『エンブリオ浸蝕/炎生』の登場人物
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穂波 顕子(ほなみ あきこ) 登場作品:『エンブリオ浸蝕/炎生』『ハートレス・レッド』 県立深陽学園の生徒。かつて水乃星透子の「巫女」として行動を共にしていたが、彼女が死んだ際に記憶の大半を道連れにされたため本人はそのことを覚えていない。その数年後にエンブリオと出会った事で、水乃星透子の能力で仮託されていた<ストレンジ・デイズ>が一時的に復活する。確固たる理由もなく「守りたいという意思」に従おうとエンブリオとともに逃走するが、高代亨と弟の弘の安否を確認するため事件の渦中に姿を現しブギーポップと対峙することになる。その際、ブギーポップに殺される危険性を侵しながらもエンブリオを庇い続け、彼女の願いを聞き入れたブギーポップにエンブリオを託す。 高代亨にほのかな気持ちを抱いていたが、思いは伝えられないまま高代は姿を消した。 穂波 弘(ほなみ ひろし) 登場作品:『エンブリオ浸蝕/炎生』 穂波顕子の弟。危機的状況に陥っても思考は冷静で、事件中は気性の荒いフォルテッシモの反感を買うことなくその場に順応して行動していた。「エンブリオ」を持って逃げてきたサイドワインダーに直接接触した少年。その時エンブリオの影響を受けた事で、周囲の物事が彼に差し障りのない様に流れる無意識の能力<タイトロープ>を発現させ、意図せずに姉やフォルテッシモの運命にブギーポップを介入させ、姉の心に巣くっていた<ストレンジ・デイズ>の能力を引き出し、枯渇消滅させることに成功したことで姉を守り抜いた。 高代 亨(たかしろ とおる) / イナズマ 登場作品:『エンブリオ浸蝕/炎生』『ビートのディシプリン』『ヴァルプルギスの後悔』 ものの「弱点(隙)」「死線」が見える能力<イナズマ>を持つ19歳のフリーター。 「弱点(隙)」は空中に浮かぶ線として見え、その線をなぞるように攻撃することで、相手の反撃・防御・回避行動をかいくぐって最も脆い部分を的確に攻撃できる。「死線」もやはり空中に浮かぶ線として見え、「危険が存在する位置」を示している。たとえば銃で狙われているときに、その銃弾が発射後に描く軌道が線として(事前に)見える。簡単に言うと「どう攻撃すれば壊せるか」「どこに危険があるか」がわかる能力。そのためそれ自体には物理的な干渉力のない、感覚に限られた力でありながら、非常に戦闘向きの能力となっている。 予知のような力ではあるが、「線」からわかるのは「位置」だけで、線上で具体的にどのようなことが起きるかは(実際に起きるまで)わからない。しかし逆に言うと「よくわからない」「見えない」ものであっても、それが持つ「弱点」「危険」は「線」として視認することができる。例えば穂波顕子の<ストレンジ・デイズ>が伴う危険(死のエネルギーの消耗)も(具体的なことは分からなかったが)「死線」として視認できた。これは「弱点」についても同様であり、「死のエネルギー」そのものは見えなくても、「弱点」がどこにあるかは把握できるし、「弱点」を攻撃すれば破壊することもできる。作中ではそれを応用して、自身の「死のエネルギー」を切断し、わざと流出させることで他人に分け与えている。なお、「弱点」「死線」ともに空間上の存在に過ぎず、空間そのものを切断するフォルテッシモの能力には対応できない。空間切断の位置を「死線」で読むことはできないし、「弱点」を突いて攻撃しようとしても空間切断で「線」ごと破壊されてしまう。 なお、亨の事例からすると、「死のエネルギー」を他人に分け与えた場合、肉体的な生命力や体力や寿命が衰えるわけではなく、「何かあった時に死に到る可能性」が増えるらしい。加えて、亨自身はイナズマの能力で死の可能性の増幅には対応できるらしく、水乃星の行った実験と併せ考えると因果律及び、死にまつわる因果そのものを指している事が解る。 