宴席
『雨月物語』巻之3「仏法僧」 夢然父子が、高野山奥の院の霊廟前で通夜をする。夜がふけ、先払いの声とともに、高野山で自刃した関白秀次と家臣たちの霊が現れて、歌物語をし酒宴を開く。
『伽婢子』巻5-2「幽霊諸将を評す」 永禄7年(1564)7月15日の夕刻、鶴瀬安左衛門は恵林寺に赴き、すでに死没したはずの山本勘助らの武将を見る。死霊たちは軍法の問答や諸将の批評をし、酒を酌み詩を吟ずる〔*『剪燈新話』巻4「龍堂霊会録」が原話〕。
『椿説弓張月』後篇巻之4第25回 鎮西八郎為朝が讃岐の祟徳院の御陵に詣でる。夜の夢に為朝は、天狗道に堕ちた祟徳院と左大臣頼長・父六条判官為義たちの霊が、世を乱し平家を亡ぼす企てなどを語り、酒宴をするさまを見る。
『春雨物語』「目ひとつの神」 東国の若者が都で歌道を学ぼうと志し、上京する。彼は近江国まで来て、老曾(おいそ)の森で野宿し、目一つの神や天狗・狐・猿など妖怪たちの宴を見る。目一つの神は若者に酒を勧め、「今の乱れた世には、都に師とするに足る人物はおらぬ。故郷に帰り、隠れ住む良き師を探して学べ」と諭す。若者は納得し、故郷へ戻る。
『三国志演義』第61回 劉備玄徳と劉璋の酒宴の席で、魏延が劉璋を斬ろうとして剣舞を始めると、張任が同じく剣を抜いて相対し、ともに舞う。それを見た玄徳・劉璋双方の部下たちが次々に立ちあがり剣舞に加わるので、玄徳が「鴻門の会でもあるまいに」と叱る。
『史記』「項羽本紀」第7 鴻門での項羽と沛公(劉邦)の酒宴の席上、項荘が剣舞をよそおって沛公を斬ろうとする。それを察知した項伯は、剣を抜いて立ちあがり、舞いながら身を挺して沛公をかばう。
『千一夜物語』「アリババと四十人の盗賊」マルドリュス版第859夜 商人に変装した盗賊の首領を、アリババはそれと気づかず夕食に招く。侍女マルジャーナが商人の正体を見抜き、舞姫の衣装を着て剣の舞いを披露しつつ、すきをうかがって商人の心臓に短剣を突きたてる。
『歴史』(ヘロドトス)巻5-17~20 ペルシアの使節団7人が、マケドニアへ臣従の証拠を要求しに赴き、宴席で女たちとたわむれる。アレクサンドロスがひそかに女装した青年たちを送りこみ、ペルシアの使節団はみな刺殺される。
『今昔物語集』巻28-3 円融院が子の日の野遊びに船岳へ御幸され、上達部や殿上人に加えて能宣・兼盛ら5人の歌人も召される。曾禰好忠が、招待されていないのにやって来て座に着くが、押し問答の末、彼はその場からひきずり出される。
『赤死病の仮面』(ポオ) 蔓延する赤死病を避けてプロスペロ公が大伽藍にこもり、千人の騎士貴婦人を招いて仮装舞踏会を催す。宴たけなわの真夜中に、死顔の仮面に血まみれの装束の人物がいるのに人々は気づく。それこそは赤死病の化身であった。
『ダニエル書』第5章 ベルシャツァル(ベルシャザル)王と貴族1千人の酒宴の最中に、人の手の指が現れて壁に文字を記した。ダニエルが「メネ、メネ、テケル、パルシン」と読み解き、王の世の終わりを告げた。王はその夜のうちに殺された。
『眠れる森の美女』(ペロー) 王女が誕生し、洗礼式後の宴会に、名付け親として7人の仙女が招かれる。そこへ、50年以上も塔にこもっていたため招待されなかった老仙女が現れて、王女が紡錐で手を刺して死ぬ、との運命を予告する〔*『いばら姫』(グリム)KHM50では、黄金の皿が12枚しかないので、13人目の仙女が招待されなかった、とする〕。
『マクベス』(シェイクスピア)第3幕 スコットランド王となったマクベスは、将来、僚友バンクォーの子孫に王位を奪われることのないように、刺客を放ってバンクォーを殺す〔*バンクォーの息子は逃げて無事だった〕。その夜、マクベスは宮殿で晩餐会を開く。彼が挨拶を始めるとバンクォーの亡霊が現れ、マクベスの席につく。その姿はマクベス1人にしか見えない。マクベスは驚き恐れ、あらぬことを口走るので、マクベス夫人が宴会の中止を宣言し、客たちを帰らせる。
『ジェーン・エア』(C.ブロンテ) ジェーンとロチェスターの結婚式の最中、弁護士が現れて結婚の無効を訴える。実はロチェスターにはすでに精神病の妻がおり、彼は妻を屋敷内に隠していたのだった→〔夫〕6a。
