2011年の「7項目合意」後とは? わかりやすく解説

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2011年の「7項目合意」後

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/14 06:32 UTC 版)

ネパール人民解放軍」の記事における「2011年の「7項目合意」後」の解説

2011年8月28日首相選挙により選出されマオイストバッタライ首相は,和平憲法制定向けた最後機会到来強調し政府重点施策和平工程完了させることであるとした。 9月1日その手始めと して人民解放軍基地全国7カ所、付属基地21カ所)の武器庫の鍵を軍統特別委員会AISC委員長首相)に引き渡したまた、マオイスト武装闘争期に接収した土地財産を元の所有者返還するよう党支部指示したこうした首相リーダーシップは、実際履行程度別にして、対立する政党勢力との信頼関係醸成貢献した。そのため、10月にはマオイストネパール会議派人民解放軍ネパール国軍への統合方式社会復帰希望対策に関する協議重ね合意策定のためのタスクフォース設置至った10月31日最後調整経て包括和平協定成立から5年たった2011年11月1日に、和平工程突破口を開く歴史的な7項目合意マオイストネパール会議派統一共産党マデシ人権フォーラムの4党が署名した。 この2011年11月の「7項目合意」の軍統に関する合意項目は、以下のとおりである。 1.マオイスト(UCPN-M)の人民解放軍PLA兵士統合a) PLA兵站基地居住する兵士にかかわる既存記録更新すること。 b) PLA兵士統合人数最大限6,500人とする。統合ネパール国軍司令部の下で行われ,同司令部人員65%はネパール国軍から起用し、残る35%をPLAから起用する。同司令部任務は、開発関連事業森林保全産業施設警備ならびに危機管理とする。 c) PLA兵士統合希望する者は,個人別に,国軍定め基準合格しなければならない。しかし、年齢規定学歴要件階級にかかわる現行基準緩和する。これについて、ネパール国軍階級対応した学歴要件を1段階引き下げる同様に年齢規定国軍入隊年齢の上限を3歳引き上げる。 d) PLA兵士統合希望する者の格付けネパール国軍基準に基づく。PLA兵士ネパール国軍への統合は,在籍者およびその他の階級の者の昇格いかなる負の影響もたらさない。 e) PLA兵士統合希望する者は,移行教育および訓練完了後、職務に就くものとする。 f) 兵站基地保管しているすべての武器は、統合過程開始同時に自動的に政府所有物となる。 2.PLA兵士社会復帰a) PLA兵士社会復帰希望する者に対す別の事業として、教育研修職業訓練機会一括して提供する一括事業の額は事業内容時間によって異なり6090ルピーの間とする。 b) PLA兵士自主的に退職し一括事業替えて現金支給希望する者には、階級に応じて4区分し、最上位者に80ルピーその他の者には階級下降順に706050ルピーそれぞれ支給する現金は2会計年に渡り2回の分割支給とする。本件2日以内正式決定される。 3.PLA兵士区分 統合希望ならびに社会復帰希望者の区分に関する手続き特別委員会7日以内定めた後、区分開始し11月23日までに完了する。 もっとも注目されるのは、軍の統合方式合意達したことである。人民解放軍出身兵は最大6,500人がネパール国軍採用されることになった採用基準国軍規定年齢学歴調整される)による。採用決定者の格付け採用する組織基準よる。司令部設け人民解放軍兵はそのうち35以内、残る65%はネパール国軍からの配置替えとする。開発関連事業森林保護活動産業施設警備危機管理任務とし、ネパール国軍武装部隊一部はしないその他の人民解放軍兵は社会復帰し一般生活に戻る。自主退職するか、または社会復帰訓練再教育研修職業訓練)を受ける。社会復帰要する一時金として1人当たり5080ルピー人民解放軍在籍期間による)が支給される統合事業の開始とともに人民解放軍武器政府管理下に置かれる人民解放軍兵の意向調査によるグループ分け期限2011年11月23日とした。 2011年11月の「7項目合意」は、内容目新しさはないが、主要3政党2008年5月憲法制定議会設置以来かたくなに妥協拒んできた主要政党初め合意達したものであり、国民長く待ち望んでいたものほかならないマオイスト内には、バイディア副議長率い強硬派中心に、この合意党の方針もとより国民国家反するものと批判する勢力存在した。しかし、同党が政権奪回後にこうした妥協及んだ背景として、従来人民解放軍依存してきた権力基盤重心選挙選ばれ議員議会労働組合青年組織移ったことや、2006年包括的和平協定締結からすで5年上の年月経過し人民解放軍兵の間に将来不安が広がり早期解決求める声を無視できなくなっていたことが挙げられる。 