里やの人々
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/17 07:35 UTC 版)
大阪の大正区にあるホテル。上原サトの亡き舅が大阪に来る沖縄県人のために創業したが、実態は簡易宿所に近く、たたずまいから食堂と思われることも多い。従業員達はそれぞれ名付けられたあだ名で呼ぶのが決まりとなっている。多額の負債を抱え廃業の危機になるが、純ら従業員の努力と純の親族の協力で経営を立て直し軌道に乗った矢先、客の火の不始末が原因で建物が全焼する。従業員はやむなくそれぞれの道を歩むことになるが、第3部において天草親子と羽純は、純が開業するホテル・新生サザンアイランドの力になるべく宮古島を訪れ、サトと藍田は客として新生サザンアイランドを訪れる。 上原 サト(うえはら さと) 演 - 余貴美子 里やの女将。営業時間にもかかわらずテレビドラマに釘付けで、客室の状況について無関心、無銭飲食も容認するなど、経営に関してやる気のないそぶりを見せている。亡き夫から受け継いだ自身の名前がついたホテルに愛着を感じ、営業を続けているが、本心は脚本家になりたいという希望を持っている。そのため、「ドラマチックだねぇ〜」が口癖で、里やで起こる事件をドラマの展開に例えて解決しようとする。また、対話する者同士の間に無意識に立つのが癖である。亡き夫が宿泊客との縁を大切にしていたことから人脈は広く、求職中の純に対してサトが紹介したすべての一流ホテルが即日内定を出した。石原裕次郎と天海祐希のファンであることから、自らでつけた あだ名は『ボス』だが、あだ名で呼ぶ従業員は誰もいなかった。里やのテコ入れを開始した後に周囲(特に藍田)からあだ名で呼ばれるようになる。 実家のホテルを売却された失意で泥酔し高熱で川端に倒れていた純を保護・看護する。里やで働きたがる純に当初反対したが、純の意気込みを聞き、(ドラマチックなことが起こりそうで)面白そうと思い、雇い入れる。 好物はウィンナーシュニッツェルで、新婚旅行でウィーンに行った際に食べた味が忘れられないとのことである。亡き夫とは沖縄地区に修学旅行へ行った際に知り合っており、本人によると「駆け落ち同然での結婚だったため式は挙げておらず、籍のみ入れた」とのこと。 里やが倒産の危機になった頃から脚本を書くことに専念するようになる。里や焼失後、シナリオコンテストで大賞を取ったことを機にドラマの仕事の依頼も舞い込み、売れっ子脚本家となる。また、藍田のしつこい押しに負けて彼と再婚。そして、新生サザンアイランドの開業を知り、藍田とともに台風罹災後の新生サザンアイランドを訪れる。 藍田 忍(あいだ しのぶ) 演 - 田中要次 里やの板前。独身だが、サトに密かに思いを寄せる。料理の腕はサトよりも劣り、料理を完食した客は一人もいない。しかし、サトの夫に生前から信頼を置かれ、遺言により雇われ続けている。 外国人のような濃い顔つきのため、サトから『セニョール』とあだ名をつけられている。従業員の中では良識的であるが、仏頂面の割に少々弱気な所があり、口下手で子供が苦手。その反面、サトが所有する三線(さんしん)を取りに行くため、危険を顧みず火事になった里やの中に自ら飛び込むなどタフな一面を見せた。 愛の料理のうまさと知識の広さに感動し慕い、彼を「師匠」と呼ぶ。里やがテコ入れを始めたことをきっかけに、レパートリー豊富な愛の協力を得ながら料理の腕を上げていく。 里や焼失後は、サトが紹介した飲食店に就職するが、サトに誘われてついていく。その後、脚本家になったサトのマネージャーになり、サトに何度も求婚した努力が実を結んで結婚。新生サザンアイランドの開業を知り、サトとともに台風罹災後の新生サザンアイランドを訪れる。これらの経緯からか、元里やの従業員の中で純が宮古島帰省後で唯一あだ名で呼び、かつ開業準備中の新生サザンアイランドのスタッフに採用されていない唯一の人物となった。 天草 蘭(あまくさ らん) 演 - 映美くらら 里やで息子と住み込みで働く客室係。里やに就職する前は腕利の美容師であった。本名は「満田(まんだ)あゆみ」であるが、夫のDV被害に遭い息子を守るために家出したこともあり、サトらに素性を隠し偽名を名乗っていた。サトがつけたあだ名は、外見や立ち居振る舞いから『セクシー』。純と出会った当初はDVで負った額の傷を隠すように顔の左半分を長い髪で覆っていたが、里やに押しかけた夫を皆で追い返したことを機に、髪で覆っていた顔の左半分を上げて、士郎を守るために強くなることを決意する。純が再就職した当初はことあるごとに純を敵視していたが、先述の一件を機に打ち解けるようになった。里やのテコ入れの際には、自らの腕を生かして、ヘアメイクアーティストとして力になる。 