すい‐みゃく【水脈】
すいみゃく【水脈】
読み方:すいみゃく
高樹のぶ子の短編小説集。平成5年(1993)から平成6年(1994)にかけて「文学界」誌に連載された作品群に書き下ろしを加えたもの。平成7年(1995)刊行。同年、第34回女流文学賞受賞。
み‐お〔‐を〕【×澪/水=脈/▽水尾】
水源
(水脈 から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/11/12 15:15 UTC 版)
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水源(すいげん)とは、
- 川などの流れ出るもと(川の水源、英語: river source)。地図上の水源は現実には水は流れ出ていない場合が多い。
- 用水(農業用水、工業用水)や水道(上水道、簡易水道)として利用する水の供給源(取水源、英語: water source)。川の水源と一致するどころか、川から取水しているとも限らず、井戸はもとより海水淡水化施設が該当することもある。
- 航行の際の道しるべとなる「海の水源」(英語: upstream)。
本項ではこの3つについて述べる。
川の水源
川の水源(英語: river source)とは、「本川(ほんせん)」の上流端の水が湧き出している所を指す。「本川」とは、基本的には川の一番長い延長の流路を指すが、測量技術が未熟だった時代に定められたものであるから、実は一番長くなかったことが現代の測量で判明する場合もある。それでも歴史的・文化的な経緯があるため、「本川」の位置を変更することはない。文化的な水源の前には祠や神社がたっていることがある。
川の上流端は、地図の上では山の稜線と一致しており、分水嶺(分水界、分水点)と呼ばれるが、現実には稜線より少し下から湧き出している場合が多い。ごくまれに、平地に水源がある場合もある。
水源のある周辺の土地を「水源地(すいげんち)」または「水源地域(すいげんちいき)」という。水源地には、水が地下水となってしみ込んで蓄える機能(水源かん養機能)があり、洪水を緩和し、河川への流量を調節する機能を果たしている[1]。裸地よりも森林の方がその機能が大きいので、水源地域は林野庁によって植林などの整備が行われている。水田も一定の水源かん養機能があるので、整備されている(ただし、管轄は林野庁ではなく、農林水産省農村振興局整備部水資源課である)。
水源地域の森林は、「水源かん養機能」を持った森林、すなわち水源林として保護されている。水源かん養機能を持った森林の一部は、保安林の一種である水源かん養保安林に指定され、森林法によって開発などが制限されている。
日本の水源地は、昭和時代の政策の破綻により荒廃した。水源地の範囲は、昭和時代には、省庁やパルプ会社など利権団体の綱引きで決まった。水源林は林野庁の管轄であるが、昭和時代の林野庁は、「水源かん養林」を作るという名目で、水源地に元からあった雑木林を伐採して針葉樹を植林するという政策を行った。戦前までは「水源かん養」に適しているとされる「針広混交」が行われていたが、戦後は木材の生産拡大を目指した「拡大造林」政策により、針葉樹のみが植林されるようになった。林野庁は国有林野事業特別会計法に基づき林産物収入等による独立採算を取っていたため、「保護」と言いながら林野庁自身が率先して水源地を開発しているという実態があった。造林に際しては、植林する前に一定の区画の樹木を全て伐採する「皆伐」という方式がとられ、水源地は丸裸にされた。しかし、木材輸入自由化により1970年代以降に国産材の需要は低下、これにより国有林を皆伐して林産物収入を得る政策は破綻し、1998年の「国有林野事業の改革のための特別措置法」および「国有林野事業の改革のための関係法律の整備に関する法律」をもって拡大造林政策は終了した。「水源地」にはスギやヒノキなどで構成される未整備の放置林(放置人工林)が残され、水源涵養機能の低下、林冠の閉鎖・下層植生の衰退による表土流亡、土砂災害、森林が成長し切って二酸化炭素の固定量が低下(逆に排出量が増加)、花粉症など様々な問題が発生したため、2000年代以降、いくつかの都道府県では放置林の再生のため「森林環境税」などの名目で独自課税を行った[2]。2019年の森林環境税及び森林環境譲与税に関する法律により、2024年以降は全国一律で課税されるようになり、SDGsの「17の目標」の15番目である「陸の豊かさも守ろう」に関連した「水源の森づくり」として、水源環境保全・再生の試みが各都道府県で行われている[3]。
