ものとは? わかりやすく解説

もの

【一】[接助]口語では活用語終止形文語では活用語連体形に付く。順接確定条件を表す。…(だ)から。…ので。「ゆくゆくは社長となる人です—、しっかりしているわ」「彼は努力家だ—、きっと成功する

「わしもこなさん女房ぢゃ—、何の忠儀を忘れませうぞ」〈伎・幼稚子敵討

【二】[終助]

活用語終止形に付く。多く「だって」「でも」と呼応して用いる。現代では多く女性子供の間で使われるが、時に撥音化して「もん」となることもある。

不平・不満恨みの意を込めながら、相手自分対す非難対し根拠理由示し反駁(はんばく)、訴え甘えなどの気持ちを表す。「だって時間がないんです—」「でもお父さんがそうおっしゃったんです—」

㋑(「ものね」「ものな」などの形で)詠嘆の意をこめて理由を表す。「でもあなたと私とでは考え方違います—ね」「なるほど、それは彼のお得意だ—な」

文末で、活用語連体形に付く。

逆接的な気持ち込めて詠嘆する意を表す。…のになあ。…のだがなあ。

我が持てる三つあひに搓(よ)れる糸もちて付けてまし—今そ悔やしき」〈五一六〉

順接確定条件含み詠嘆感動の意を表す。…だからなあ。

「もっともぢゃ、もっともぢゃ、道具屋の娘ぢゃ—と」〈浄・卯月の潤色

[補説] 上代の「もの」は形式名詞から、近世以後の「もの」は終助詞「ものを」の音変化したものという。


モノ【mono】

読み方:もの

他の外来語の上付いて単一の、単独の、の意を表す。「—レール


もの【物】

読み方:もの

【一】[名]

空間のある部分占め人間感覚でとらえることのできる形をもつ対象

物体物品。「ごつごつした—に手が触れる」「山の上に光る—がある」

商品また、その質。品質。「同じような—が大量に出回る」「高いが—はよい」

着物衣服。「白っぽい—を着る」

食物。「歩きながら—を食う」「—がのどを通らない

民法で、有体物権利客体となりうるもの。

人間考えることのできる形のない対象

㋐何かの事柄物事。「—の役に立つ」「—を思う」「恋という—」

㋑ことば。「あきれて—も言えない

文章また、作品。「—を書くのを商売にする」「この作品十年前描かれた—だ」

学問

「己れは此様(こん)な無学漢(わからずや)だのにお前は—が出来るからね」〈一葉たけくらべ

物事筋道道理理屈。「—の順序わきまえる

妖怪怨霊など、不可思議な霊力をもつ存在。「—に憑(つ)かれる」「—の怪」

(「…のもの」の形で)所有している物品事物所有物。「会社の—を私する」「その企画彼の—だ」

他の語句受けて、その語句内容体言化する形式名詞

判断などを強調して示す。「負けたのがよほどくやしかったと見える」「何をされるかわかったじゃない

感動する気持ち強調して示す。「二人とも大きくなった—だ」「悪いことできない—だ」

㋒(「…するものだ」の形で)それが当然であるという気持ちを示す。「先輩忠告聞く—だ」「困ったときは助け合う—だ」

㋓(「…したものだ」の形で)過去思い出してなつかしむ気持ちを示す。「あの店にはよく二人で行った—だ」

名詞の下に付いて複合語をつくる。

㋐その種類にはいる品物作品の意を表す。「SF—」「現代—」

㋑それに相当するものそれだけ価値のあるもの、などの意を表す。「冷や汗—」「表彰状—」→もの助詞 →ものか連語ものかな連語ものかは連語 →ものから[接助] →ものぞ連語 →もので[接助]ものなら[接助] →ものの[接助]ものゆえ[接助] →ものを助詞

【二】[接頭]形容詞形容動詞語幹に付く。

なんとなくそのような状態であるという意を表す。「—悲しい」「—寂しい」「—静か」

いかにもそうであるという意を表す。「—めずらしい」「—すさまじい」

[下接句] 縁は異なもの味なもの自家薬籠中(やくろうちゅう)の物・人は見かけによらぬもの故郷(ふるさと)は遠きにありて思うもの・銘の物薬籠中の物


もの【者】

読み方:もの

《「物」と同語源》人。多く他の語句による修飾を受ける。卑下軽視する場合や、改まった場合用いられる。「店の—に言いつけください」「土地の—に任せる」「持てる—の悩み

[下接語] 愛嬌(あいきょう)者・暴れ者荒くれ者慌て者悪戯(いたずら)者・一刻者一徹者田舎者浮かれ者うっかり者・空(うつ)け者・浮気者・偉(えら)者・おいそれ者・御(お)尋ね者御店(おたな)者・御(お)調子者・戯(おど)け者・思い者愚か者囲い者果報者変わり者利け者・気紛(きまぐ)れ者・切れ者・曲(くせ)者・食わせ者剛の者極道(ごくどう)者・困り者小者・晒(さら)し者・然(さ)る者・仕合わせ者・強(したた)か者・確(しっか)り者・忍びの者邪魔者洒落(しゃれ)者・小心者小身者・痴(し)れ者・好き者・拗(す)ね者・粗忽(そこつ)者・只(ただ)者・立て者・戯(たわ)け者・手の者道化者道楽者流れ者亡き者慰み者何者怠け者ならず者成り上がり者偽者似た者人気者・除(の)け者・のら者・馬鹿(ばか)者・働き者日陰者引かれ者独り者・捻(ひね)くれ者・無精(ぶしょう)者・不束(ふつつか)者・回し者昔者無宿者無法者やくざ者厄介者余計者余所(よそ)者・与太者利口者律義者若い者若者渡り者笑われ者悪者