里や焼失後はサトから紹介された美容院に就職するが、純のホテル開業の決意を知り、後から開業準備の手伝いに士郎とともに宮古島に移り住み駆けつける。これを機に、あだ名や偽名の呼び名を改め、純たちから「あゆみさん」と呼ばれるようになる。開業前に新生サザンアイランド専属の美容師として採用されるが、ホテルのオープンが一度見送られたために美容院に再就職するも、純の心の変化により正式オープンを目指して動き出したことにより、再びホテルへ戻る。 天草 士郎(あまくさ しろう) 演 - 岡田篤哉 蘭の息子で彼女の『生きる希望』。本名は「満田士郎」で、名字として使っている天草姓は、蘭が偽名を用いるための姓である。 自分からしゃべりかけることは一切なく、伝言の際(キツイ一言や暴言も含む)には紙に書いて相手に見せたり丸めて投げつけていたが、里やを失って皆と離ればなれになった悲しみに泣き、ついに声を発し、以降は普通に自分からしゃべりかけるようになった。 その後蘭に伴われ、宮古島に移り住んだ後開業準備中の新生サザンアイランドにやってきた。 宮里 羽純(みやさと はすみ) 演 - 朝倉あき 里やの雑用係でサトの遠縁。家族とは疎遠になっている。雑用係ということになっているが、仕事をするかどうかは本人の気分次第。いつでも無気力で食堂の片隅に座りストローでジュースを飲んでいるため、サトから『チュルチュル』とあだ名をつけられている。 本来は饒舌で明るい性格であったが、純のように親切心で話したことが薮蛇となり友人は次々離れていき、駆け落ちを約束した恋人から待ちぼうけを食らい振られて孤立し、行くあてもなく遠縁のサトを頼る。それ以降、死ぬまで必要最低限の言葉しかしゃべらないと決意し、漢字二文字の単語しか発していなかったが、晴海の優しさに触れて心を開き、その後は普通に会話ができるようになった。それ以降、純から「羽純ちゃん」と呼ばれる仲になる。 日常的に一人カラオケをやっていた経験により、歌うことが得意で童謡から歌謡曲まで幅広い知識があることから、テコ入れを始めた里やで客のリクエストに応じて歌える「人間ジュークボックス」として力になる。また、新生サザンアイランドでオオサキの桐野と対面した際、桐野がリクエストした曲を難なく歌っている。 里や焼失後は、サトから沖縄の実家に帰るよう指示され里やの仲間と離ればなれになることを嫌がり躊躇するが、純の宮古島のホテル開業予定を知り、後に開業準備の手伝いに駆けつける。開業前に新生サザンアイランドの従業員として採用され、ジュークボックスに収録されていない曲の歌い手を引き受ける予定であったが、ホテルのオープンが一度見送られたために沖縄料理店のライブバンドの歌手に就職するも、純の心の変化により正式オープンを目指して動き出したことにより再びホテルへ戻る。 宮古で剛と再会し、密かに思いを寄せるようになるが、剛と誠が互いに好意を寄せ合っていることを察して失恋。しかし、純に恋の相談をしたことをきっかけに、純と親友関係になる。 金城志道(きんじょう しどう) 演 - 石倉三郎 第3部はゲスト出演。里やに出入りする常連客で琉球舞踊の師匠(打楽器の三板を手にしていることもある)。宮古島出身。オネエ言葉を話す。高校時代は、後輩にあたる晴海に対して初めて恋をし、デートをしたこともある。晴海に失恋して以後はゲイとなり、正とマリヤの離婚騒動の際には正を気に入ってアプローチを試みたが、純に止められた。 久世秋代(くぜ あきよ) 演 - 朝加真由美 第3部のキーパーソンとなる人物。酒浸りで里やを訪れた宿泊客。純が24時間コンシェルジュと知り、笑わせるように依頼する。純の自力で笑わせることはできず、結果的に勇気の協力でわずかに笑わせることができたが、いつか自力で笑わせることを純に約束させる。 元ファッションデザイナー。パートナーとブランド「J&A」を立ち上げるが、店が拡大していくにつれパートナーと考え方に相違が生まれる。ついにはパートナーに決別する言葉を放ち、喧嘩別れしたことで笑顔を失っていた。里やの焼失後、正のマッサージ店の常連となる。純が「J&A」に就職したことを知り、無理やり解雇させる。 周囲に「おせっかい」をしてしまう本来の自分を取り戻した純が、彼女の笑顔を取り戻そうと元パートナーに掛け合ったことに心を動かされ、よりを戻して夢を取り戻した純と愛に、自らが持つ宮古島の別荘の提供を申し出る。申し出に対して純と愛が喜んで受け入れたことから、ついに笑顔を見せ、純の約束は果たされたことになった。その後、オープン直前の新生サザンアイランドを訪れ、ホテルの制服を提供する。
※この「里やの人々」の解説は、「純と愛」の解説の一部です。
「里やの人々」を含む「純と愛」の記事については、「純と愛」の概要を参照ください。
- 里やの人々のページへのリンク