こと【事】
読み方:こと
《「言(こと)」と同語源》
「もの」が一般に具象性をもつのに対して、思考・意識の対象となるものや、現象・行為・性質など抽象的なものをさす語。
1 世の中に起こる、自然または人事の現象。事柄。出来事。「—の真相」「—の起こり」
2 大変な事態。重大な出来事。「失敗したら—だ」「ここで—を起こしたら苦労が水の泡だ」
4 物事の状態や経過。また、それを中心とした事情。いきさつ。「—を見守る」「—と次第によっては許さないでもない」
5
㋑生命。
「この僧、彼の女に合宿して、—ども企てけるが」〈著聞集・二〇〉
他の語句をうけて、その語句の表す行為や事態を体言化する形式名詞。
2 ある対象に関連する事柄。「映画の—は彼が詳しい」「後の—は君に一任する」
3 心情や動作の向かっている対象。「君の—が好きだ」「家族の—を大切にする」
6
㋐(「…ということだ」「…とのことだ」などの形で)噂。伝聞。「彼も結婚したという—だ」
㋑(「…ことがある」などの形で)場合。「ときどき郵便物が返ってくる—がある」
㋒(「…ことがある」などの形で)経験。「アメリカなら行った—がある」
㋓(「…ことはない」などの形で)必要。「そこまでしてやる—はない」
㋔(「…だけのことはある」などの形で)価値。「専門家に任せただけの—はあって、見事な出来だ」「わざわざ出かけただけの—はあった」
㋕(「…のことだ」などの形で)ある言葉の指し示す対象である意を表す。「九郎判官とは源義経の—だ」
㋖(「…ことにする」「…こととする」などの形で)決定する意を表す。「やっぱり田舎に帰る—にするよ」
㋗(「…ことにしている」などの形で)意図的な習慣にしている意を表す。「毎朝ジョギングする—にしている」
㋘(「…ことになる」「…こととなる」などの形で)結果的にそうなる意を表す。「今度の会談で、国際情勢は新たな局面を迎える—になった」
㋙(「…ことになっている」などの形で)既に規則や予定で、そう決まっている意を表す。「法律で弁償しなくてはならない—になっている」「来秋から留学する—になっている」
㋚(「…ことだ」などの形で)話し手自身の判断に基づいた進言・忠告である意を表す。「入院を機に、ゆっくり休む—だ」「彼にはよく謝っておく—だな」
㋛(「…をこととする」などの形で)その行為に没頭していること、それを当面の仕事としていることを表す。「晴耕雨読を—とする」
「銭積もりて尽きざるときは、宴飲声色を—とせず」〈徒然・二一七〉
7 それに関して言えば、の意を表す。「私—この度転居致しました」
8 通称・雅号などと本名との間に用いて、両名称の指す人物が同一であることを表す。「楠公(なんこう)—楠木正成」
9 活用語の連体形に付いて句を体言化し、そこに述べられた事柄をきわだたせる意を表す。「未来を予知する—ができる」「走る—は走るけれど、遅い」「間もなく帰る—と思います」
10 形容詞・形容動詞の連体形に付いて、その状態を強調する意を表す。「長い—お世話になりました」「不思議な—にからだが宙に浮いた」
11 「の」を介して程度を示す副詞に付き、さらに強調する意を表す。「なおの—悪い」「いっその—やめたらどうだ」
㋐動詞の連用形、名詞、形容動詞の語幹に付いて、事柄としての行為や状態を表す。「考え—」「悩み—」「色—」「きれい—」
㋑真似をする遊びであることを表す。「まま—」「鬼—(=鬼ごっこ)」
13 活用語の連用形に付いて、句を体言化する。→こと[終助]
[下接語] 当て事・好(い)い事・一つ事・若しもの事・我が事(ごと)遊び事・徒(あだ)事・他(あだ)し事・荒(あら)事・案じ事・粋(いき)事・痛事・入れ事・色事・祝い事・憂い事・絵空事・大事・公(おおやけ)事・鬼事・隠し事・隠れ事・賭(か)け事・考え事・綺麗(きれい)事・稽古(けいこ)事・景事・芸事・拵(こしら)え事・酒(さか)事・杯事・定め事・戯(ざ)れ事・仕事・実(じつ)事・忍び事・修羅(しゅら)事・冗談事・勝負事・所作(しょさ)事・心配事・空事・徒(ただ)事・茶事・作り事・艶(つや)事・出来事・手事・内証(ないしょ)事・慰み事・何事・習い事・濡(ぬ)れ事・願い事・祈(ね)ぎ事・囃子(はやし)事・僻(ひが)事・人事・秘め事・節事・振り事・舞事・禍(まが)事・真似(まね)事・飯(まま)事・見事・密(みそ)か事・無駄事・物事・揉(も)め事・約束事・俏(やつ)し事・由(ゆえ)無し事・余所(よそ)事・和事・業(わざ)事・私事・笑い事