『卒業』(ニコルズ) ベンとエレインとは恋人どうしだが、ベンはエレインの母ロビンソン夫人に誘惑されて関係を持っていた。それを知ったエレインはベンと別れ、両親の勧める青年と結婚式をあげる。ベンは結婚式の行なわれている教会に駆けつけ、ガラスをたたいて「エレイン。エレイン」と叫ぶ。エレインもそれに答え、2人は手に手を取って式場から走り去る。
『日本の夜と霧』(大島渚) 1960年、安保闘争の数ヵ月後。新聞記者・野沢と女子大生・玲子の結婚披露宴。玲子の同志だった学生・太田が会場へ入って来て、闘争から身を引き結婚生活へ逃げ込む玲子を咎める。野沢の旧友も現れ、かつて学生運動の活動家だった野沢の思想と行動を批判する。野沢は反論し、他の列席者たちもまきこんで、果てしない論争が続く。警察が来て太田を逮捕し、披露宴は大混乱になる。
『モンテ・クリスト伯』(デュマ)1~5 一等航海士エドモン・ダンテスは、乗り組んでいた船の船長が急死したため、19歳の若さで後任の船長に任命された。船の会計係ダングラールは、このことをこころよく思わなかった。ダンテスには美しい許婚メルセデスがいたが、従兄にあたるフェルナンは、彼女に横恋慕していた。ダングラールとフェルナンは、ダンテスに無実の罪を負わせ、告発する。ダンテスとメルセデスとの婚約披露の宴席に兵士らが踏み込み、ダンテスは逮捕される→〔濡れ衣〕1d。
『園遊会』(マンスフィールド) 少女ローラの家でガーデン・パーティが開かれる直前、「近所に住む荷馬車屋が、妻と5人の小児を残して事故死した」との知らせがもたらされた。ローラは「パーティを中止しよう」と言うが、姉も母も取り合わない。客たちの満足のうちにパーティは終わり、その後、残りのサンドウィッチや菓子を持って、ローラは荷馬車屋を弔問する。
★4.宴席での哲学的議論。
『饗宴』(プラトン) 紀元前416年、夜長の季節に属するある日。アガトン邸の晩餐会に、ソクラテスをはじめとする市民たちが招かれた。食事の後は酒宴になって、席の右廻り順に1人ずつ、エロス(愛)讃美の演説をした(*演説者の1人アリストファネスは、なぜ人間が伴侶を求めるか、その起源を説く神話を語った→〔人間〕1b)。夜が更け、帰る者・眠る者がいたが、ソクラテスとアガトンとアリストファネスは、朝まで何事かを論じ合っていた。
『アイズ ワイド シャット』(キューブリック) 医師ビルは変装して、ある館の仮装パーティに潜入する。そこでは、仮面をつけた大勢の裸体の男女による乱交が行なわれていた。ビルは部外者であることを見破られ、制裁を受けそうになる。その時、仮面に裸体の1人の女が「私が身代わりになるから、彼を解放してほしい」と訴える。ビルは無事に館から出ることができた。翌日、高級娼婦マンディーが薬物中毒死する。彼女は、昨夜の仮面の女だった。マンディーの死が不慮の中毒死なのか、それともビルの身代わりに殺されたのかは、わからなかった→〔麻薬〕4。
「 宴席」の例文・使い方・用例・文例
- 宴席に待す
- 宴席に侍る女だ
- 宴席などで歌をうたって興をそえる女性
- 陰間をかかえ,宴席にはべらした茶屋
- 宴席で最初に演奏する祝儀の曲
- 宴席での食べ残
- 鎌倉時代から室町時代において,宴席で歌われた歌
- 宴席などで祝儀を入れて与える袋
- 肉が豊富で宴席が豪華であること
- 宴席の後,杯や皿鉢などが散乱していること
- 宴席の後,杯や皿鉢などが散らばっているさま
- 昔の宴席におけるうたいもの
- ほかの宴席
- 京都の祇園で,舞を舞って宴席に興を添える少女
- 昔,宿場などの宴席で歌舞の芸をしてみせた女
- 宴席で,席が入り乱れた中で酒を飲むこと
- 夜通し飲み続ける宴席
- テーブルスピーチという,宴席などでの短い挨拶
- 芸者を宴席に呼んで遊ぶ
宴席と同じ種類の言葉
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