鬼門
鬼門とは、鬼門の意味
鬼門とは、日本で古くから忌み嫌われてきた方角のことで、十二支の方角では丑と寅の間、東西南北の方角では北東を指す。簡単にいうと、鬼門は物事をするのに避けたほうが良い方角を意味する。もともと、鬼門は中国に伝わる風水や陰陽道の思想のなかに登場する言葉である。風水や陰陽道の思想が中国から日本に伝わったことで、日本人の間でも鬼門という言葉が広く使われるようになった。日本では、鬼門と南西の裏鬼門を「鬼の通り道」と考え、何事をするにも避ける習慣があった。あの世とこの世を行き来する鬼は災いをもたらす存在として恐れられてきたため、日本では家などの建物を建てるときにこれらの方角に玄関や窓などの出入り口を設けるのを避ける傾向がある。現代では、方角を指すときだけでなく自分にとって好ましくない人や事柄、苦手なものなどを表すときにも鬼門という表現が用いられる。「私にとってあそこの会社は鬼門だ」などは、ビジネスシーンでもしばしば使われることがある表現である。英語で鬼門を表すときは、どのような意味でこの言葉を使うかで表現を変えるのが一般的である。
欧米には、鬼門の考え方がない。そのため、欧米人に英語で鬼門を伝えるときには、その都度英語表現を選ぶ必要がある。「鬼の通り道」や「不吉な方角」などの意味で鬼門を表現するときは、「ghost gate」や「an unlucky quarter」、「an unlucky direction」などの表現を使うことが多い。また、好ましくない人や苦手なものなどを指して鬼門を英語で表現するときは、「a weakness」や「a weak point」などの表現が使われる。鬼門の方角を英語で表現する場合は、「he northeastern quarter」と表して北東であることを伝える場合が多い。
日本における鬼門の歴史
日本で鬼門という言葉が広く使われるようになったのは、風水や陰陽道の思想が中国からもたらされた平安時代頃と言われている。平安時代には京都を中心に陰陽道の思想が人々の間に浸透し、宮廷でも祭祀や呪術が盛んに行われるようになった。平安時代に陰陽道の宗家となったのが、安倍晴明などの著名な陰陽師を輩出した安倍氏や賀茂氏などである。この時代には、病気や天災などの災いは邪悪な鬼のしわざと考えられていた。鬼が出入りする鬼門や裏鬼門の方角は、病気などの災いを防ぐうえでも避けるべきものとして扱われてきた歴史がある。当時の日本の宮廷では、鬼などの邪悪な存在が出入りできないように、京都の東西南北を囲んで結界を築いていた。武士が政治の実権を握る安土桃山時代頃になると、鬼門の扱いにも少し変化が見られるようになる。当時の武家の城では、鬼門や裏鬼門の方角にあえて厠などを設ける風習があった。このような武家の風習には、鬼による災いを恐れない武士としての気概や覚悟を見せる意味があったと言われている。明治時代以降は、鬼門の考え方を批判する書籍が出版され、鬼門の考え方は表向きは単なる迷信として扱われるようになる。
ただ、実際は、明治時代以降も鬼門や裏鬼門を「不吉な方角」とみなす人々が少なくなかった。陰陽道の思想と神仏習合思想が結びついた日本の家相の考え方では、現代でも鬼門や裏鬼門の方角を「忌み嫌うべきもの」として扱う傾向がある。
風水における鬼門の考え方
風水における鬼門の考え方は、日本の陰陽道の思想や家相の考え方とは大きく異なる。風水理論では、鬼門や裏鬼門を単に「運気が出入りする場所」として捉える習慣があり、日本の陰陽道の思想や家相の考え方のように「鬼の通り道」や「不吉な方角」と忌み嫌う習慣はない。したがって、風水で家の間取りを考えるときは、鬼門や裏鬼門を封じることはせず、運気がスムーズに出入りできるような対策を立てることが多い。「運気が出入りする場所」は気が不安定になりやすいことから、北東や南西の方角は常に清潔にしておくのが望ましいとされている。風水では、汚れや乱雑な状態を邪気として嫌う習慣がある。「運気が出入りする場所」が汚れていたり、散らかっていたりすると、このような邪気の影響で悪い変化が起こりやすくなると考えられている。風水の鬼門は、中国の気候とも関係が深い。中国は、地形の影響で裏鬼門にあたる南西の方角から強い風が吹く傾向があった。強風によるさまざまな悪影響が懸念されることから、中国では南西の方角に出入り口などを設けるのは現実的でないと考えられてきた経緯がある。また、広大な中国大陸では複数の国が地続きの場所に混在していたため、古くから国と国が勢力争いの戦争をすることが珍しくなかった。
風水の理論が起こった頃の中国では、鬼門、裏鬼門の方角に当たる北東と南西に敵国があったと言われている。このような事情から、中国は古くから北東と南西の守りを万全に固めざるを得なかった。
風水の理論を意識した家の建て方
風水の理論を意識して家を建てる場合、鬼門や裏鬼門に玄関やトイレ、キッチン、バスルームなどの水回りのスペースを設けるのは良くないと考える人もいる。実際、鬼門や裏鬼門に玄関や水回りのスペースがあるという理由で、後にリフォーム工事をする人も少なくない。風水の専門家の間では、こういった工事は必ずしも必要ではないと考えられている。「運気が出入りする場所」である鬼門や裏鬼門は、整理整頓をして常に清潔な状態に保っていれば、「とくに大きな問題はない」というのが専門家の一般的な意見である。実のところ、玄関やトイレ、キッチンなどが鬼門や裏鬼門にある場合でも、掃除が行き届いていて乱雑な状態でなければ悪い運気を呼ぶ可能性は低いと考える専門家が多い。ちなみに、運気の流れをスムーズにするうえでは、鬼門や裏鬼門の風通しを良くすることが重要と考えられている。悪い気が鬼門や裏鬼門から入り込むのを防ぎたいときは、浄化作用がある植物を置く方法などをアドバイスする専門家も少なくない。たとえば、オフィスの入口が建物の鬼門や裏鬼門に当たるときは、エントランスに観葉植物の鉢植えなどを置くと、悪い気が室内に入り込むのをブロックできると考える専門家もいる。
