サイバーセキュリティ 日本国のサイバーセキュリティ推進体制

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サイバーセキュリティ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/07 19:32 UTC 版)

日本国のサイバーセキュリティ推進体制

サイバーセキュリティ基本法

サイバーセキュリティ基本法はサイバーセキュリティに対する脅威の深刻化と内外の諸情勢の変化に伴って2014年に可決、2016年に改正された法律である。この法律の目的はサイバーセキュリティに関する施策を総合的かつ効果的に推進し、経済の向上と持続的発展、国民の安心・安全、国際社会の平和と安全、および日本国の安全保障に寄与する事である(第一条)[481]

またこの法律は、サイバーセキュリティの施策に関する基本理念、国や地方公共団体の責務、サイバーセキュリティ戦略の策定など施策の基本事項を定め、さらにサイバーセキュリティ戦略本部を設置する事を定める(第一条)[481]

サイバーセキュリティ戦略本部と内閣サイバーセキュリティセンター

サイバーセキュリティ基本法第24条により内閣にサイバーセキュリティ戦略本部を置く事が定められており[482]、内閣官房組織令第1条により内閣官房に内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)を置く事が定められている[483]。サイバーセキュリティ戦略本部の庶務はNISCが行うこととされている。それぞれの概要は下記のとおりである[484][482][485][486]

組織名 根拠法令 構成員 役割 関連組織
サイバーセキュリティ戦略本部 サイバーセキュリティ基本法第24条 以下の事の事務(26条1項):
  1. サイバーセキュリティ戦略の案の作成及び実施の推進
  2. 政府機関などにおけるサイバーセキュリティに関する対策の基準の作成、およびその基準に基づく施策の評価、監査等の施策の実施の推進
  3. 政府機関などで発生したサイバーセキュリティに関する重大な事象に対する施策の評価
  4. (原因究明のための調査を含む)

開催する会議として以下がある:

  • サイバーセキュリティ対策推進会議(CISO等連絡会議)
  • 重要インフラ専門調査会
  • 研究開発戦略専門調査会
  • 普及啓発・人材育成専門調査会
下記と緊密連携を取る
  • 国家安全保障会議(NSC)
  • 高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部(IT総合戦略本部)
内閣サイバーセキュリティセンター(NISC) 内閣官房組織令第1条
  • 内閣サイバーセキュリティセンター長(内閣官房副長官補が兼務。4条の2第3項)
  • 副センター長(内閣審議官)
  • 上席サイバーセキュリティ分析官
  • サイバーセキュリティ補佐官
基本戦略グループ サイバーセキュリティ政策に関する中長期計画や年度計画の立案

サイバーセキュリティ技術動向等の調査・研究分析

下記と協力体制を取る:
  • 重要インフラ所管省庁
    • 金融庁
    • 総務省
    • 厚生労働省
    • 経済産業省
    • 国土交通省
  • 閣僚本部員6省庁
    • 警察庁
    • デジタル庁
    • 総務省
    • 外務省
    • 経済産業省
    • 防衛省
国際戦略グループ サイバーセキュリティ政策に関する国際連携の窓口機能
政府機関総合対策グループ 政府機関等の情報セキュリティ対策を推進するための統一的な基準の

策定、運用及び監査

情報統括グループ サイバー攻撃等に関する最新情報の収集・集約

政府機関情報セキュリティ横断監視・即応調整チーム(GSOC)の運用

重要インフラグループ 重要インフラ行動計画に基づく情報セキュリティ対策の官民連携
事案対処分析グループ 標的型メール及び不正プログラムの分析

その他サイバー攻撃事案の調査分析

サイバーセキュリティ担当大臣

サイバーセキュリティ戦略本部に関する事務を担当する国務大臣の通称としてサイバーセキュリティ担当大臣と呼ぶことがある。事務局であるNISCは内閣官房に属するが、同国務大臣担当大臣内閣府特命担当大臣とも異なる無任所大臣であり、辞令等によってサイバーセキュリティ担当とする補職が行われているものではない。デジタル市場競争本部の設置について(2019年9月27日閣議決定)などにおいて、本部員に「サイバーセキュリティ戦略本部に関する事務を担当する国務大臣」が指定されている。

サイバーセキュリティ協議会

平成30年のサイバーセキュリティ基本法改正によりその創設が決定された[487]。その目的は「専門機関等から得られた脅威情報を戦略的かつ迅速に共有」する事であり[488]、そのために「官民の多様な主体が相互に連携して情報共有を図り、必要な対策等について協議を行う」[488]。NISCと専門機関を事務局とし[488]、国の行政機関、地方公共団体、重要インフラ事業者、サイバー関連事業者、教育研究機関、有識者等をその構成員とする[488]。構成員には秘密保持と協議会への情報提供の協力とが課せられる[488]

