憲法解釈を変更する閣議決定とは? わかりやすく解説

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憲法解釈を変更する閣議決定

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/09 16:04 UTC 版)

平和安全法制」の記事における「憲法解釈を変更する閣議決定」の解説

2014年平成26年7月1日国家安全保障会議及び閣議において、「国の存立全うし国民を守るための切れ目のない安全保障法制整備について」を決定した。この閣議決定内容以下の通り前文 我が国は、戦後一貫して日本国憲法の下で平和国家として歩んできた。専守防衛徹し他国脅威与えるような軍事大国はならず非核三原則を守るとの基本方針堅持しつつ、国民営々とした努力により経済大国として栄え安定して豊かな国民生活築いてきた。また、我が国は、平和国としての立場から、国際連合憲章遵守しながら、国際社会国際連合始めとする国際機関連携し、それらの活動積極的に寄与している。こうした我が国の平和国としての歩みは、国際社会において高い評価尊敬勝ち得てきており、これをより確固たるものにしなければならない一方日本国憲法施行から67年となる今日までの間に、我が国取り巻安全保障環境根本的に変容するとともに、更に変化し続け我が国は複雑かつ重大な国家安全保障上の課題直面している。国際連合憲章理想として掲げたいわゆる正規の「国連軍」は実現のめどが立っていないことに加え冷戦終結後四半世紀だけをとってもグローバルなパワーバランス変化技術革新急速な進展大量破壊兵器弾道ミサイル開発及び拡散国際テロなどの脅威により、アジア太平洋地域において問題緊張生み出されるとともに脅威世界のどの地域において発生しても、我が国安全保障直接的な影響及ぼし得る状況になっている。さらに、近年では、海洋宇宙空間サイバー空間対す自由なアクセス及びその活用妨げリスク拡散し深刻化している。もはや、どの国も一国のみで平和を守ることはできず、国際社会また、我が国がその国力にふさわしい形で一層積極的な役割を果たすことを期待している。 政府の最も重要な責務は、我が国の平和と安全を維持し、その存立全うするとともに国民の命を守ることである。我が国取り巻安全保障環境の変化対応し政府としての責務を果たすためには、まず、十分な体制をもって力強い外交推進することにより、安定しかつ見通しつきやす国際環境創出し脅威出現未然に防ぐとともに国際法のっとって行動し法の支配重視することにより、紛争平和的な解決を図らなければならない。 さらに、我が国自身防衛力適切に整備維持運用し同盟国である米国との相互協力強化するとともに域内外のパートナーとの信頼及び協力関係深めることが重要である。特に、我が国の安全及びアジア太平洋地域の平和と安定のために、日米安全保障体制実効性を一層高め日米同盟抑止力向上させることにより、武力紛争未然回避し我が国脅威が及ぶことを防止することが必要不可欠である。その上でいかなる事態においても国民の命と平和な暮らし断固として守り抜くとともに国際協調主義に基づく「積極的平和主義」の下、国際社会の平和と安定これまで以上に積極的に貢献するためには、切れ目のない対応を可能とする国内法制を整備しなければならない5月15日に「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」から報告書提出され同日安倍内閣総理大臣記者会見表明した基本的方向に基づきこれまで与党において協議重ね政府としても検討進めてきた。今般与党協議結果に基づき政府として、以下の基本方針に従って国民の命と平和な暮らし守り抜くために必要な国内法制を速やかに整備することとする武力攻撃至らない侵害への対処 純然たる平時でも有事でもない事態生じやすく、これにより更に重大な事態至りかねないリスク有している。警察機関自衛隊を含む関係機関が、より緊密に協力しいかなる不法行為に対して切れ目のない十分な対応を確保するための態勢整備することが一層重要な課題となっている。 具体的には、警察海上保安庁などの関係機関が、緊密に協力して対応する方針の下、対応能力の向上、連携強化、対応要領検討整備命令発出手続迅速化演習訓練充実など、必要な取組を一層強化する警察機関直ちに対応できない場合対応について治安出動海上における警備行動の、状況応じた早期下令手続迅速化具体的に検討する米軍部隊武器であれば米国要請又は同意があることを前提に、当該武器等を防護するための自衛隊法95条よるもの同様の極めて受動的かつ限定的な必要最小限の「武器の使用」を自衛隊が行うことができるよう、法整備をする。 国際社会の平和と安定への一層の貢献 いわゆる後方支援と「武力の行使との一体化いわゆる後方支援と言われる支援活動それ自体は、「武力の行使」当たらない活動である。一方憲法第9条との関係で、他国の「武力の行使一体化」することにより、我が国自身憲法の下で認められない「武力の行使」行ったとの法的評価を受けることがないよう、これまでの法律においては活動地域を「後方地域」や、いわゆる非戦闘地域」に限定してきた。 国際協調主義に基づく「積極的平和主義」の立場から、国際社会の平和と安定のために、自衛隊幅広い支援活動これまで以上に支障なくできるようにすることは、我が国の平和及び安全の確保観点からも極めて重要である。 政府としては、他国が「現に戦闘行為行っている現場」ではない場所で実施する補給輸送などの我が国支援活動については、当該他国の「武力の行使一体化」するものではないという認識基本とした以下の考え方立って必要な支援活動実施できるようにするための法整備進める。 我が国支援対象となる他国軍隊が「現に戦闘行為行っている現場」では、支援活動実施しない。 仮に、状況変化により、我が国支援活動実施している場所が「現に戦闘行為行っている現場」となる場合には、直ちにそこで実施している支援活動休止又は中断する国際的な和協活動に伴う武器使用国際的な和協活動の中で、いわゆる駆け付け警護」に伴う武器使用や「任務遂行のための武器使用」については、これを「国家又は国家準ずる組織に対して行った場合には、憲法第9条禁ずる「武力の行使」該当するおそれがあることから、自衛官武器使用権限いわゆる自己保存型と武器防護限定してきた。 国際協調主義に基づく「積極的平和主義」の立場から、国際的な和協活動に十分かつ積極的に参加できることが重要である。また、領域国の受入れ同意がある場合には、武器使用を伴う在外邦人救出についても対応できるようにする必要がある国際的な和協活動におけるいわゆる駆け付け警護」に伴う武器使用及び「任務遂行のための武器使用」のほか、領域国の同意に基づく邦人救出などの「武力の行使」伴わない警察的な活動ができるよう、以下の考え方基本として、法整備進める。 国際連合平和維持活動等については、PKO参加5原則枠組みの下で、「当該活動が行われる地域属する国の同意」及び「紛争当事者当該活動が行われることについての同意」が必要とされており、受入れ同意をしている紛争当事者以外の国家準ずる組織」が敵対するものとして登場することは基本的にないと考えられる自衛隊部隊が、領域国政府同意に基づき当該領域国における邦人救出などの「武力の行使」伴わない警察的な活動を行う場合には、その範囲においては国家準ずる組織」は存在していないということ意味する受入れ同意安定的に維持されているかや領域国政府同意が及ぶ範囲等については、国家安全保障会議における審議に基づき内閣として判断する。 なお、これらの活動における武器使用については、警察比例の原則類似した厳格な比例原則が働くという内在的制約がある。 憲法第9条の下で許容される自衛措置 我が国取り巻安全保障環境の変化対応しいかなる事態においても国民の命と平和な暮らし守り抜くためには、これまでの憲法解釈のままでは必ずしも十分な対応ができないおそれがある政府憲法解釈には論理的整合性法的安定性求められる。したがって従来の政府見解における憲法第9条解釈基本的な論理枠内で、国民の命と平和な暮らし守り抜くための論理的な帰結を導く必要がある憲法第9条はその文言からすると国際関係における「武力の行使」一切禁じているように見えるが、憲法前文確認している「国民平和的生存権」や憲法第13条が「生命、自由及び幸福追求対す国民の権利」は国政の上最大尊重を必要とする旨定めている趣旨踏まえて考えると、憲法第9条が、我が国自国の平和と安全を維持し、その存立全うするために必要な自衛措置を採ることを禁じているとは到底解されない一方、この自衛措置は、あくまで外国武力攻撃によって国民生命、自由及び幸福追求権利根底から覆されるという急迫、不正の事態対処し国民のこれらの権利を守るためのやむを得ない措置として初め容認されるものであり、そのための必要最小限度の「武力の行使」許容される。これが、憲法第9条の下で例外的に許容される「武力の行使」について、従来から政府一貫して表明してきた見解根幹、いわば基本的な論理であり、昭和47年10月14日参議院決算委員会対し政府から提出され資料集団的自衛権憲法との関係」に明確に示されているところである。この基本的な論理は、憲法第9条の下では今後とも維持されなければならないこれまで政府は、この基本的な論理の下、「武力の行使」許容されるのは、我が国対す武力攻撃発生した場合限られる考えてきた。しかし、冒頭述べたように、パワーバランス変化技術革新急速な進展大量破壊兵器などの脅威等により我が国取り巻安全保障環境根本的に変容し、変化し続けている状況踏まえれば、今後他国に対して発生する武力攻撃であったとしても、その目的規模態様等によっては、我が国存立を脅かすことも現実起こり得る我が国としては、紛争生じた場合にはこれを平和的に解決するために最大限外交努力尽くとともにこれまでの憲法解釈基づいて整備されてきた既存国内法令による対応や当該憲法解釈枠内可能な法整備などあらゆる必要な対応を採ることは当然であるが、それでもなお我が国存立全うし国民を守るために万全を期す必要があるこうした問題意識の下に、現在の安全保障環境照らして慎重に検討した結果我が国対す武力攻撃発生した場合のみならず我が国密接な関係にある他国対す武力攻撃発生し、これにより我が国存立脅かされ国民生命、自由及び幸福追求権利根底から覆される明白な危険がある場合において、これを排除し我が国存立全うし国民を守るために他に適当な手段がないときに、必要最小限度の実力行使することは、従来の政府見解基本的な論理に基づく自衛のための措置として、憲法許容される考えるべきであると判断する至った我が国による「武力の行使」国際法遵守して行われることは当然であるが、国際法上根拠憲法解釈区別して理解する必要がある憲法許容される上記「武力の行使」は、国際法上は、集団的自衛権根拠となる場合がある。この「武力の行使」には、他国対す武力攻撃発生した場合契機とするものが含まれるが、憲法上は、あくまでも我が国存立全うし国民を守るため、すなわち、我が国防衛するためのやむを得ない自衛措置として初め許容されるのである憲法「武力の行使」許容されるとしても、民主的統制確保求められることは当然である。政府としては、我が国ではなく他国に対して武力攻撃発生した場合に、憲法許容される「武力の行使」を行うために自衛隊出動命ずに際しては、現行法令規定する防衛出動に関する手続と同様、原則として事前に国会の承認求めることを法案明記する今後国内法整備進め方 これらの活動自衛隊実施する当たっては、国家安全保障会議における審議に基づき内閣として決定を行う。 こうした手続含めて実際に自衛隊活動実施できるようにするためには、根拠となる国内法が必要となる。政府として、以上述べた基本方針の下、国民の命と平和な暮らし守り抜くために、あらゆる事態切れ目のない対応を可能とする法案作成作業開始することとし十分な検討行い準備でき次第国会提出し国会における御審議を頂く。 これにより、「自衛措置としての武力の行使新三要件」を示した自衛措置としての武力の行使新三要件我が国対す武力攻撃発生したこと、又は我が国密接な関係にある他国対す武力攻撃発生し、これにより我が国存立脅かされ国民生命、自由及び幸福追求権利根底から覆される明白な危険があること これを排除し我が国存立全うし国民を守るために他に適当な手段がないこと 必要最小限度の実力行使にとどまるべきこと 同年12月統合幕僚長河野克俊が、アメリカ陸軍参謀総長レイモンド・オディエルノアメリカで面会した際、法案成立見込みについて「与党勝利により来年夏までには」と答えていた。 2015年4月29日首相安倍晋三アメリカ連邦議会において「日本は今、安保法制充実取り組んでいる」「この法整備によって、自衛隊米軍協力関係強化され日米同盟は、より一層堅固になる」「この夏までに成就する」と記念演説同年5月14日国家安全保障会議及び閣議において、平和安全法制関連2法案決定し翌日衆議院及び参議院提出したまた、同日国家安全保障会議及び閣議において、治安出動海上警備行動等の発令手続迅速化等に係る決定をした。これらは、上記閣議決定内容に基づくものである

※この「憲法解釈を変更する閣議決定」の解説は、「平和安全法制」の解説の一部です。
「憲法解釈を変更する閣議決定」を含む「平和安全法制」の記事については、「平和安全法制」の概要を参照ください。

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