フォン・ノイマン探査機
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/07 14:35 UTC 版)
「自己複製宇宙機」の記事における「フォン・ノイマン探査機」の解説
フォン・ノイマン探査機は自身を複製する宇宙探査機である 。これは「フォン・ノイマン・マシン」(自己複製機械)と「宇宙探査機」(何かを探索または調査するための機器)という2つの概念を組み合わせたものである。このコンセプトは数学者・物理学者のジョン・フォン・ノイマンにちなんで命名された。この概念は「ユニバーサル・アセンブラ」とも呼ばれている 。このような機械の構造は5つの基本的な構成要素を含むように理論化できる。このテンプレートのバリエーションを用いればBracewell probes(生命探査機)など他のマシンを作成できる。 探査機 :建設をガイドするための観測機器と目標指向AIが含まれる。 生命維持システム :構造物を修復および維持するメカニズム。 ファクトリー :リソースを収集してそれ自体を複製するメカニズム。 メモリバンク :探査機によって得られたすべての部品と情報のプログラムを保存する装置。 エンジン :探査機を動かす動力部。 自己複製探査機が原始生命(または原始的な文化を持つ生命)の証拠を見つけた場合、休止状態になるか、静かに観察し、接触を試みるか(このバリエーションは生命探査機/Bracewell probeとして知られている)何らかの方法で生命の進化を導く。 アリゾナ州立大学の物理学者ポール・デイヴィスは、地球外文明の生命探査機は既に地球に到達し、休止している可能性を挙げた。古代の先史時代のいつかの時点で月に到着し、そして地球を監視するために残っているというアーサー・C・クラークの短編小説『前哨』(原題:Sentinel) 及び映画『2001年宇宙の旅』を彷彿させる説を唱えた。 フォン・ノイマン探査機の変形アイデアの一つに、フリーマン・ダイソンによって提案された「アストロチキン」がある。アストロチキンは遺伝子工学と電子工学を組み合わせており文字通り生きている宇宙機である。自己複製、探査、および「ホームベース」との通信という共通の特徴を備えているが、太陽系内で探査および運用し、星間空間を探査しないことを考えていた。 オックスフォードを拠点とする哲学者ニック・ボストロムは、未来の強力な超知能が効率的で費用対効果の高い宇宙航行する際に星間フォン・ノイマン探査機を作成するという考えについて議論している。 Anders SandbergとStuart Armstrongは、自己複製宇宙機による到達可能な宇宙全体の植民地化は、星間文明の能力の範囲内で可能だと主張した。水星を資源として採掘することにより、太陽の周りにダイソン球を32年で構築するための理論的なアプローチを提案した。
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フォン・ノイマン探査機
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アーサー・C・クラーク及びスタンリー・キューブリックの映画『2001年宇宙の旅』のモノリスは同作の下敷きになったクラークの短編『前哨』(1948年)の月面の遺物のように自己複製探査機を意図していたが、途中で変更された。映画では、モノリスが宇宙空間を探索する最も効率的な方法であることを説明する科学者のシーンから始まる予定だったが、キューブリックは映画の冒頭部分をカットした。そのため作中のモノリスは映画とクラークの小説の両方で殆ど神秘的な実体になった。以降の宇宙の旅シリーズの中で、フォンノイマンマシンのように指数関数的に増殖するさまが描かれる。 ジェームズ・P・ホーガンによる『造物主の掟』(1983年)は土星の衛星タイタンに生息するヒューマノイド型ロボットの社会の進化について説明している。異星人によって作られた自動工場宇宙船は、超新星爆発による放射線で故障し、進路を外れ、最終的には紀元前100万年頃に土星の衛星タイタンに着陸した。製造情報に重大な損傷が生じ、各ロボット達は独自の進化を始めた。100万年後、地球の探査船が到達した時、そこには地球の中世そっくりな機械人《ロビーイング》達の社会が生まれていた。 