サイバーセキュリティ戦略

サイバーセキュリティ戦略本部はサイバーセキュリティ戦略というサイバーセキュリティに関する基本的な計画を作り、閣議決定する[482][489]。その内容は下記のとおりである(サイバーセキュリティ基本法12条2項)[482]

  1. サイバーセキュリティに関する施策についての基本的な方針
  2. 国の行政機関等におけるサイバーセキュリティの確保に関する事項
  3. 重要社会基盤事業者や地方公共団体等におけるサイバーセキュリティの確保の促進に関する事項
  4. その他サイバーセキュリティに関する施策を総合的かつ効果的に推進するために必要な事項

政府統一基準

サイバーセキュリティ基本法第26条第1項第2号には、サイバーセキュリティ戦略本部がつかさどる事務の一つとして、「国の行政機関、独立行政法人及び指定法人におけるサイバーセキュリティに関する対策の基準の作成及び当該基準に基づく施策の評価(監査を含む。)その他の当該基準に基づく施策の実施の推進に関すること」が定められている[482]

統一基準群は以下の 3 つの文書の総称である[490]

名称 概要
政府機関等のサイバーセキュリティ対策のための統一規範[491] 機関等がとるべき対策の統一的な枠組みを定めたもの。
政府機関のサイバーセキュリティ対策のための統一基準[492] 情報セキュリティ対策の項目毎に機関等が遵守すべき項目を規定することにより、機関等の情報セキュリティ水準の斉一的な引き上げを図ることを目的とするもの。
政府機関等の対策基準策定のためのガイドライン[493] 統一基準の遵守事項に対応した基本対策事項を例示したもの。併せて、対策基準の策定及び実施に際しての考え方等を解説。

GSOC

GSOC(Govrenment Security Operation Coordination team)はNISCの情報統括グループにより運営されているセキュリティ横断監視・即応調整チーム[494]。中央省庁、独立行政法人、特殊法人、認可法人を監視対象とする[495]。2018年現在、法人の対象は日本年金機構、地方公共団体情報システム機構、地方公務員共済組合連合会、地方職員共済組合、都職員共済組合、全国市町村職員共済組合連合会、国家公務員共済組合連合会、日本私立学校振興・共済事業団、公立学校共済組合の9つ[495]

これら指定法人では、統一的な基準の策定、情報システムの不正監視と分析、サイバーセキュリティ演習、関係機関との連携、情報共有などの施策を講じねばならない[495]

情報セキュリティー緊急支援チーム(CYMAT)

CYMAT(Cyber Incident Mobile Assistance Team)[496]は、政府機関等へのサイバー攻撃に対して被害拡大防止、復旧、原因調査、再発防止のための技術的支援をしているNISCの組織である[497][498]。平常時には研修や訓練も実施している[498]

政府共通プラットフォーム

政府全体でシステム基盤を共有化するプラットフォーム[499]。2009年に政府が掲げた「霞が関クラウド(仮称)」を構想化したもので[499][500]、2013年3月18日から運用を開始[500]。クラウドコンピューティングなどのICT技術を活用する事で、各府省の政府情報システムを統合、共通機能を一元的に提供する[500]

クラウドコンピューティングをはじめとする最新の情報通信技術(ICT)を活用し、従来は各府省が個別に整備・運用していた政府情報システムを統合・集約するとともに、共通機能を一元的に提供する基盤システム。2013年3月18日から運用を開始した。しかし個人情報を含んでいたり民間サービスを利用したりしている61%のシステムは2016年段階で統合できず、政府共通システムへの以降は限定的である[500]。 

防衛省の施策・活動

防衛省・自衛隊内にはサイバーセキュリティに関する下記の組織がある[501][502]

組織名 概要
自衛隊サイバー防衛隊 防衛省・自衛隊のネットワークの監視及び事案発生時の対処を24時間体制で実施し、サイバー攻撃等に関する脅威情報の収集及び調査研究を一元的に行い、その成果を省全体で共有している[502]
サイバー防護隊(陸自)

保全監査隊(海自)

システム監査隊(空自)

