白杖歩かない時に小さくたためることが長所です。(1)については例え折畳式極端にものに触れた時の感覚が鈍いかというと実際それほどその差は大きくはありません。比較すればの方が良いという感じです。ただし感覚個人差があるので、実際違い確かめていただくのが一番良いでしょう(4)については、つなぎ部分があると、その部分がどうしても破損しやすくなります。しかし、白杖破損した場合折畳式白杖破損した部品のみの交換が可能ですが、直シャフト丸ごと交換する必要があります。 4 白杖材質と特徴 現在市販されている白杖主な材質アルミニウム合金グラスファイバー炭素グラファイトカーボン繊維アラミド繊維四種類です。素材比重を1とした場合重さの比)だけを比較すると、アルミニウム合金2.7、ガラス繊維2.6、炭素繊維1.6、アラミド繊維1.3で、アルミニウム合金が最も重くアラミド繊維が最も軽いのですが、比重重さ関係しても、強度には必ずしも関係はしていません。アルミニウム合金ガラス繊維比較した場合アルミニウム合金強度高くガラス繊維は低いため、強度高めようとするとガラス繊維重くなります炭素繊維アラミド繊維比較する炭素繊維の方が強度は高いため、同程度強度白杖であれば重さ大差ありません。アルミニウム合金摩耗がもっと低く丈夫な素材ですが、弾性欠けるため、変形しやすいことが難点と言えます。 5 白杖構成 白杖4つないし3つの主要部分から構成されています。クルックcrook)、グリップrubber grip)、シャフトshaft)、石突きcane tip)です。 5-1 クルック クルックとは傘の柄のように、丸くまるまった部分をさし、機能として次のことが上げられます。 (1) 使わないときにフックなどに掛けておく。 (2) 白杖構えたときにクルック自然と下を向き構え位置容易に判別できる(3) 対角線技術白杖を使うときに手首保護する(4) 傾斜路白杖落としたときに、白杖が転がらない。 5-2 グリップ グリップ白杖握りやすくするために付けられており、材質ゴム製のものが多いですゴルフのパターグリップを流用したのが始まりだといわれています。多くグリップは一側面平らになっており、ここに人差し指又は親指の腹の部分当てますクルック付いた白杖場合クルックを下に向けて白杖を握るので、クルックのある白杖右利き左利きそれぞれ専用なります。 ゴムグリップは滑りにくく、熱の伝導性が低いことから白杖が熱い、あるいは冷たいときでもグリップ適度な温度保ってくれます。なお、ゴム以外にもプラスティック皮革あるいは皮革テープ巻いたもの、金属製などのグリップもある。デザインケーン以外のグリップの上部分には、ゴムひも付いていることが多いです利用者中には白杖落とさないように、このゴムの輪に手首を通す人がいますが、自動車等白杖巻き込まれる身体引き込まれる危険性があるので、腕を通して使うことは好ましくありません。これはフック等に白杖をかけるためのものです。 5-3 シャフト シャフト白杖本体部分指します材質やその特性前述通りです。販売されている多くのものは反射テープ巻いてあるため、夜間の視認性が高いことも前述通りです。 5-4 石突きチップ石突きは1)路面との接触によるシャフト磨耗を防ぐ、2)白杖路面接触する際の引っ掛かり和らげるという2つ機能果たしながら、路面からの触覚情報をより多くシャフト伝え役割果たしています。使い勝手機能性考えると後者機能はとても重要です。通常購入時に付属している石突はノーマルチップと呼ばれるもので、シャフトよりも一回り太い円柱形石突であることが殆んどです。路面との接触面積小さいことと、未使用時は円柱形形状をした石突角部分で路面触れるために路面凹凸引っ掛かり易いのですが、使用するまえに路面に当たる角度石突削っておけば、引っ掛かり少なくすることができます石突素材適度に摩耗するナイロン製のものが多く見られます。在日本で手に入る石突きはほとんどがシャフトの上から被せタイプです。石突き機能面分類すると以下の3つの群に分けられます。 1) シャフト固定された状態で使用する形式 シャフト直径よりやや太いノーマルチップ、太く短くして接地面積増やしたマシュマロチップ、マシュマロチップを背接地面形状は同じで、しずくが落ちる形をしたティアドロップチップ、直径が55mm程の球形をしたボールチップ米国製)、直径20mm程度半球状をしたセラミックチップ(米国製)等がある。 2) 本体回転する形式石突 形状がマシュマロチップと同形のローラーチップ、直径65mm、厚さが25mmのディスク状をしたジャンボローラーチップ(米国製)、ボールチップを同じ形状のローリングボールチップ(米国製)等があります。 3) 軸と石突の間にゴムマウントして石突本体が動く形式のもの 国産のパームチップ、米国製のフレックスチップがあります上記以外の特殊な石突として雪道用のスノーチップ(ノーマルチップにかぶせて使用)、同じくダコタディスクチップ(米国製)、直径76mmの大きな車輪がついたローバー・フリー・ホイーリングチップ(荒れた道用米国製)等があります米国製の一部国内でも入手可能ですが、取り扱いのないものについてはAmbutechのホームページから購入が可能です( https://ambutech.com/shop-online/cane-tips )。 石突種類これだけ多いのは、使用する環境白杖使い方に応じて石突変える歩きやすさ、使い勝手大きく変わるからです。基本的に上述たように接地面積大きいほど路面への引っかかり少なくなり、ストレス減少しますが、質量大きければ重くなり長時間操作疲労しやすくなります軽さ触覚情報伝導性最優先するであればノーマルチップ、メタルチップ、セラミックチップ等が選択肢として上げられ伝導性優先しつつ引っかかり軽減したい場合はマシュマロチップ、ティアドロップチップが選択肢として上げられます。引っかかり軽減軽さ最優先した場合はパームチップ、フレックスチップが選択肢として上げられます。ローラーチップ系はタッチテクニック習得難しい、あるいは好まない人の選択肢となり、チップ大小重さ直結しますが、大きい方が路面の凸凹拾いにくく、操作時のストレス少なくなります引っかかり避け目的として、アメリカにはcurved tip といって、ノーマルチップを熱で100度の角度をつけて曲げたものがある。これは地面対す引っ掛かり軽減するために作られたものです(LaGrow, Kjeldstad & Lewandowski, 1988)。LaGrow et al.(1988)は15人の晴眼者被験者使いアイマスクをかけてノーマルチップ、curved tip、マシュマロチップの3種類について引っ掛かり縁石発見連続歩行3点について実験行った結果curvedマシュマロノーマルの順に成績良かったのだそうです。この知見からもわかるように、接地面積大きくて縁石発見成績悪くなることはありません。ひっかかりを逃がすパームチップも縁石とらえた時の触覚情報大きく減衰することはありません。訓練士はそれぞれの石突特性を十分理解し訓練生特性にあった石突選択できるようにするべきでしょう。 なお石突き磨耗する性質ものですから、シャフト露出する前に交換しなければなりません。石突シャフトから外すためには、石突根元部分熱湯かければ素材柔らかくなるので、簡単に引き抜くことができます補装具 - 補聴器 - 義肢 - 車椅子 - 点字 - 点字ブロック - オーデコ 白杖SOS バリアフリー

※この「白杖について(盲人安全つえ)」の解説は、「白杖」の解説の一部です。
「白杖について(盲人安全つえ)」を含む「白杖」の記事については、「白杖」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「白杖について」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「白杖について」の関連用語

1
4% |||||

2
2% |||||

白杖についてのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



白杖についてのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaの白杖 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS