マスコミにおける取り扱い
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/04 12:33 UTC 版)
「プロレス」の記事における「マスコミにおける取り扱い」の解説
かつて各新聞社やテレビ局においてスポーツとして扱うかエンターテインメントとして扱うか議論となったが、新聞では一応はエンターテインメントとしての扱いという形で決着した。 ウィキニュースに関連記事があります。日テレ、地上波でのプロレス中継3月で終了 (2012年12月) テレビ(中継対象として) 日本の地上波では日本テレビやテレビ朝日及び、その関連局が大手プロレス団体の興行を中継(主に録画)している。かつてはゴールデンまたはプライムタイムに60分の番組枠を持っていたが、日本テレビ系列は30分に縮小後2009年3月に撤退して、現在はテレビ朝日系列のみで深夜に30分と縮小されて放送されている。ケーブルテレビやCSといった有料放送でも放送しており、専門チャンネルも存在する。アメリカではUSA NetworkやSpike TVが放送を行っている。 テレビ(報道対象として) エンターテインメントであると同時にスポーツでもあるという認識でスポーツ番組でも取り上げる。日テレやテレ朝などプロレス中継を行う局が取り上げることが大半。芸能人が試合を行う場合はワイドショーで扱われることがある。 1979年に行われた「プロレス夢のオールスター戦」は、当日参加したプロレス団体と放送局の結びつきが強いことを考慮して中継という形での放送はされず、メインイベントのBI砲復活試合(ジャイアント馬場・アントニオ猪木対アブドーラ・ザ・ブッチャー・タイガー・ジェットシン)のみがスポーツニュースの枠で放送された。放送にあたり中継ではなくスポーツニュース用の報道扱いで1局につき3分まで映像を流してもよいとの許可が出されてテレビ朝日と日本テレビが、それぞれ中継を担当するレギュラーの実況アナウンサーによる解説で放送されている。 一般新聞 スポーツ面に掲載されることはほとんどない。著名プロレスラーの死去、興行会社の倒産、関係者が刑事事件を起こすといった場合に報道される程度である。珍しい例としてジャイアント馬場が新聞の聞き書き欄に登場したり、死去した際に追悼コラムが掲載されたりした例はある。しかし、2007年8月下旬から10回に渡り、朝日新聞夕刊一面でプロレスの特集が組まれて、プロレスラー(現役、元)、関係者、古舘伊知郎、ファンである内館牧子など、約30名のインタビューが掲載された。一般紙でこれだけ長期に渡り、さらに一面でプロレスの特集が組まれたのは異例中の異例である。 スポーツ新聞 紙面上の扱いに新聞間で差があるものの格闘技と同様に報道される。試合結果、インタビューなどが掲載される。 かつては、東京スポーツ(とその系列)とデイリースポーツのみが扱った(女子プロレスも掲載するのはデイリースポーツのみ)。1986年に大相撲の元横綱輪島大士のプロレス参戦と同時に各スポーツ紙が掲載するようになった。 専門誌(専門紙) 新聞と同様、試合結果(詳細な試合レポート)、選手インタビュー、その他企画記事などを掲載している。新聞よりも各団体のアングルの展開状況を解説する役割が強い。基本的にマーク層を主要購買層としてプロレスを純粋な勝負であることとして扱う。 プロレス団体の数が増えて、その一方でテレビ、新聞報道が少なかった時期(主に1990年代)は、試合内容を早く、詳しく知るための中心的な存在でありビッグマッチの数日後に「速報」という形で増刊号を発行することも多かったが、インターネットの普及によりその優位性はほぼ失われた。そのため電子メディアとの差別化に苦しみ発行部数は減少しつつある。それに伴い、掲載広告はプロレス関連企業の比率は低下し、消費者金融や出会い系サイトなどの割合が高くなっている[要出典]。2007年3月に休刊した週刊ゴングはプロレスとは全く関係ない玩具やアクセサリの誌上通販、出会い系サイトの広告を行っていた。以下は専門誌の代表的なもの。週刊プロレス 週刊ゴング(休刊)→2015年にアイビーレコード(発売元は徳間書店)から月刊誌として復刊。→2016年、アイビーレコードが出版業撤退のため、事実上の休刊。 週刊ファイト(休刊)→2015年、ウェブサイト「ミルホンネット」が改題する形で「復刊」。 kamipro(旧:紙のプロレス、紙のプロレスRADICAL)(休刊)後継誌としてDropkickおよび、KAMINOGEに移行。 専門サイト(WEBサイト) 専門誌と同様に試合結果(詳細な試合レポート)、プロレスラーへのインタビュー、その他企画記事などを掲載している。