興行会社
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「2019年コロナウイルス感染症による映画への影響」の記事における「興行会社」の解説
2020年10月、リーガル・シネマズのユニオンスクエア劇場では「48の州では劇場営業が再開された。クオモ知事、何故ニューヨークはダメなのか?」というニューヨーク州の劇場閉鎖継続に対する抗議メッセージが掲示された。 レンツブルクの閉鎖された劇場。入り口には「またすぐにお会いできます!それまでお元気で!!」と書かれたメッセージが掲示されている。 シアトルの閉鎖されたパラマウント・シアター(英語版)。入り口には「ただいま休憩中、すぐにまた会えます」とメッセージが掲示されている。 ニューヨークの閉鎖されたAMCシアターズの劇場。 世界の株式市場が回復傾向に移る中で興行会社の株価はこの流れに乗れず下落を続け、2020年3月4日にシネマーク・シアターズの株価は0.53%、AMCシアターズの株価は3.5%下落した。同日に『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』の公開延期が発表されたことでAMCシアターズの株価は2週間以上にわたり30%下落し、シネマーク・シアターズの株価も同月6日までに20%下落、同月12日にはさらに24%下落している。株価の大幅下落の原因として、AMCシアターズがイタリアで一部の劇場を閉鎖したこと、『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』が公開延期したことで市場に対する信頼性が低下したことが挙げられる。これは、本来『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』の公開が予定されていた週末に他の新作映画を公開しても映画ファンの関心は高まらず、興行会社にとっては収益減少に直結する問題だった。同月4日にはナショナル・シネメディア(英語版)の株価も1.25%下落し、同月12日までにシネマーク・シアターズ、AMCシアターズ、ナショナル・シネメディアの株価は月初より35%以上下落した。特に世界シェア第2位の規模を持つシネワールドは複数の映画が公開延期したことに加え、パンデミックの影響と株価下落が長期化したことで経営破綻する可能性が指摘された。 2020年8月、カリフォルニア州は同月31日から特定の郡での規制解除を可能にするため、保険指標評価に基づき色分けされた段階表を発表した。この表で赤色階層以上に該当した場合、限定的な範囲での劇場営業が可能となり、赤色に該当する郡では100人当たり25%、オレンジ色の郡では200人当たり50%、黄色の郡では上限なしで50%での制限解除という段階が設定された。ただし、この段階表が設定された時点で州内の大半の郡は紫色階層に指定されたため、劇場閉鎖が継続されることになった。また、この保険指標評価は郡の保険担当者の判断で、さらに厳しい規制が課される場合もある。 2020年10月3日、『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』の公開が2021年4月まで延期されたことに伴い、シネワールドがテントポール映画の不在による業績悪化を懸念し、イギリス・アイルランドの全劇場及びアメリカのリーガル・シネマズの大半の劇場の営業を無期限停止することが報じられた。同月5日にシネワールドは報道の内容が事実であることを認め、同社CEOのムーキー・グレイディンガー(英語版)は新作映画の上映なしに劇場営業を続けることはコストが掛かり過ぎること(当初の予定では『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』の公開までは営業を継続するつもりでいた)、ニューヨーク州で劇場閉鎖が続いた影響で『TENET テネット』の興行収入が伸び悩んだことで、映画スタジオが新作映画の公開を躊躇していることを理由に挙げている。ただし、営業再開が許可されたカリフォルニア州の7劇場は営業停止の対象外となっている。この決定が報じられた後、シネワールドの株価は40%下落している。 10月7日からサンフランシスコでは劇場営業が再開されたが、カリフォルニア州とネバダ州では「劇場内の売店の営業は認めない」という現地当局のガイドラインに反発した全米劇場所有者協会が営業をボイコットしたため、大半の劇場は依然として閉鎖されたままとなった。