ブライアン・ステイブルフォードとデヴィッド・ラングフォードの架空の歴史書『第三千年紀:2000年から3000年の世界の歴史』(原題:The Third Millennium: A History of the World AD 2000-3000)(1985年出版)では、人類はサイクルに制限のあるフォン・ノイマン探査機を最も近い星に送り出して自由に探査を行い、人類の存在を誰にでも知らせることができるようになる。 チャールズ・シェフィールドの長編小説『Cold As Ice』(1992年)では物理学者である著者が木星の大気から硫黄、窒素、リン、ヘリウム-4 、およびさまざまな金属を収穫するフォンノイマンマシンについて説明している。 スティーヴン・バクスターのタイム・シップ。H・G・ウェルズ財団公認の『タイム・マシン (小説)』の続編。5000万年前の過去の時点で分岐し、別の歴史を辿った人類の子孫達が作った自己複製機械の末裔「普遍建設者」が登場する。1891年に辿り着いたが凍傷で命を失いかけていた時間航行家とモーロック族のネボジプフェルの命を救う。「普遍建設者」は完全にナノボットで構成されており、銀河系全域にまで広がる「情報の海」と呼ばれるネットワークを構築していた。「普遍建設者」達は銀河全域の恒星をダイソン球で包み込んでおり、地球から見た夜空には星が殆どなかった。「普遍建設者」達は情報の収集と探求を至上の目的としていたが、宇宙の有限性と終わりに対しある計画を立てる。時間航行家とネボジプフェルを連れ、『タイム・シップ』によって宇宙開闢の時間の始まりにまで遡り……。 ラリー・ニーヴンの作品の多くでフォン・ノイマン探査機は頻繁に参照されている。長編小説『Destiny's Road』(1998年)ではテクノロジーを構築および維持し、居住する人間の技術的知識の不足を補うために、フォンノイマンマシンが植民地化した惑星「Destiny」とその月「Quicksilver」に散らばっている。フォンノイマンマシンは、人間の主要なエネルギー源として機能する太陽熱集熱器として機能する伸縮性のある布地を主に構築している。フォンノイマンマシンは、生態系のメンテナンスやその他の調査作業にも従事している。 ロバート・チャールズ・ウィルソン『時間封鎖』(2005)では、地球が時間停滞フィールドに覆われ、周囲の一億分の一の時間にまで時間が減速してしまう。人類はフォン・ノイマン探査機によるテラフォーミングによって事態の打開を試みる。後に停滞フィールド自体が別の文明のフォン・ノイマン探査機によって生成され、地球とエイリアンの探査機の間で資源競争が行われたことが明らかになった。 ジョン・リンゴとトラビス・S.テイラーの『Von Neumann's War』(2007年)では、異星のフォン・ノイマン探査機が太陽系に到来し、外側の惑星から順に移動し、惑星を巨大な構造に加工していた。最終的に、それらが地球に到着し、人類がいくつかの探査機をリバースエンジニアリングする時に、反撃される前に人口の大部分を一掃した。 リアルタイムストラテジーゲームの『Gray Goo』(2015年)に登場する陣営「グー」は、天の川銀河全域をマップするために、微小なワームホールを介して送信されるフォンノイマンマシンで構成されている。「グー」は、「ヒューマン」および「ベータ」の陣営の敵対者として物語は始まるが、真の目的はシングルプレイヤーキャンペーンの一部で明らかになる。タイトル及び「グー」の名称はナノマシンの指数関数的増殖による終末シナリオ(グレイ・グー)に由来する。 デニス・E・テイラーの『われらはレギオン』(2016年)では事故死した主人公ボブが冷凍保存の末、自己複製探査機のAIとなる。他の星系に辿り着いたボブはそこで自身の複製を作り、あるものは新たな世界の探査へと、またあるものは地球へと旅立っていく。ボブの複製達もまた自身の複製を作り、いつしか数百人にもなったボブ達は、滅亡の危機に瀕した人類を救うため苦闘する。 ミリタリーサンドボックスゲームの『ARMA 3』の 拡張パック「Contact」(2019年)。シングルプレイヤーモードでは、本作の舞台の一つである架空の国のリヴォニア含め、地球上のさまざまな場所に一連の地球外ネットワーク構造が発見される。超大陸があった時代に地球に到着したフォン・ノイマン探査機の一種がネットワーク構造を建造したということが明らかにされる。
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