24時間態勢で通信ネットワークを監視し、ウイルス解析などのサイバー攻撃対処を行っている[501][502]
防衛本省内部部局の防衛政策局戦略企画課及び整備計画局情報通信課 サイバーセキュリティ政策に関する企画立案を行っている。
防衛装備庁装備政策部装備保全管理官技術戦略部技術戦略課及び次世代装備研究所 防衛関連企業に対するサイバーセキュリティ推進、防衛装備品に対するサイバーセキュリティ技術の研究開発を行っている。

またサイバー攻撃対処に関する態勢や要領を定めた規則として「防衛省の情報保証に関する訓令[503]などを発行している[501]

他組織とは下記のような連携体制を取っている:

連携先 名称 概要
NISC - サイバーセキュリティ戦略本部の構成員として以下を実施している:
  • NISCを中心とする政府横断的な取組に対して、サイバー攻撃対処訓練への参加、人事交流、サイバー攻撃に関する情報提供、CYMATに対する要員派遣[501]
  • NISCが府省庁の情報システムに侵入耐性診断を行うに当たり、自衛隊が有する知識・経験の活用について検討[501]
米国 日米サイバー防衛政策ワーキンググループ(CDPWG:Cyber Defense Policy Working Group) サイバーに関する政策的な協議の推進、情報共有の緊密化、サイバー攻撃対処を取り入れた共同訓練の推進、専門家の育成・確保のための協力
日米サイバー対話 日米両政府全体の取り組み
日米ITフォーラム 防衛当局間の枠組み
NATO 日NATOサイバー防衛スタッフトークス 防衛当局間のサイバー協議
サイバー防衛演習(Cyber Coalition) 自衛隊はオブザーバー参加
サイバー紛争に関する国際会議(CyCon) NATOサイバー防衛協力センター(CCDCOE:Cooperative Cyber Defence Centre of Excellence)が主催
オーストラリア、英国、エストニアなど - 防衛当局間によるサイバー協議。脅威認識やそれぞれの取組に関する意見交換
シンガポール、ベトナム、インドネシア - 防衛当局間で、ITフォーラムを実施し、サイバーセキュリティを含む情報通信分野の取組及び技術動向に関する意見交換
サイバーセキュリティに関心の深いコアメンバー(防衛産業10社程度) サイバーディフェンス連携協議会(CDC:Cyber Defense Council) 共同訓練などを通じた、防衛省・自衛隊と防衛産業双方のサイバー攻撃対処能力向上

警察庁の施策・活動

サイバー警察局

2022年度(令和4年度)に新設されたサイバー警察局では、情報技術解析課(サイバーフォース)で技官フォレンジックを担当している。

日本サイバー犯罪対策センター(JC3)

一般財団法人日本サイバー犯罪対策センター(JC3、Japan Cybercrime Control Center)は「日本版NCFTAとしてサイバー空間の脅威に対処するための非営利団体」[504]。「警察による捜査権限のより効果的な行使を始めとする脅威への先制的・包括的な対応を可能とする産学官の新たな連携の枠組」である[505]。2018年現在、正会員18社[506]、賛助会員36社[507]

2017年現在、JC3は違法性アダルトサイトや不正口座の摘発、犯罪者の検挙や犯罪組織のインフラのテイクダウン、加盟団体の情報提供によるエクスプロイトキットの全容解明等で成果をあげている[508]。具体的活動としては、「犯罪者を特定するための調査」、「ログなどの証拠収集と確保」、「民間企業であるプロバイダや回線事業者への協力要請」、「摘発する各都道府県警の足並みを揃える」、「海外にサーバがある場合に国際的な法執行機関との事前連携を取る」など[508]

JC3には「全国の警察組織をとりまとめる警察庁のメンバーが事務所内に常駐体制を敷」[508]いており、全国一斉の捜査・摘発では足並みを揃えやすい[508]。またサイバー攻撃の標的になるのを避けるためNCFTAがそのメンバーを積極的には公表していないのに対し、JC3では参加企業・協賛団体を公開している[508]


主な活動内容は以下の通り:

項目 活動概要
金融犯罪対策 情報共有、攻撃の未然防止、攻撃者に対する司法的追求も含めた脅威の無効化を図る活動の推進[509]
情報流出対策 「攻撃事案についての実態解明、被害防止、被疑者検挙を目的とする情報共有等」[509]
eコマース対策 被害防止を図るため、情報共有・手口分析等[509]
マルウェア解析 マルウェアの解析を行い、C&Cサーバ等のマルウェアに関する様々な情報を収集、被害防止に関する情報を提供[509]
脅威情報の収集と活用 「情報の蓄積及び検索可能なシステムを構築し、データを横断的に分析してより価値のある形にしていく」[509]
国際連携 「米国NCFTA等の海外関係機関との国際的な連携を推進」[509]