もの 【物】

日本で物は種々な意味でつかわれるが、仏・神・鬼・魂などの霊妙な作用もたらす存在をもいう。邪神妖怪物の怪などにもいう。

もの

単語 発音 意味、用例 関連語
もの もの 【名】 (家畜などの)エサ

»仙台弁発音についてこちら

もの

方言共通語使用例または説明
もの腫れ物「ものができたらドクダン貼る直るってね」(腫れ物ができたらドクダミ張る直るそうです

~もの(もね)

甲州弁意味用例
~もの(もね)でしょう、~しましょうへえいくらもの(もう行くでしょう

もの

方言共通語・該当漢字語意解説または【使用例
もの 異物 【…が刺さる・…が詰まる】

もの’

但馬方言共通語用例備考
もの’ できもの 足にものができて、いてーわ(痛いわ)。   

もの

品詞名詞
標準語》(皮膚にできる化膿した化膿しそうな)できもの、おでき。
用例》「ケツにものができて、いちゃあ」(お尻できものができて、痛い)。
追加情報因幡地方では、「もの」は「にさされてできるようなポッチ」のイメージそうです

もの

  1. 昆布類。〔第六類 器具食物

もの

  1. 着物。〔関西
  2. 着物のこと。〔関西

分類 関西

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(もの から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/08 14:52 UTC 版)

ものぶつ)とは、広義には対象を特定化せず一般的・包括的にいうであり、人間が知覚し思考しうる対象の一切である[1]英語ではthing


  1. ^ 『大辞林-第二版』、三省堂 「もの」
  2. ^ 小南一郎「第2章 2 精霊としての"物"」『古代中国 天命と青銅器』京都大学学術出版会、2006年。ISBN 978-4876988143 


「物」の続きの解説一覧

もの

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/12/06 08:43 UTC 版)

14歳 (漫画)」の記事における「もの」の解説

グランドマスター・ローズの細胞から作られ人工人間プロレスラー娼婦亡くなった人間まで自由自在にその形状変えることができる。正体言い当てられると砂となって消える。非常時には食糧としての役目も果たすとされる地球破滅直前には自我目覚め狂暴化し人類襲いだす。

※この「もの」の解説は、「14歳 (漫画)」の解説の一部です。
「もの」を含む「14歳 (漫画)」の記事については、「14歳 (漫画)」の概要を参照ください。

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もの

出典:『Wiktionary』 (2021/12/12 08:37 UTC 版)

名詞:物

もの

  1. 姿すがたかたちのあるまとまり。ひとつの意味持ったまとまった存在
    1. 商品衣服食べ物などを漠然と指す。
    2. 所有物所属物。
    3. 商品製品
      • ものがいい。
  2. 転じて実際には存在しないが、頭の中で考えられる存在
    1. 言葉道理世事文章作品学問知識ことがらなどを漠然と指す。
    2. 習得によって水準達した状態
    3. 困難難敵
  3. 妖怪怨霊など。
  4. (法律) 物権端的に所有権客体となる有形財。もの区別するために、慣行的にブツ」と読むことがある
  5. 接尾辞的に)
    1. その分野種類属す事物など。
    2. 相当する事物
    3. 動詞連用形について、行為対象生成物
  6. (「ものの」の形で連体詞的に)ほんの。わずかの。
    • ものの五分とかからなかった。

発音

語源

古典日本語もの」(物) < 古代日本語 mönö < 日本祖語 *mənə

関連語

熟語

翻訳

名詞:者

もの

  1. ひと。(尊敬語には使わずかたを使う。謙譲語には使われる形式名詞または接尾辞として用いられる

発音

類義語

翻訳

名詞:形式名詞

もの

  1. 事物について、同じ言葉繰り返し避けるために代名詞的用いる。
  2. (ものだ)それが当然である、そのような性質持っている、といった意味を表す。
  3. (ものだ)社会的常識伝えることによって、アドバイス命令などを行う。また戒め後悔気持ちを表す。
  4. 強調を表す。
  5. 詠嘆ニュアンスを表す。
  6. 過去習慣的行為回想的に表す。
  7. 感じられる部分感覚といった意味を表す。
  8. 水準程度同等といった意味を表す。
  9. 可能形+ものではない、など)不可能であることを強調する
  10. (ものか、など)反語強調する
    • 誰がやるものか。
    • そんな話があってたまるものか。
  11. したものか、などの形で)妥当適切といった意味を表す。すべきか、するのがいいか。
  12. 詳しい内容事情を表す。
  13. (もので)後に続く語句に文修飾副詞的にかかる。〜ことに。
  14. (ものとみえる、ものと思われる、など)様子推測内容といった意味を表す。
  15. ものとする、など)規定決定事項などを表す。

動詞

ものするする

  1. 詩文などを作る

活用

助詞

終助詞接続助詞

もの

  1. 詠嘆ニュアンスを表す。もん。から。
  2. 理由を示す。もん。から。

複合助辞

副助詞「も」+格助詞「の」

  1. 格助詞「の」の機能加え数量が多いことを表す。

名詞

もの

  1. 現代語語義1,2,3)物。
  2. ひともの
  3. あるところ

語源

古代日本語 mönö < 日本祖語 *mənə

発音

二拍名詞三類(?)

助詞

もの

  1. 感動詠嘆を示す。~からなあ。
  2. 上代語終助詞逆説的に感動詠嘆を示す。~のになあ。
  3. 近世語終助詞接続助詞理由を示す。~から

接頭辞 

もの

  1. 形容詞形容動詞付いてなんとなく」の意を表す。



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「もの」の例文・使い方・用例・文例

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