水源地は、保護が難しい。国立公園の特別保護地区となった場合は開発がほぼ無理になるが、自然公園法によって保護される国立公園は環境省の管轄であるため、省庁の縄張りの問題から、水源地全体を国立公園に指定することが難しいという問題があった。釧路湿原の例を挙げると、湿原中央部のみが厳重な特別保護地域に指定され、周辺部は開発がほぼ自由の第三種特別地区や普通地区に指定された。「水源地」には針葉樹が植林され、湿原周辺の丘陵の釧路市有林はカラマツ林にされた。さらに、バブル時代の1987年の総合保養地域整備法(リゾート法)の施行により、湿原周辺の民有地の山林はデベロッパによってリゾートやゴルフ場が作られ、残りは原野商法で切り売りされ、そのまま整備されずに放置された。バブル崩壊直後の1992年9月に開催された「アジア湿地シンポジウム」におけるナショナルトラスト団体「トラストサルン釧路」の黒沢信道の報告によると、釧路湿原周辺では、良好な状態の森林はわずか4%しか残らなかったという。「トラストサルン釧路」を運営する杉沢拓男は、1993年当時、自然保護の観点から、これを「愚策」と断じ、林野庁の縄張りまで国立公園に指定して保護する必要性と、「生態系復活林として、雑木林に再生させる必要」を論じている[4]。なお、北海道森林管理局(林野庁の地方支分部局)では、このカラマツ人工林を「パイロットフォレスト」と名付け、「パイロットフォレストは、かつて「不毛の大地」と呼ばれた荒野でしたが、先人達の不断の努力により広大な森林として甦りました」[5]としている(つまり、原生林が開拓時代に火入れの失火で原野となり、そのまま木が生えなかった地域を1万ヘクタールのカラマツ林として「再生」した件が、本当に「再生」と言えるかどうかに関して、林野庁と自然保護団体の間で見解の相違がある)。
水源地は、とても経済的価値が高い。水源林は、水源かん養機能だけでなく、二酸化炭素を吸収したり、土砂の流出を防止したりなど、多くの公益的機能を有しており、日本の水源林の公益的機能の効果額は、貨幣換算可能なものだけでも年間約9千億円だと森林整備センターでは見積もられている[6]。
しかし、不動産として現実の話をすると、水源地(地目は「山林」または「原野」)は経済的価値がほとんどない。そのため、「原野商法」という、無価値な土地を価値があるかのように見せかけて高値で売る悪徳商法に利用されることがあり、1980年代に社会問題になった。この商法は、2010年頃に「水源地投資詐欺」として再び社会問題になった。北海道の水源地への投資をめぐって、2010年代に数百人の高齢者から25億円以上をだまし取った詐欺グループに関しては、当時の最大の反社会的勢力である「関東連合」に関連する事件として大阪府警など9府県警の合同捜査本部による捜査が行われ、2012年に国際刑事警察機構(ICPO)を通じてマカオ当局が国外逃亡した首謀者の身柄を拘束、2019年までに45人が逮捕されている[7]。
2010年頃の日中関係の悪化を背景として、「日本の水源を中国から守るため」とのうたい文句で「水源地の権利」と称した価値のない権利の購入を勧める投資トラブルが全国で相次いだが[8]、日本を守るために「水源地」と称する所有しても無価値どころか負債にしかならない「負動産」に大金を払えるかどうかはともかくとして、外国資本による水源地の買収に対する懸念が全国的に高まったため、北海道では2010年6月に全国で初めて「外国資本による森林買収」に関する調査結果を公表、2012年3月には全国に先駆けて「北海道水資源の保全に関する条例」を創設した。林野庁は2010年より「外国資本による森林買収に関する調査」を行っている。
水源地が開発されて、住宅地の真ん中や、都心の一等地にあることもある。かつて東京に流れていた弦巻川の水源は、「丸池」という池で、池が袋状だったことから、池のあった地域(水源地域)は「池袋」と称された。開発の末に池はなくなり、水も枯れてしまったが、雑司が谷の住宅地に現存する自噴井戸にその名残がある。
位置関係
取水源
用水や水道の水源(英語: water source)は、事業者によってさまざまである。日本の水道の水源は河川やダム湖沼が多い。必要に応じて堰(取水堰)や水門が設けられる。
取水口のある所を「水源地」または「取水地点」という。たとえ水源は同じであっても、生活用水は国土交通省の管轄、工業用水は経済産業省の管轄、農業用水は農林水産省の管轄である。大本をたどると、これらの水源に水を供給しているのは川の水源地であることが多いので、各省庁では林野庁などと共同して川の水源の保護を図っている。
河川水などの地表水、井戸水などの地下水以外にも、雨水を水源とする天水、海水を水源とする海水淡水化、空気中の霧を水源とする霧水捕集などがある。例えば、海水淡水化施設を稼働している福岡市では、奈多海岸の沖合の海底に取水パイプを設置しており、水源地は玄界灘である。