情報処理推進機構(IPA)の施策・活動

独立行政法人情報処理推進機構(IPA: Information-technology Promotion Agency, Japan)は、経済産業省所管の中期目標管理法人たる独立行政法人で、「情報セキュリティ対策の実現」、「IT人材の育成」、「IT社会の動向調査・分析・基盤構築」の3つの事業領域を持ち[510]、これらを「ITを取り巻く社会の社会動向・産業動向・技術動向」の把握に役立てる[510]。本稿では以下、サイバーセキュリティに関する事業のみを紹介する。

標的型サイバー攻撃対策

IPAでは標的型サイバー攻撃対策のため、「脅威と対策研究会」を立ち上げて「『高度標的型攻撃』対策に向けたシステム設計ガイド」等の資料を公開している[511]他、以下を行っている:

略称 読み 日本語名 英語名 主目的 概要
J-CSIP ジェイ・シップ[512] サイバー情報共有イニシアティブ Initiative for Cyber Security Information

sharing Partnership of Japan

情報共有[513] 「標的型サイバー攻撃を受けた参加組織がIPA に情報を提供し、IPA はそのメールを含む検体情報を分析および加工して、類似攻撃の検知や攻撃の抑止に役立つ(かつ提供元の組織情報を含まない)情報として参加組織間に情報共有を実施」[513]。これにより「攻撃の早期検知と回避に繋げる」[513]ための枠組み。参加組織とはNDAを結ぶ[514]

「経済産業省の協力のもと、重工、重電等、重要インフラで利用される機器の製造業者を中心に」発足[514]。複数のSIG(Special Interest Group、類似の産業分野同士が集まったグループ[514])からなっており、2018年10月26日現在、重要インフラ機器製造業者SIG、電力業界SIG、ガス業界SIG、化学業界SIG、石油業界SIG、資源開発業界SIG、自動車業界SIG、クレジット業界SIG、航空業界SIG、物流業界SIG、鉄道業界SIGの11のSIGがあり[514]、全部で238の組織が参加している[514]

J-CRAT ジェイ・クラート[515] サイバーレスキュー隊 Cyber Rescue and Advice Team against

targeted attack of Japan)

対策支援[513] 「標的型攻撃メールや組織のログ等の情報を分析することにより、感染経路の把握、感染の範囲などを分析し、必要な対策の早期着手を支援」[516]し、「標的型サイバー攻撃による感染の連鎖を解明し、一連の攻撃の対象となっていることを検知できずに「潜伏被害」を許してしまっていた場合に、その組織にコンタクトすることにより、攻撃の連鎖の遮断を支援」[516]する。「標的型サイバー攻撃特別相談窓口」から情報提供や支援依頼を求めるのみならず[516]、「事案分析の結果、攻撃の連鎖に組み込

まれている組織」[516]や、「インターネット上での各種情報の分析によって潜在的に被害の兆候が伺える組織」[516]に対しては「IPA からその組織にコンタクト(ドア・ノック)してサイバーレスキュー活動を実施」[516]する。

認証・評価

以下を行っている:

略称 日本語名 英語名 概要
JISEC ITセキュリティ評価および認証制度 Japan Information Technology

Security Evaluation and Certification Scheme

ISO/IEC 15408(コモンクライテリア)認証精度[517]。同様の制度を持つ28カ国(2018年4月現在)の政府調達でも相互承認される[517]
JCMVP 暗号モジュール試験および認証制度 Japan Cryptographic Module

Validation Program

ISO/IEC 19790に基づく暗号機能の実装の適切性・正確性の認証制度[517]
CRYPTREC 暗号技術検討会 Cryptography Research and

Evaluation Committees

暗号技術の調査・評価を行って「CRYPTREC暗号リスト」を作成[517]。政府機関におけるシステム調達やシステム利用時に推奨する暗号技術等を公開[517]。暗号技術を使用する際の設定方法を示すガイドライン等を作成・公開[517]情報通信研究機構(NICT)と共同運営[517]