性格は温和だが、憧れの存在である榊原玄のような「サムライ」を目指しており、武道にも精通している。榊原の弟子である正樹と出会った事で、自身の信じた道は間違っていなかったと確信に至るも、フォルテッシモとの初戦でそれら全てを自らの弱さにより失ってしまう。結果、彼は高潔な強者である「サムライ」ではなく、身を落とした只の「イナズマ」として再びフォルテッシモに戦いを挑んだ。最強と名高いフォルテッシモと戦い、勝利した唯一の人物(ただし、場所や状況環境面に大きく影響を受ける)。 「イナズマ」の名付け親はフォルテッシモ。由来は本名の「亨」の読みが「とおる」なので、それを北欧神話の「雷神トール」に掛けて「イナズマ」とした。 『ビートのディシプリン』において登場した際には飛鳥井仁らと協力して動いており、統和機構とは対する立場になっていた。またその際のフォルテッシモとの再戦時には、フォルテッシモを翻弄する戦術を披露するも、攻撃を当てるには至らなかった。 『ヴァルプルギスの後悔』では氷の魔女アルケスティスに立ち向かえる程の胆力と精神力を見せるものの、成す術なく敗れた。 リィ舞阪(まいさか) / フォルテッシモ 登場作品:『エンブリオ浸蝕/炎生』『ビートのディシプリン』『沈黙ピラミッド』『化け猫とめまいのスキャット』『竹泡対談』『私と悪魔の100の問答』『ヴァルプルギスの後悔』『螺旋のエンペロイダー』 統和機構において「最強」の名を冠しているMPLS。「リィ舞阪」は本名であるかは不明。 好戦的で大胆不敵な性格をしており、自身が最強であることへの自覚と退屈さから、とにかく強い存在と戦うことを望んでいる。その事もあってブギーポップと対決を迎えそうな局面も見られたが、結果かわされてしまっている。また真に強い相手(能力の有無、合成人間であるかに関わらず)には敬意を払うが、戦闘能力の高い相手であっても、精神的な弱さを露呈した者には興味すら持たない。また、九連内朱巳のように独特の強者論を持つ相手を苦手とする。「最強」であるが事件後の事情聴取などの雑用に駆り出されることもある、その際は明らかにやる気のない態度を取る。 空間の罅割れを見る事ができ、更にそれを指で広げることが出来る<ザ・スライダー>の能力を持つ。これはあらゆるものを切断でき、生物を切断すれば肉体のみならず生命(死のエネルギー)そのものが切り裂かれるため、攻撃を受けた対象は同じ「生命の力」が補充されない限り傷は塞がらなくなる。同時にこれは攻撃を防ぐ盾にもなり、その効果は物理的な絶対防御は勿論、生命体であれば避ける事の出来ない魔女の波動すら遮断していた(詳しくは『ヴァルプルギスの後悔』参照)。他にも自らの足元の空間を切り刻み続けての高速移動や、体内に入った毒物の排除、ジェット機のような加速から、人の脳内の血管を斬り出す事まで、幅広く応用が利く。弱点は(無意識下でセーブしているため)射程距離が短いことと、攻撃と防御を同時には行えないこと。その点をイナズマに突かれ、フェイントとカウンターの合わせ技を食らって倒される。 彼の持つ真の資質は「無意識のレベルで油断をしない(出来ない)事」そのものであり、それゆえ強大な能力を完全に制御下に置く事を無意識下で常に行っている。イナズマとの戦いにおいても能力そのものを全開にしておらず、『ビートのディシプリン』でのビート&朝子との戦いにおいて、生まれて初めて自身の制御化から外れる程の力を発現させ、ザ・スライダーの秘められた力の一端を見せた。普段は隙だらけであるらしいが、それが問題にならない位の反応速度を備えている。オキシジェンとは顔見知りであるが、彼が中枢であることは知らない。 イナズマを見出し、その後も因縁を持つ相手となる。イナズマとの勝負後は『ビートのディシプリン』の主人公であるピート・ビートに強者の可能性を見出し、最終的に対峙する事となったが、戦いを終えた後ビートに対しては自身の気持ちに決着をつけた。 『竹泡対談』では、ブギーポップによって『ナイトウォッチ三部作』に登場する「人類の守護者」「鉄仮面」「星に触れる者」と呼ばれる存在、マイロー・スタースクレイパーとの邂逅が示唆されている。 