種類と特徴
河川
河川から取水することは容易であり、大量に取水できることが多い[9]。河川の水質は上流ほど良好で、下流ほど人為的に汚濁を受けていることが多い[9]。また、上流に貯水池や湖沼がある場合はその影響を直接受けやすい[9]。
水質や水量が変わりやすく、一般に降雨時は濁度など水質が悪化しやすくなる[9]。溶存酸素は比較的多く、硬度は一般的に低い傾向にある[9]。
湖沼
取水は河川と同様に容易であるが、水量は河川以上に安定していると言える[10]。一般に河川よりも水質が良い傾向にあるが、これは静水で自浄作用の効果が大きいからである[11]。ただし、一度水質が悪化すると回復に時間を要する[10]。また、湖岸よりも湖心の方が水質が良い[11]。湖沼内部では水の循環があり、春秋は水が濁りやすく、夏冬は水が透き通りやすくなる[12]。
流入河川や風により水質が変わりやすい[13]。もし栄養塩類が流入した場合は富栄養化現象が起こりやすい[10]。
地下水
地下水は自由地下水(浅層水)・被圧地下水(深層水)・湧水・伏流水に大別される[14]。
海水
地球上の水の97%は海水が占めるが、工業技術を用いて淡水を得られる[16]。
2025年現在、日本最大の海水淡水化施設は、福岡都市圏の6市7町1企業団1事務組合により構成される福岡地区水道企業団の運営する海水淡水化センター「中道奈多海水淡水化センター(まみずピア)」で、生産水量は最大50,000 m3/日。1983年の筑後川導水の開始後、福岡都市圏の最大の水源は筑後川となっていたが、福岡市内には大きな河川がなく、市域外の水源に頼らざるを得ない点が課題となっており、特に1994年の平成大渇水では295日間の取水制限が行われるなど非常に苦しんだ。そのため、福岡市では節水と海水淡水化を強力に推進している。まみずピアは2005年に稼働し、稼働率は8割近くに達し、福岡地区水道企業団の送水量の約40%を担う重要な水源となっている。
日本の大規模な海水淡水化施設は、福岡市のほかに、沖縄県北谷町の海水淡水化センターが存在し、最大40,000 m3/日。
海の水源
日本の海の水源
海や河川での航路を示すための浮標は1980年に開催された国際航路標識協会の浮標特別会議により「水源に向かって左側は緑色」「水源に向かって右側は赤色」と定められている。ここで言う「水源」とは、川などの場合は一番上流の水が流れ出るもとを指し、港、湾、入り江などの場合は海から見て一番奥まった場所を指す。そして、港、湾、入り江などを除く日本列島の多くの沿岸や離島では、浮標の色を緑か赤かを定めるためにどこか特定の地点を「水源」(英語: upstream)として決める必要がある。
そのために便宜上として、日本では与那国島を「日本列島沿岸部の水源」として定めている。また、瀬戸内海(関門海峡を含む)の水源は阪神港、宇高航路については宇野港が「水源」とされている。
脚注
- ^ 林野庁. “水源涵養機能”. 2025年10月24日閲覧。
- ^ 林野庁. “森林の整備等を目的とする都道府県の独自課税一覧”. 2025年10月24日閲覧。
- ^ 東京都水道局. “水源の森づくりとSDGs”. 2025年10月24日閲覧。
- ^ 『釧路湿原』p.259、本多勝一編、1993年、朝日新聞社
- ^ 北海道森林管理局. “パイロットフォレスト”. 2025年10月24日閲覧。
- ^ 森林整備センター. “水源林の公益的機能”. 2025年10月24日閲覧。
- ^ 水源投資詐欺容疑 グループのナンバー3を逮捕 - 産経ニュース
- ^ 鳥取県. “山林の権利購入における投資トラブルについて”. 2025年10月24日閲覧。
- ^ a b c d e 中村玄正 2001, p. 65.
- ^ a b c 中村玄正 2001, p. 72.
- ^ a b 中村玄正 2001, p. 71.
- ^ 中村玄正 2001, p. 71-72.
- ^ 中村玄正 2001, pp. 71–72.
- ^ 中村玄正 2001, p. 78-81.
- ^ 福岡地区水道企業団. “海水淡水化センター関連施設”. 2025年10月21日閲覧。
- ^ 中村玄正 2001, p. 88.
参考文献
- 中村玄正『三訂版入門上水道』工学図書、2001年10月20日。
関連項目
外部リンク
「水脈」の例文・使い方・用例・文例
- >> 「水脈」を含む用語の索引
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