核戦争 核戦争の危機

核戦争

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/07 10:58 UTC 版)

核戦争の危機

トライデント (ミサイル) I ミサイルとその再突入体
RT-2PM トーポリのTEL車両 (2008年モスクワで行われた軍事パレードでの撮影)

冷戦

敵方における核爆発はなかったものの、自らの勢力の武力を誇示する目的で、核兵器の開発、核実験が行われた。RT-2PM冷戦時代ソビエト連邦によって開発されたICBMである。

大気圏内核実験は、実験に参加した兵士(アトミック・ソルジャー)および核実験場近くに居住する米国市民を蝕み、放射線障害を訴える被災者が発生した。ネバダ砂漠には大規模な核実験場があり、当時、西部劇の野外撮影が行われていた。このため、西部劇関係者には白血病の患者が多いとされる。(参考文献:「ジョン・ウェインはなぜ死んだか」広瀬隆

その他、冷戦中には、偶発的核戦争の危機が現実に幾度か存在した。キューバ危機が有名であるが、他に1983年のペトロフ中佐の事件エイブル・アーチャー83英語版などが知られる。

インドおよびパキスタン間の緊張

南アジアインドパキスタン独立以来、三度の印パ戦争を行い、現在でも緊張状態にある。インドは1974年に初の核実験を行い、1998年5月に再度核実験を行った。

パキスタンも1998年5月に核実験を行い、核兵器開発能力を示した。このため、再度、印パ戦争が勃発したときは、両国間の核戦争になる恐れが生じていた[6]

アメリカの戦術核に対する懸念

アメリカのブッシュ政権は抑止力としての役割を果たす戦略核兵器の縮小に代わり、戦術核兵器の使用を公言していた。これはより限定的な範囲を核兵器で攻撃するための兵器を指す。

2022年ロシアのウクライナ侵攻

2022年2月24日、ロシアウクライナ侵攻を開始した。しかし、ウクライナ軍の徹底抗戦により計画に大きな遅れが出たことと、北大西洋条約機構(NATO)首脳らによる批判的な声明と西側諸国の対ロ経済制裁を受けて、2022年2月27日にロシアウラジーミル・プーチン大統領が戦略的核抑止部隊[7]に特別警戒を命じた[8]。ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣は「第三次世界大戦は核(戦争)となり、破壊的なものになるだろう」と発言している[9]


  1. ^ Zeeberg, Amos (2015年5月6日). “Why Hasn’t the World Been Destroyed in a Nuclear War Yet?”. Nautilus. 2021年7月11日閲覧。
  2. ^ 民族主義は多かれ少なかれどの国にもあるが、過度な民族主義は暴走する傾向がある。そもそも、実際に使うつもりで世界で最初に核兵器を秘密裏に開発し始めたのはドイツの民族主義者アドルフ・ヒトラーであった。「自民族だけが優れる。自民族だけを守る。」という思想は、たいてい「他民族はどうでもいい、他民族は滅んでいい。他民族を絶滅させる」という発想にたどり着き、過度な民族主義者が独裁者になり国の全権を独りで握ると、実際に他民族の絶滅させようとしたり(ホロコースト)、他民族を絶滅させるための兵器(大量殺戮兵器)を開発しはじめる。第二次世界大戦時には、極端な民族主義状態であった日本政府も原爆開発に着手していた(日本の原子爆弾開発)。ドイツと日本が秘密裏に原爆開発を行っていることを諜報活動で察知したイギリスやアメリカ側は、対抗措置で急いで原爆開発に秘密裏に着手、最初はイギリスが先行したが途中からイギリスは開発はアメリカでするべきだと判断し、アメリカが先に開発・製造にたどり着き、アメリカ政府はそれを先手で使用し、戦争の決着がつき、民族主義者によって原爆が使用される事態は防いだ。現在ではロシア民族主義をかかげるウラジーミル・プーチンが核兵器の使用にしばしば言及しており、ウクライナ侵攻以降、その発射装置をボディーガードに持たせ自分の手元に常に置いている状態だと、報道陣や世界各国にあえて意図的に見せつけている。
  3. ^ ロシアが1発でも核兵器を使うと最初の数時間で死傷者が9150万人に達するという研究結果”. GIGAZINE (2022年4月21日). 2022年4月22日閲覧。
  4. ^ アメリカとロシアが核戦争すると50億人以上が飢えて死ぬと試算”. GIGAZINE (2022年8月16日). 2022年9月16日閲覧。
  5. ^ 「局地的な核戦争でも数十億人死亡」すすの影響で地球規模の飢餓に”. Forbes JAPAN (2022年8月27日). 2022年9月16日閲覧。
  6. ^ 氷河期到来、飢餓の発生、死者1億人超…もし印パ戦争で核が使われたら | Business Insider Japan”. www.businessinsider.jp. 2022年3月1日閲覧。
  7. ^ 通常抑止力として扱われる核兵器を運用する部隊
  8. ^ プーチン氏、核抑止部隊に「特別警戒」命令 ゼレンスキー氏、ベラルーシ国境での交渉に合意”. BBCニュース (2022年2月27日). 2022年2月27日閲覧。
  9. ^ 「第3次世界大戦は核戦争に」 ロシア外相が威嚇(写真=AP)”. 日本経済新聞 (2022年3月2日). 2022年3月17日閲覧。
  10. ^ ソ連発表の地図に異変 西部の町、鉄道位置が大移動 核攻撃を想定し偽装?『朝日新聞』1970年(昭和45年)2月4日朝刊 12版 14面
  11. ^ a b Fear of nuclear war increases the risk of common mental disorders among young adults: a five-year follow-up study”. 2022年5月24日閲覧。
  12. ^ MPH, Stephanie Collier, MD (2022年5月23日). “War anxiety: How to cope” (英語). Harvard Health. 2022年5月24日閲覧。
  13. ^ 核戦争のこと。著者の佐藤大輔は自身の架空戦記群内で、核兵器を「反応兵器」と言い換えている(同じように原子爆弾は「反応弾」、水素爆弾は「融合弾」と言い換えられている)。


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