その他の施策・活動

  • 「脆弱性届出制度」(詳細は前述)の運営と「脆弱性対策情報データベース」JVNの提供[518]
  • NISCからの一部事務委託により、独立行政法人・指定法人の「情報セキュリティ監査(助言型のマネジメント監査およびペネトレーションテスト)や不正な通信の監視によるサイバー攻撃の検知等の業務を実施」[518](第2GSOC)
  • 中小企業の自発的な対策実施を促す「SECURITY ACTION」を運営[518]
  • セキュリティ対策の普及啓発[518]
  • 若手のサイバーセキュリティ人材の発掘・育成を目的とした「セキュリティ・キャンプ」の実施[519]
  • 「中核人材育成プログラム」(約1 年間の研修プログラム)等、産業界のサイバーセキュリティ戦略をリードする「中核人材」の育成[519]
  • 国家資格「情報処理技術者試験(情報セキュリティマネジメント試験など)」の実施、及び「情報処理安全確保支援士」の試験、登録、講習の運営[519]
  • 「情報セキュリティ白書」の発行など、情報セキュリティに関する調査・分析[520]
  • 制御システムのセキュリティリスク分析[518]
  • IoT製品・システムの安全性・信頼性を確保[520]。「つながる世界の開発指針」の公開や安全性解析手法「STAMP/STPA」の普及を推進等[520]
  • 毎年年度初めに情報セキュリティ10大脅威を発表。

情報通信研究機構(NICT)の施策・活動

国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)総務省所管の国立研究開発法人。NICTは情報の電磁的流通及び電波の利用に関する技術の研究及び開発、高度通信・放送研究開発を行う者に対する支援、通信・放送事業分野に属する事業の振興等を総合的に行うことにより、情報の電磁的方式による適正かつ円滑な流通の確保及び増進並びに電波の公平かつ能率的な利用の確保及び増進に資することを目的とする。(国立研究開発法人情報通信研究機構法第4条)

組織は総務や広報のような事務部門のほか、電磁波研究群、ネットワーク研究群、AI・脳情報通信研究群、サイバーセキュリティ研究所、未来ICT研究群、オープンイノベーション推進本部、ソーシャルイノベーションユニット、イノベーション推進部門、グローバル推進部門、デプロイメント推進部門を持つ[521]

サイバーセキュリティ研究所は「NICTの中立性を最大限に活用し、産学との緊密な連携によりサイバーセキュリティ研究開発の世界的中核拠点を目指し」ており[522]、研究実施体制としてサイバーセキュリティ研究室とセキュリティ基盤研究室を持ち[522]、その他にナショナルサイバートレーニングセンター(後述)を持つ。

サイバーセキュリティ研究室では以下の研究技術を公開している[523]

略称 日本語名 英語名 概要
NICTER サイバー攻撃観測・分析・対策システム Network Incident analysis Center for Tactical Emergency Response ダークネットやハニーポットを観測する事によるサイバー攻撃観測・分析・対策システム
DAEDALUS 対サイバー攻撃アラートシステム Direct Alert Environment for Darknet And Livenet Unified Security 「NICTER で構築した大規模ダークネット観測網を活用した対サイバー攻撃アラートシステム」[523]
NIRVANA リアルトラフィック可視化ツール NIcter Real-time Visual ANAlyzer 「ネットワークに流れる通信を 『見える化』 することで、ネットワークの輻輳・切断等の障害や、設定ミス等を瞬時に見つけだすことを可能にし、ネットワーク管理者の負荷を大幅に軽減」[523]

セキュリティ基盤研究室では以下の研究を行っている[524]

  • 機能性暗号技術
  • 暗号技術の安全性評価
  • プライバシー保護技術

特に、暗号技術の安全性評価の一環として、IPAとともにCRYPTRECの運営を行っている[524]

ナショナルサイバートレーニングセンター

実践的なサイバートレーニングを企画・推進する組織[525]。主に以下の3つの事業を推進

名称 読み 概要
CYDER サイダー 実践的サイバー防御演習[525]。国の行政機関、地方公共団体、重要インフラ等が対象[525]
Cyber Colosseo サイバーコロッセオ 東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会開催時を想定した模擬環境下で行う実践的なサイバー演習[525]
SecHack365 セックハック サンロクゴ 「NICTが若年層のICT人材を対象に、セキュリティの技術研究・開発を本格的に指導する新規プログラム」[525]

産業総合研究所の施策・活動

国際連携

  • 総務省はイスラエルとのサイバーセキュリティ分野における協力に関する覚書に署名[526]。イスラエル・国家サイバー総局と連携し、サイバーセキュリティ対策の取組を強化していく。

注釈

  1. ^ たとえばIPAの資料[269]ではペネトレーションテストを脆弱性検査の一つとしているが、LACはペネトレーションテストを脆弱性検査・診断とは別サービスとし[270]、脆弱性検査・診断をセキュリティ診断と同義に用いている[270]。一方、サイバーディフェンス研究所はセキュリティ診断の語を脆弱性診断とペネトレーションテストの双方に対して用いている[271]

出典

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