盛り塩も、鬼門や裏鬼門の対策でよく行われる方法のひとつである。精製していない粗塩は、強力な浄化作用があるとして風水の対策ではしばしば用いられる。風水では、このような塩を小皿に持って置いておくと、その場の空気が浄化されると考えられている。
鬼門
「鬼門(きもん)」とは、北東の方角のこと。陰陽道において鬼が出入りするとされ、万事において忌むべき方角とされている。八卦では、丑(うし)と寅(とら)の間の方角であるため艮(うしとら)と呼ばれる。鬼門とは反対の方角、つまり南西(未申、ひつじさる)を裏鬼門といい、こちらも鬼門と同様に嫌われる。
鬼門や裏鬼門は、適切な対策をおこなうことで、鬼門除けや鬼門封じをすることができるとされる。たとえば、家づくりにおいては、その中心から見た鬼門の方向に白い石を敷いたり(鬼門除け石)、南天や柊を植える、鬼瓦や飾り瓦を配置するといった方法がある。
こうした本来の意味から派生して、現代では、ろくな目に遭わない場所や、苦手としている人物、事柄などの意味で使われる。日常的な言葉遣いとしては、こちらの意味の方が多い(「このゴルフ場は、ぼくにとって鬼門で、ご覧の通りOBの連発だよ」など)。
なお、鬼門は常に北東と決まっており、方位神が移動することによって毎年方角が変わる恵方とは異なる。
き‐もん【鬼門】
鬼門
鬼門
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鬼門(きもん)とは、北東(艮=うしとら:丑と寅の間)の方位・方角のこと。日本では古来より鬼の出入り方角であるとして忌むべき方角とされる。
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鬼門
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「おにゃのこ (漫画)」の記事における「鬼門」の解説
地獄と現世を行き来することができる門。三宝剣により封印されているが、ほろろが顕明連を折ってしまったため、封印が解けている。
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鬼門
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/03 07:32 UTC 版)
鬼は、風水では丑と寅の間の方角(北東)である「鬼門」からやって来ると考えられていることから、敵役である鬼が牛のような角を生やし、虎の腰巻きを履いているのも、風水の思想によるという解釈もある。 桃太郎は「鬼門」の鬼に対抗して、「裏鬼門」に位置する十二支(十二支は方角も表す)の動物(申(サル)、酉(トリ=キジ)、戌(イヌ))を率いた、という解釈がある(曲亭馬琴「燕石雑志」など)。 巖谷小波の『日本昔噺』版「桃太郎」(1894年)には、鬼ヶ島が大日本国の「東北(うしとら)」の方向にあるという説明が付加されているが、これも馬琴の「鬼が島鬼門説」に迎合したのではないかという見方がある。だが刊行の時期が日清戦争の勃発と重なっていることもあり、桃太郎を皇軍に、鬼を敵国の清朝中国に見立てたことも影響していると思われる。
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鬼門(きもん)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/07 03:29 UTC 版)
本作では「鬼門3万人」のように「鬼たちの一族」のような意味合いで使用される。
※この「鬼門(きもん)」の解説は、「蒼の封印」の解説の一部です。
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鬼門(きもん)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/26 00:55 UTC 版)
※この「鬼門(きもん)」の解説は、「陰陽大戦記」の解説の一部です。
「鬼門(きもん)」を含む「陰陽大戦記」の記事については、「陰陽大戦記」の概要を参照ください。
鬼門(きもん)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/15 23:44 UTC 版)
「鬼神童子ZENKI」の記事における「鬼門(きもん)」の解説
犬神四天王の一人。全身を包帯で包んでいる男。あらゆる機械を操る(取り込んで力に変える)付喪邪操術を使う。かつてこの術のせいで左半身を失ったが、犬神からサイボーグ手術を受けさせてもらい一命と取り留める。そのため犬神に対する忠義心が強く、勝つためなら捨て石になる覚悟を持つ。最後は自ら小型太陽となり超高熱で千明たちを苦しめるが前鬼によって宇宙空間へ飛ばされる。最後は自爆により相打ちを試みるも金剛輪ルドラによって消滅した。
※この「鬼門(きもん)」の解説は、「鬼神童子ZENKI」の解説の一部です。
「鬼門(きもん)」を含む「鬼神童子ZENKI」の記事については、「鬼神童子ZENKI」の概要を参照ください。
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