同協会は両州のガイドラインに対し、「協会加盟館が営業再開することは経済的に不可能になり、観客の映画体験を大きく阻害する」と批判している。シネマーク・シアターズは売店営業禁止のガイドラインを遵守しつつ、同月末にサンフランシスコ・ベイエリアとサンタクララ郡の一部の劇場を再開することを発表した。同月9日にリーガル・シネマズはカリフォルニア州とニューヨーク州で営業再開した劇場の一部を同月12日から無期限閉鎖することを発表し、同日にファイザーとバイオンテックが共同開発中のファイザー - バイオンテック COVID-19 ワクチンの有効性に関する発表を行ったことに伴い、AMCシアターズ、シネマーク・シアターズ、ディズニーの株価が上昇した。同月17日、ニューヨーク州では14日間の平均発症率2%未満の郡内の劇場を対象に、同月23日から1スクリーンの観客動員数を50人に制限して営業再開することを認めたが、感染者数の多いニューヨークは営業再開の対象外となっている。 2021年3月5日、ニューヨーク市当局も他州と同じく1スクリーンの観客動員数を50人に制限して劇場営業の再開を認めた。同月11日にはロサンゼルス郡公衆衛生局(英語版)が郡内の劇場に対して、観客動員率を25%に制限して営業の再開を認めた。2019年時点で郡内には107劇場があり、そのうち42劇場が3月26日までに営業を再開し、一部の劇場チェーンや独立系劇場も『ゴジラvsコング』の公開に向けて数週間以内に営業を再開する方針を決めた。2週間後にロサンゼルス市内の劇場が観客動員率を25%に制限して営業を再開し、3月23日にはリーガル・シネマズが4月2日から劇場営業を再開することを発表した。4月19日にニューヨーク市内の劇場観客動員率を同月26日から33%に引き上げることが発表された。同日、カリフォルニア州は州内の段階表のうち、オレンジ色の郡は観客動員率50%、黄色の郡はワクチン接種証明書または陰性証明書を提示することを条件に観客動員率75%に引き上げることを発表し、同時にワクチン接種者用に座席間の距離を縮めた座席を配置することも定められた。 2020年10月と2021年3月にスタジオ・ムービー・グリル(英語版)とアラモ・ドラフトハウス・シネマ(英語版)は、それぞれ連邦倒産法第11章の適用を申請した。その後、スタジオ・ムービー・グリルは2021年4月に、アラモ・ドラフトハウス・シネマは2021年6月に新たな資金調達の道を確保したことで連邦倒産法第11章の適用から外れ、両社はそれぞれ不採算劇場の閉鎖を実施すると同時に新劇場の建設計画を策定した。一方、2021年4月21日にデキュリオン・コーポレーション(英語版)(アークライト・ハリウッド(英語版)、シネラマ・ドーム(英語版)、パシフィック・シアターズ(英語版)の親会社)はパンデミックの経済的な影響を受けて全劇場の閉鎖を決定し、6月にはパシフィック・シアターズが連邦倒産法第7章の適用を申請した。翌月にはリーガル・シネマズ、AMCシアターズ、ランドマーク・シアターズ(英語版)がアークライト・ハリウッドとパシフィック・シアターズが所有していた劇場の権利をそれぞれ引き継いだ。 2021年5月3日にニューヨーク州、ニュージャージー州、コネチカット州の3知事が共同発表を行い、同月19日から各州の劇場の入場制限人数を撤廃することを明言した。ニューヨーク州の劇場では入場制限は撤廃されるが、1.8メートル以上の距離を確保することが定められた。翌4日にはロサンゼルス郡が黄色(最小地域)に移動となったが、郡公衆衛生局は郡内の劇場観客動員率を75%に引き上げることは却下した。その後、ワクチン接種が進んだことを受け、2021年6月にはニューヨーク州とカリフォルニア州では劇場を含む大規模施設の観客動員率制限を撤廃した。しかし、デルタ株の感染拡大とワクチン接種率の低下に伴い、8月3日にニューヨーク(この時点の市民ワクチン接種率は55%)は劇場を含む屋内娯楽施設の入場者をワクチン接種者に限定する方針を決定した。10月にはロサンゼルスが、劇場に入場する際にはワクチン接種証明書の提示を義務付ける施策を11月4日から実施することを発表した。 2022年3月にはインドの二大劇場チェーンのPVRシネマズ(英語版)とINOXレジャー(英語版)が、パンデミックの影響を受けて合併することが発表された。
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