2010〜2014年:『シャルリー・エブド』第三期とは? わかりやすく解説

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2010〜2014年:『シャルリー・エブド』第三期

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/06 05:39 UTC 版)

シャルリー・エブド」の記事における「2010〜2014年:『シャルリー・エブド』第三期」の解説

2010年販売部数減少していた『シャルリー・エブド』販売価格を2ユーロから2.5ユーロ引き上げざるを得なくなった。これについて編集長シャルブは、2010年6月9日号の社説で「報道機関危機にあって、我々の株主には裕福な財界人はいないし、そういう連中には株主になってくれと言うつもりもない。また、広告収入頼りたくもない。もともと広告掲載しないのだから、「広告収入少ない」新聞社対する国の援助を受けることもない独立系新聞、完全に独立した新聞であるためには、それなりの代償を払うことになる。広告主体で無料配布される新聞は、編集方針においてあまりにも多く妥協強いられている。シャルリー自由な新聞であり続けるための代価2.5ユーロである。そしてシャルリー存続ひとえに読者皆様かかっている」と説明した2011年11月2日チュニジア憲法制定議会選挙イスラム政党「アンナハダ」が第一党になった後、「預言者ムハンマド編集したシャリーア・エブド」と銘打った号を刊行した表紙にはターバン巻いたムハンマド描かれ、「笑い死になかったら100回の鞭打ちの刑だ」と書かれているリュズの絵)。この直後事務所火炎瓶投げ込まれ全焼する事件起きた『シャルリー・エブド』はこれを受けて、「愛は憎しみより強し」と題しイスラム教徒シャルリージャーナリストディープキスをしている風刺画掲載し、同紙ウェブサイトクラックされる事件起きた2012年米国制作され反イスラム映画イノセンス・オブ・ムスリム』、およびこれに対す抗議としてエジプトリビアなどアラブ諸国の米在外公館次々襲撃され事件2012年アメリカ在外公館襲撃事件)の風刺画掲載した反イスラム映画にかけて表紙画映画最強のふたり (Intouchables, 2011年)』、もう1枚ジャン=リュック・ゴダール監督映画軽蔑1963年)』を題材したものであり、前者イスラム教徒乗った車椅子正統派ユダヤ教徒が押している絵、後者主演ブリジット・バルドーベッド横たわるシーンなぞらえて全裸ムハンマド描いたであった。これに対して一部政治家や仏イスラム教評議会 (CFCM)、ユダヤ系団体代表協議会 (CRIF) などの宗教団体から非難殺到し『シャルリー・エブド』ウェブサイト乗っ取られた。反イスラム映画に対してフランス各地でも抗議デモがあり、『シャルリー・エブド』事務所入った建物周囲にも厳重警備敷かれた。ジャン=マルク・エロー首相は、「法の枠内での」表現の自由強調しつつも、「(アメリカ在外公館襲撃事件をめぐる危機はらんだ現状においては……行き過ぎ認められない」、各自責任感」を持つべきだと訴えた。ちょうどエジプト公式訪問していたローラン・ファビウス外相も、表現の自由重要性強調しつつも、「挑発には反対だ」とした。グランド・モスケ・ド・パリの代表ダリル・ブバクール(フランス語版)は、「火に油を注ぐ」ようなことはしないようにと呼びかけた。これに対して編集長シャルブは、「私はイスラム厳格主義者に『シャルリー・エブド』読んでくれとは言っていない。私は私信念反するような説教聞きモスク行ったりしないのだから、同じことだ」と反論し併せてこれまでフランス国内でのみ販売されていた『シャルリー・エブド』が、インターネットの普及伴って世界中人々目にするようになったことに一因があるとし、後にこの件について自著で、文脈や「言外の意味」とは無関係に1枚風刺画バタフライ効果によって地球向こう側憎しみの嵐を巻き起こすこともあり得る」と指摘している。このようなバタフライ効果」はこの時期掲載され襲撃事件後あらため話題になることが多かった他の風刺画についても同様であり、後に『シャルリー・エブド』に加わることになったアイルランド人作家のロバート・マクリアム・ウィルソン(英語版フランス語版)は、特に英米でのシャルリー批判について「(見出し吹き出しの)フランス語を読むことができないのに、どうやってシャルリーについて判断下すことができるのか。絵を見るだけで十分だと言うのか」と抗議している。同じく『シャルリー・エブド』寄稿している作家マリー・ダリュセック日本の某女子大学行われた講演会で「シャルリー人種差別的だと思うか」という質問を受け、複雑な背景フランス語説明した理解されず、「私は打ちひしがれ、このことを決し忘れまいと誓った。