新聞、専門誌より速報性が高く、YouTube・USTREAM・Twitterなどの普及と相まって情報取得、拡散手段として重要な役割を果たしている。また、専門誌の減少によりWEBマスコミの詳細か各プロレス団体の公式サイトでしか情報が取得できないプロレス団体も多くなりプロレス文化の下支えとなっている。週刊プロレスモバイル スポーツナビ バトル・ニュース リングスターズ ファイト!ミルホンネット ぼくらのプロレス プロレスTODAY ニコニコプロレスチャンネル 報道における特徴 プロレス報道における最大の特徴は「『選手経験を持つ、専門の技術解説者』でなくとも解説が務まる」ことである。テレビ放送時はアナウンサーと解説が付くことが通例であるが、その場合の解説者は現役レスラー、OBレスラー以外に、マスコミ関係者であることも多い。 プロ野球やサッカーにおいては、解説者は必ずしも、その球団のOBではない。異なるリーグで一度も対戦経験の無かった、元選手が解説をすることも珍しくはない。しかし、プロレスの場合は、引退後にフリーの技術解説者になっても現役時に所属していなかった団体の中継で解説を行うことは珍しい。旧WRESTLE-1解説の蝶野正洋や、WRESTLE-1の旗揚げ戦、2015年にG1 CLIMAXで解説を行なった小橋建太、FIGHTING TV サムライにおいて女子全般を担当するブル中野は極めて稀なケースと言える。 活字メディアにおいても同様であり、引退した選手がコラムを寄稿することはあっても、その選手が全く関係を持たなかったプロレス団体の試合分析を行うことは珍しい。プロレスラーには厳密な引退は存在せず廃業のみがあり、現役復帰が極めて多いことも理由である[要出典]。 プロレスがプロ野球やプロサッカー、プロボクシングと違い、スポーツとして取り扱われない理由は台本の存在にある。逆にオリンピック競技の1つであるアマチュアレスリングは、スポーツとして扱われている。マスコミ関係者による解説は「気合」、「殺伐」といった精神論的、抽象的表現に終始してしまうことが多い[要出典]。 一時期、大仁田厚がフリーの解説者になると表明したことがあったが、結局活動は行われなかった。 ジャーナリズム プロレスにはスポーツジャーナリズムは存在しないことも特徴のひとつである[要出典]。芸能産業、興行ビジネスであるため何らかの形で各地域の暴力団と関係を持ちトラブルが発生したりレスラーがマルチ商法の広告塔としてメディアに露出した場合は前述の専門誌やスポーツ新聞は黙殺、無視のスタンスを取り、報道を行わない。この様なトラブルを扱うのは主に一般週刊誌などである。近年では暴露本の類のムックが多く発行される様になった。 日本のプロレスにおいては、しばしばプロレス団体から報道各社に対し「取材拒否」が行われることがある。これはプロレス団体に対し不利益な記事を書いたために行われることが大半である。取材拒否は、そのままそのプロレス団体のファンが買っていた分の販売部数の減少に繋がり、広告収入で成り立つマスメディアにとって致命的となるため、プロレス紙誌は各団体の機関誌、広報誌以上の内容にはならないことが大半である。 力道山時代からプロレスは「プロレス村」と表現される程に閉鎖的、排他的傾向を持ちマスコミもその閉鎖性を保持、維持する立場を取ることが多い。PRIDEがKRSによる主催であった時代「あなた達(KRS)は何者なんですか」という質問がなされたことを代表に、詳細な取材よりも団体から流されるリリースをそのまま掲載することが少なくない。 選手インタビューと銘打たれていても事実を述べてそれに対しての選手や考え方を訊くような質問の意図が明確な内容よりも選手の独白に記者が詩的修飾語が多用された解説・脚注を加えたものが掲載されることは少なくない。 この傾向はプロレス雑誌での試合観戦記においても例外ではない。後述の「台本」の項の通り、ターザン山本編集長時代の週刊プロレスのように、裏金や誌面優遇などの癒着の見返りに記者自らが台本を決定していた行為が公然と行われていた時代には、他スポーツの観戦記に見られる様な試合経過を淡々と写実的に解説する文面ではなく、試合展開や背後のアングルをベースに詩的修飾語が多用された小説かポエムに近い内容の観戦記も多々見受けられた。 なお、ライターの斎藤文彦は上記に異を唱え、「プロレスマスコミ」という存在があることが、日本において特殊なジャーナリズムと記述している。
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