この合意の後、人民解放軍戦闘員を、ネパール国軍統合される人と自発的に引退する人とに分類する作業始まった宿営地での滞在長期化したことから、この頃になると宿営地離れた戦闘員もおり、第一段階分類作業では約17,000人の戦闘員分類作業参加した2011年11月希望調査結果基づいて2012年2月3日から退職希望者を人民解放軍兵站基地から退去その後帰郷)させる作業開始された。退職者支払われる一時金1人当たり5080ルピー(2回分割払い)で、1回目小切手による支払い作業2月11日までに完了したAISC2月29日人民解放軍13兵站基地撤収決定した3月12日までに撤収作業完了し13兵站基地から退去し人民解放軍兵は他の15兵站基地移動した。この時点人民解放軍兵の合計は9,711人で、その内9,705人がネパール国軍統合希望であり、マオイストは6,500人のに対して9,705全員統合要求していた。 統合については、人数手続きネパール国軍における格付けマオイスト少将までを要求し野党少佐以下を提示)と、階級ごとのポストの数、統合形式集団一括か、個人別か)など、多く事項詰める必要があった。統合問題は、AISC実施責任負っていたものの、統合に関する重要事項はすべてマオイストネパール国民会議派統一共産党マデシ人権フォーラムの主要4党の最高首脳による交渉基づいて決定されるため、その進捗遅々とし、軍統合の作業は再び遅れることになった2月12日グルン参謀長は、バッタライ首相に対して統合兵の訓練期間を9~20カ月から5~7カ月短縮し、かつ人民解放軍兵には准将階級まで認め内容提案した。しかし、後者について野党譲歩しすぎであると反発強めたその後3月30日マオイスト国民会議派との協議に基づきAISC人民解放軍兵站基地ネパール国軍管理下におくことと、人民解放軍兵の再意向調査を行うことを決定した決定背景には、大半師団宿営地で、統合される戦闘員選抜仕方や、宿営地資金問題めぐって不満をもった戦闘員人民解放軍指揮官抗議始め暴動にまで発展する可能性出てきたためである。 4月5日AISC準備した行動計画閣議承認され人民解放軍兵、武器15兵站基地指揮命令系統含め)をネパール国軍一部兵站基地武装警察管理下におく手続き進められ4月10日夜、バッタライ首相率いAISCマオイストプラチャンダ議長は、急遽すべての宿営地ネパール国軍部隊動員して人民解放軍武器宿営地ネパール国軍監視下に置いた。これにより、人民解放軍実質的に武装解除をして組織的に解体されたことになる。そして、翌日4月11日までに人民解放軍兵站基地ネパール国軍管理下におく作業完了したまた、9,705人の国軍統希望者に対する再意向調査4月8~19日実施されその結果マオイスト退職勧めたこともあり、退職希望者は6,576人となり統合希望者は3,129人まで減少したその後憲法会議解散影響により人民解放軍ネパール国軍統合作業は約2か月休止状態続いた2012年6月25日AISC設置した国軍統合選考委員会で、人民解放軍兵の年齢および学歴確認については、UNMIN調査記録ではなく新しく政府発行した身分証によることをマオイスト要求したまた、人民解放軍兵の統合作業が「名誉ある統合ではなくネパール国軍通常採用手続きと同様であったため、統合希望者の反発買った。そのため、二度目分類作業では、侮辱的な軍統合と感じた者や学歴などの問題基準満たしていない大勢戦闘員自発的引退選び統合希望者の数は当初の予測よりも激減したAISCは、国軍統合希望者3,123に対して9月6日から7日にかけて人民解放軍兵站基地資格審査行なった将校クラス対象審査別途実施)。元人民解放軍兵の年齢確認政府発行身分証明書記載生年月日に基づくことになった国軍統合希望者に対す筆記試験9月17日終了)および健康診断合格者に対してネパール国軍合格者リスト(1,388人) と休暇取得者一覧表将校級の合格者75名を除く)を公表した10月末の時点で、国軍統合試験合格者はわずか1,460であった自主退職希望者と社会復帰希望者に支給される一時金分割支払いとなっていた残額支給は、10月末(退職兵側は9月末を要求)までに支払うことが決定され、元人民解放軍兵士13,922に対して合計36億2,000ルピー支払われた。 2011年11月主要政党間で成立した合意では、6,500人の戦闘員ネパール国軍統合することになっていたが、最終的に士官候補71人を含む1,442人(女性105人を含む)がネパール国軍統合されることになった

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