ごと【事】
じ【事】
読み方:じ
[音]ジ(呉) ズ(慣) [訓]こと つかえる
〈ジ〉
1 ことがら。できごと。「事件・事故・事項・事実・事情・事態・事典・事物/火事・記事・行事・故事・惨事・私事・叙事・珍事・無事」
[名のり]つとむ・わざ
ず【事】
読み方:ず
⇒じ
じ 【事】
事
事
事
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/08 16:42 UTC 版)
事(こと)、事(じ)。
概要
以下は新漢語林(2008年)から引用した字義。
- こと。ものごと。ことがら。しごと、つとめ。できごと。まつりごと。
- こととする(こととす)。専念する。努め行う。
- つかえる(つかふ)。
- 用いる。使う。使役する。
- とどまる。
大辞泉では主に二つの用法がある。
語源
日本語の「こと」は、言(こと)と同語源である[1]。
字源
「事」はもと「吏」と同一の字で[2]、秦の時代に分化した[3]。形の起源としては、史官を象徴するある種の道具を手に持ったさまを象るとされるが、具体的な由来は明らかではない[4][5]。
仏教
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事(じ)は理に対する言葉。
事は個別的具体的な事象・現象を意味し、理は普遍的な絶待・平等の真理・理法を指す。このような概念はインド仏教では顕著ではなく、また漢訳仏典にも現れない中国仏教に独特のものである。
ことに華厳では、事と理は融通無碍の関係にあると説き、四法界や三重観門などの教理を作り上げて、普遍的な理と個別的具体的な事とか一体にして不可分であることを強調した。
- 密教では、理を摂持の義と解して、一切の事相がおのおのその体を摂持するから、これを理として、理の体を地水火風空識の六大とする。
出典
- ^ デジタル大辞泉-こと【事】
- ^ 于省吾 (1979). “釈古文字中付画因声指事字的一例”. 甲骨文字釈林. 北京: 中華書局. pp. 446–7
- ^ 陳侃理 (2014). “里耶秦方与“書同文字””. 文物 2014 (9): 77–8.
- ^ 林志強等 (2017). 《文源》評注. 北京: 中国社会科学出版社. p. 279. ISBN 978-7-5203-0419-1
- ^ 葛亮 (2021). “古字新識(二十三)――説“中”“外””. 書与画 2021 (11): 49.
事
事
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「事」の例文・使い方・用例・文例
- 彼にはその仕事をする力はないと思う
- 刑事はその男が有罪だという確たる証拠を握った
- 彼はその仕事で全エネルギーを使った
- 彼はその仕事を快く引き受けてくれた
- 事前従犯者
- 彼は帰宅途中で事故にあった
- 彼女は交通事故で死んだ
- きのう自動車事故があった
- 不注意で事故が起きることがよくある
- 事故は起こるものだ
- 不慮の死,事故死
- 仕事をやり遂げました
- 彼は警察に事故についてすべて話した
- 事件の正確な報道
- 仕事にはすぐ慣れるでしょう
- だれも努力なしには何事も成し遂げられない
- 決定を下す前に事実をよく知らなければだめです
- 民事訴訟
- 彼は事業家としてはやり手だ
- 車庫を仕事場として使えるように改造した
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