パール 登場作品:『エンブリオ浸蝕/炎生』『ビートのディシプリン』『ヴァルプルギスの後悔』『オルガンのバランス』『螺旋のエンペロイダー』 統和機構がエコーズをコピーして生み出したマンティコア型合成人間。 原理は異なるもののエコーズ・マンティコア等と同様に変身能力を持っており、「百面相(パールズ)のパール」の異名をもつ。統和機構内における「マンティコア・ショック」と呼ばれるマンティコア逃亡事件・マンティコア型合成人間粛清の際に統和機構から命を狙われたために、組織を去って反統和機構組織「ダイヤモンズ」に逃げ込む。自らの力量を知り、豊富な実戦経験を積んでいる事から非常に立ち回り方が上手く、あらゆる危機的立場に対して柔軟に対応する。 当初は若い女性の姿をしていたが、変身の基盤である幼い少女の姿をとり、ジィドと共にアルケスティスと行動を共にし、その下で動いている。 螺旋のエンペロイダーでは三谷文としてNPスクールに潜入している。 エンブリオとの接触によってMPLS能力に目覚めており、能力名は不明だがその力は「終点の引き出す力」というもの。これは触れる事で、対象の潜在能力を引き出す事が出来るという、統和機構にとっては厄介な能力であった。 瀬川 風見(せがわ かざみ) / スワロゥバード 登場作品:『死神を待ちながら』『エンブリオ炎生』 統和機構のエージェントの一人で、ビジョンの友人。表向きの職業は女優。相手の表情を見て心理を読むことに長けている。外伝『死神を待ちながら』では主人公を務めた。「瀬川」の名前は名家らしく、彼女も名前のみが『メモリアノイズの流転現象』にも登場している。 サイドワインダー 登場作品:『エンブリオ浸蝕/炎生』 この物語のきっかけとなる人物。統和機構からエンブリオを持ち出し、裏切り者としてフォルテッシモによって処分されるが、死の間際に弘にエンブリオを託す。エンブリオの声が聞こえる者に自動で届ける能力を持つ。 ジ・エンブリオ 登場作品:『エンブリオ浸蝕/炎生』『化け猫とめまいのスキャット』『ビートのディシプリン』 卵型の携帯ゲーム機に宿る意識体。モ・マーダーが採取したキョウ兄ちゃんの脳波を基に、統和機構が造りあげた存在。人の持つ殻を打ち破らせ、“突破”させる力を持つ。オリジナルの記憶や面影は無く、賑やかで口数が多い悪態つきで事あるごとに自殺願望を口にする。穂波顕子と行動を共にするうちにその性格は丸くなり、生きるという行為に目を向けるようになる。現在はエジプト十字型のアクセサリーに移動し、フォルテッシモと行動を共にしている。彼の声が聞こえる=MPLSの素質を持つものであるためフォルテッシモ自身の仕事に少なからず役立っている。 本木 三平(もとき さんぺい) 登場作品:『エンブリオ浸蝕』 父と喧嘩して家出していた臆病なうえに不運な運命を持つ少年。穂波顕子が手にしていたエンブリオの声を聞き、恐怖や焦燥が最大限になった時にその感情を周囲の人間に感染させる<カウントダウン>の能力を開花させたが、その可能性を危惧したブギーポップに能力のみを殺され、自覚しないまま能力を失った。 柿崎 皆代(かきざき みなよ) 登場作品:『エンブリオ炎生』 交通事故で恋人を亡くした女性。生きる理由も無く呆然とした日々を過ごしていたところを穂波顕子に諭され、救われる。 キョウ兄ちゃん 声 - 新祐樹(第2作)登場作品: 『夜明けのブギーポップ』『エンブリオ浸蝕/炎生』 本名不明。他人の才能を開花させることのできるMPLSで、物語の始まる7年前モ・マーダーに殺された。その後、彼の脳波はモ・マーダーにコピーされてエンブリオとなる。生前、穂波顕子に死神の話をしていた。また死の間際にモ・マーダーに語った言葉は、彼の生涯に大きな影響を与える事になった。
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