日本における法整備支援の位置づけとは? わかりやすく解説

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日本における法整備支援の位置づけ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/11 05:57 UTC 版)

法整備支援」の記事における「日本における法整備支援の位置づけ」の解説

日本の法整備支援は、 民法などの法典作成支援 法律の執行運用のための体制整備対す支援 裁判官など法律専門家人材育成対す支援3つの基本的としており、また、押しつけではなく相手国の主体性重視することにも特色があるとされている。 日本の政府開発援助(ODA)というと道路発電所など、インフラストラクチャーの整備支援連想されがちであるが、近年では、人材育成法・制構築教育などを支援するソフト面での支援にも注力されるようになってきた。法整備支援は、その代表格1つとして注目を集めるようになっている日本による本格的な法整備支援は、1994年ベトナム対するものが最初である。支援対象国はその後広がり続け、現在ではベトナムカンボジアラオスインドネシア中国モンゴル中央アジア諸国ネパールなどに支援行っている。 法整備支援をはじめ、ソフト面での支援注目されるようになった背景には、民主主義法の支配汚職撲滅など、いわゆる良い統治(good governance)」の実現が、経済発展貧困削減のために不可欠であると考えられるようになったことが挙げられる日本政府も、平成15年8月29日閣議決定定めた政府開発援助(ODA)大綱で、「良い統治」を基本理念として掲げ開発途上国発展基礎になるものとして、法・制構築経済社会基盤整備協力することを、ODAの最も重要な考え方とした。さらに平成20年海外経済協力会議では、法整備支援について、途上国での法の支配定着持続的成長のための環境整備日本との経済連強化等の点で大きな意義有する位置づけ日本国外経済協力の重要分野一つとして戦略的に進めることを明言した平成21年4月時点では、重点支援国として、中国モンゴルカンボジアインドネシアラオスベトナムウズベキスタンの7か国が選定された。 また、第1次安倍内閣では、北東アジアから、東南アジア経てインド、中東中央アジア中・東欧にかけての「弧」上にある国との間で、日本リーダーシップをとってこれら価値共有し、「弧」地域全体繁栄貢献するその結果として経済安全保障などで日本国益享受するという「自由と繁栄の弧」を外交基本方針としていたが、その提唱とされる麻生太郎著書とてつもない日本」(新潮新書)では、その具体的施策の例として法整備支援挙げられている。 一方民主党政権となった後も、平成23年11月18日採択された日・ASEAN共同宣言とそれに基づく日・ASEAN行動計画において、「法の支配裁判システム及び法的インフラ強化するため、法律及び裁判部門における人材強化への協力続ける」とされた(行動計画1.5.5)ほか、違法薬物マネーロンダリングテロなどの国際的な犯罪撲滅共同して取り組む一環として刑事分野における人材育成への協力知的財産分野での人材育成への協力盛り込まれている(行動計画1.3、2.18)。さらに、平成23年12月24日閣議決定された「日本再生の基本戦略でも、日本国際的プレゼンス高めるべく、当面重点的に取り組む施策として、「インクルーシブ成長基礎となる法制度整備支援推進」が挙げられ、「開発途上国における法の支配確立社会経済基盤整備図り成長確実なものとするために、法制度整備支援推進する。」とされている。この点、NHK西川龍一解説委員も、法整備支援について、「厳し経済状況が続く中で、ODA予算増額難しい中、わずかな予算でも効果的な国際貢献策につながるというメリットがある」「アジアでの存在感高めるためにも、カンボジアなどでの経験生かして現地の人たちに実のある国際貢献続けて欲しいと思います。」と解説している。 第2次安倍内閣平成25年5月決定され法制度整備支援に関する基本方針改訂版)では、重点支援国として、ミャンマーバングラデシュ追加されたほか、アフリカ諸国の支援需要をくみ取っていく方針明記された。また、日本は、パレスチナ紛争解決中東諸国民主化推進などの観点から、アジア圏でのイスラム教の国であるインドネシアマレーシアとも連携しつつ、パレスチナ含めた中東諸国対し農業保健などの分野支援活動展開している が、そのような中、法分野のうち刑事分野では、パレスチナ含めた中東諸国地域への法整備支援若干行われている。 また、少子高齢化伴って国内市場縮小不可避の中、海外稼ぎ国内活力雇用つなげていくことの重要性高まっている が、法整備支援は、開発途上国での投資環境整備という意味合い強く持っている ため、経済界からの期待も強い。法整備支援事業を行う財団国際民商事法センターは、その役員会員企業住友商事トヨタキヤノンなどの大手企業名を連ねている。また、日本経団連発行する経済Trend 2010年1月号」では、日本経済アジア成長取り込んでいくため官民連携体制で、アジアにおけるソフト・ハード両面でのインフラ整備行っていくことの重要性強調されているが、ソフトインフラ整備代表格として、法整備支援挙げられている。日系企業アジア進出は、中国限らず東南アジア諸国拡大続け、これに伴って日本四大法律事務所アジアでの業務展開急速に拡大しており、ビジネス環境整備としての法整備支援重要性はさらに増していくものと考えられる。この点につき、アジア日系企業への法的アドバイス行っている日本の弁護士も、「法整備支援の意味は、今後日本の人口減少し経済小さくなる中で、日本企業海外において活動しやすい状況作る意味でも、また、投資受け皿としての制度形成していく意味でも、益々重要になるものと信じている。」など、法整備支援への期待述べている。実際にも、こういった弁護士法務省外務省連携してアジア法の調査行い調査結果法整備支援活用するとともに弁護士日系企業などへ広く知見還元する試みなされている。 さらに、法整備支援通じ支援対象国の法律に関する情報大量に日本流入するようになり、日本の研究者及び法律実務家などがアジア各国法制度を深く学ぶことを可能にさせるという効果もたらしている。 歴史的に見ると、日本は、明治維新時代フランス法系、ついでドイツ法系の諸法律を継受し、第二次世界大戦後アメリカ法影響を受けるという法制史たどっている。そのため、日本は、アジア初め欧米型の近代法整備した国であり、かつ、大陸法系英米法系の各専門家存在し、どちらの法体系の国に対して支援が可能であるという独自性の強い立ち位置にある。アジア各国法整備支援日本求め歴史的背景がここにあるともいわれている。 ただ、現在の法整備支援は、その前線活躍する人材の不足が大きな問題となっているほか、他の支援国との協調連携不十分な点があったなどの問題指摘されている。また、法整備支援は、成果短期的にあらわれにくい分野であるため、その評価手法国民への説明責任どのように果たすべきかも課題として指摘されている。加えて法整備支援実施には、日本の法律制度に関する情報について、英語など外国語への翻訳整備不可欠であるが、日本の法令判決などの英訳は、知的財産などを除き欧米諸国及び韓国比べて著しく遅れている領域であるとされている。なお、人材不足という課題について、JICAは、法整備支援携わる人材の育成発掘のため、能力強化研修実施するようになっている

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