むしろ、これは即座に理解されるべきものであって説明なんかすべきではなかったのだろう。シャルリーは川のように流れ、いったん川底離れたら、もう戻ることはない。もともとフランス国外で読まれたり、インターネット上で拡散されたりするために作られ新聞ではないのだ。それが問題だ。危険だと書いている。同年9月『シャルリー・エブド』は「責任感持て」、「火に油を注ぐな」という言葉受けて、「責任感のある新聞」、「無責任な新聞」という2つの号を同時に発表した検閲受けた責任感のある新聞」の表紙真っ白で上部に「笑いおしまい!」と書かれている。「無責任な新聞」の表紙にはゼロから再出発の意味込めてユーモア発明」と題し松明(火)ヤシの実(油)を持った原始人描かれている(シャルブの絵)。 2013年シャルブが『ムハンマドの生涯La vie de Mahomet)』と題した漫画出版また、ムスリム同胞団対すエジプト軍攻撃2013年エジプトクーデター)を描いたリス風刺画攻撃の的となった。この絵ではコーランを盾にして身を守ろうとするイスラム原理主義者が虚しくコーランもろとも砲弾撃ち抜かれている。タイトルには、「コーランダメだ弾丸止めることができないと書かれている。この風刺画については2件の告発を受け、出頭命じられた。1件は「宗教への帰属理由とした憎しみ扇動」の疑いパリ大審裁判所から、もう1件はアルザス・モーゼル地方法の適用による「冒瀆」の疑いストラスブール軽罪裁判所からであった後者については、ライシテ法(政教分離法)が成立した1905年にアルザス・モーゼル地方バ=ラン県オー=ラン県モーゼル県)はまだドイツであったためにこの法律適用免れ、この時点でもまだ冒瀆罪が存在していたからである(「平等及び市民性に関する2017年1月27日法律第2017-86号」により廃止)。ただし、原告側はこのいずれの件についても書類揃えることができず、出頭命令にも応じなかった。 2013年5月アラビア半島のアルカイダ機関誌インスパイア』に、「人道反す犯罪」をもじった「イスラム反す犯罪」で「手配中の人物(死者及び生者)」11人の名前挙げたポスター掲載された。サルマン・ラシュディデンマーク紙『ユランズ・ポステン』のフレミング・ローゼ文化編集長とともにシャルブの名前も挙がっている。ポスター右側にはナチス牧師写真掲載され、この男の左側には銃口から煙を上げ拳銃右側には飛び散る血潮描かれている。見出しには「YES WE CAN」、その下には「1日1個のリンゴ医者いらず」をもじった「1日1発の弾丸異教徒いらず」、そして最後に預言者ムハンマド守りたまえ、彼にアッラー平安あれ」と書かれている黒人女性クリスチャーヌ・トビラ法務大臣模した絵がソーシャルメディア拡散したこともさらなる誤解生んだ当時市町村議会選挙極右国民戦線」の候補者名簿トップ挙げられていた議員が、Facebookトビラ法務大臣写真並べて揶揄したことが問題になったが、シャルブ国民戦線非難するために(国民戦線党首マリーヌ・ル・ペンの「ブルーマリーヌ連合 (Rassemblement bleu Marine)」をもじった)「ブルー人種差別主義者連合 (Rassemblement Bleu Raciste)」というタイトル風刺画掲載した風刺画左下には国民戦線シンボルである青・白・赤の炎が描かれていた。ところが、この絵からタイトル国民戦線シンボル削除されされたトビラだけの絵がソーシャルメディア拡散しシャルリー人種差別的だと非難されることになった。これは映画行進フランス語版)』の封切り伴って発表されラップ作詞者ネフク(フランス語版)の仕業であった。この詞には「オレ要求するシャルリー・エブドどものアウト・ダ・フェ異教徒火刑)を」という文句があり、「もう一度シャルリー・エブド放火しろ」というメッセージ解された。 2014年10月、「もしムハンマド再来したら」と題する表紙画掲載された。描かれムハンマドは「ばか野郎、おれはムハンマドだ」と言うに対してイスラム過激派テロリストが「黙れ異教徒め!」と叫びムハンマドの喉を掻き切ろうとしている。これは、テロリストムハンマドムハンマド認識することもできず(したがってイスラム教コーラン理解せず)、真のムハンマド真のイスラム教徒はその犠牲になっているというメッセージであったが、これもまた日本一部メディアで見出し吹き出し翻訳何の解釈もなく「イスラム国預言者ムハンマド首を切るマンガ」として紹介された。

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